北の脅威を煽った政府とマスメディアは何だろうか。脅威は今年に入って急に増大したわけではない。

<政府は21日、弾道ミサイル攻撃を受けた際の避難方法を国民に周知するため、内閣官房のホームページに掲載した。同日には都道府県の危機管理担当者を集めて説明会も開催。北朝鮮情勢をめぐる不安の高まりを背景に、政府・自民党が力を入れる弾道ミサイル防衛(BMD)の強化も加速しそうだ。


 菅義偉官房長官は21日の記者会見冒頭、ミサイル落下時の対応策を「国民保護ポータルサイト」に掲載したと発表。菅氏は「国民が高い関心を持っていることを踏まえ、身を守るためとるべき行動をまとめた」と説明した。サイトへのアクセス数急増を受けた対応だという。

 今回掲載された「弾道ミサイル落下時の行動について」では、着弾の可能性がある場合、頑丈な建物や地下街に避難し、建物がない場所では物陰に隠れて地面に伏せるよう要請。屋内にいる時は、窓から離れることを求めている。

 政府は最近、緊迫度の高い情報発信を続けている。外務省は在韓邦人向けに注意を促す海外安全情報を発表。安倍晋三首相は国会で、北朝鮮がサリンを弾頭に装着して攻撃できる可能性に言及した>(以上「朝日新聞」より引用)


 安倍氏の常套句は「国民の命を守る」というもので、早口の勇ましい口調で「ワタチは国民の生命と財産を守る」と言ってきた。それがいきなり北朝鮮がミサイルを日本に撃ち込んで来る、それも万が一の場合は「サリン弾頭」のミサイルを撃ち込んで来る、と言い出した。

 ちょっと話が違うではないか。自衛隊を「掛けつけ警護」が出来るようにし、周辺事態法の縛りをなくして世界の何処へでも行けるようにして「国民の命を守る」ためだと説明していたが、日本国内にいても北のミサイルが落ちて来るかも知れない、とはいかなることだろうか。


 国民の命と財産を守るために安倍自公政権はこの五年間に一体何をして来たのだろうか。中国の軍事的脅威は減少するどころか、益々増大している。北朝鮮に関して、安倍自公政権はいかなる外交努力をして来たというのだろうか。

 北が六度目の核実験をするかも知れない、という情報で右往左往して北と一触即発の緊張を日本国民に味合わせ、米国が「斬首作戦」を強行するかも知れない、という「情報」を日本のマスメディアが煽り立てて「開戦近し」と国民に刷り込んだ。


 その実態はシンガポールから朝鮮近海へ向かっていたはずの「カールビンソン」が実はインド洋でのんびり過ごし、未だにインドネシア近海をノロノロと北上しているという。対・北関係に関して米国は中国に「何とかしろ」と丸投げして、「何んとも出来なければ米国は同盟国と一緒になって何とかするゾ」と脅している。

 しかし「同盟国と」という文言は聞捨てならない。日本は憲法で「国際紛争の解決に武力を用いることを永遠に放棄」している。米国が「同盟国と一緒に」北朝鮮に制裁を加える、とはいかなる事態を米国は想定しているのだろうか。それが北爆だとすれば、日本の米軍事基地を使わすわけにはいかない、というのが日本国憲法の縛りのはずだ。


 なし崩しに日本国憲法を「解釈改憲」して来た安倍自公政権は姑息にも戦前回帰して、海外で戦争できる日本に変えようとしている。北朝鮮の金独裁政権が国民を不当に弾圧して権力を恣にしている、という映像を何度も流して日本国民に刷り込んでいる。

 しかし実態は北朝鮮はそれほど国際的に孤立しているわけではない。北朝鮮と国交がないのは200近い世界諸国で僅か6ヶ国に過ぎない。そして北朝鮮は地下資源大国で、ことに金やレアアースやウランや鉄鉱石の埋蔵量は膨大で、その掘削利権を求めて中国は北朝鮮を秘かに支援してきた。もちろんハイエナ国家ロシアも黙ってはいない。そうしたことに敏感な米国も軍事的圧力を掛けつつも、地下資源利権に一枚加わろうとしている。いい面の皮は韓国と日本だ。


 ことに日本は北朝鮮の脅威を米国と日本のマスメディアによって煽られ、安倍自公政権は戦後最大の防衛予算を組んでも国民的な反対運動が起きない状況作りに成功している。それで米国のポンコツ兵器を大量に購入させられるのだろう。

 なぜ北朝鮮と国交を結んで平和交渉を開始しないのだろうか。中国は日本の各都市に照準を合わせた核ミサイルを千発以上配備しているが、それでも国交を結んで二国間交渉をしているではないか。それなら北朝鮮と国交を回復して、いかなる不都合があるというのだろうか。ICBM開発は北と米国との問題であって、日本との問題ではない。


 政府はJアラートがあるから、とかミサイル迎撃システムがあるからとかいっているが、僅か6分で到達するミサイルに対して効果がないのは明白になっているではないか。ただし、米国本土向けのICBMになら効果があるのもハッキリしている。

 日本政府は米国本土の盾となってミサイル迎撃システムを配備しているに過ぎない。それも日本国民の税金を浪費して。愚かな米国の世界戦略の一員として振舞う馬鹿さ加減に日本国民は気付くべきだ。北朝鮮と国交を回復して国家関係を正常化して、日本にいかなる不利益があるというのだろうか。



このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。