ドゥテルテ大統領の米国離れ、これもパラダイムシフトの転換時の現象なのか。

<暴言で知られるフィリピンのドゥテルテ大統領は4日、マニラで演説し、オバマ米大統領に対し「地獄に落ちろ」とののしった。また、米国がフィリピンに一部兵器の販売を拒否していることについては、ロシアと中国から購入できるとし、米国の方針をあしらった。

ドゥテルテ大統領は、米国がフィリピンを裏切ったため外交政策を再調整しているとし、いずれ「米国と決別する」と断言した。「決別」の意味するところは明確ではない。

さらに、米国や欧州連合(EU)が自身の進める麻薬撲滅対策に批判的であることについて、米国はフィリピンを後押しすべきと非難し、「オバマ氏よ、地獄に落ちろ」とした。EUに対しても「地獄はすでに満員だ。私がEUを恐れる理由などない」と述べた。同大統領の麻薬政策によって、これまでに多くの死者が出ている>(以上「ロイター」より引用)

 かつて米国の植民地だったフィリピンがドゥテルテ大統領を選出して以来、米国離れを演じている。フィリピンの直ぐ近くの岩礁に中国が基地を造成しているが、それに対してドゥテルテ大統領は大した脅威に感じていないようだ。
 むしろ中国が南シナ海全域を「中国の海」として支配するのは中国の防衛上の問題であって、一番脅威と感じているのは米国に他ならない、という立場のようだ。だから米国本土防衛のためにフィリピンを利用するのはフェアではないし、フィリピンがそのために利用されるのは真っ平だ、という立場のようだ。

 そしてドゥテルテ大統領は国内の麻薬撲滅に強行姿勢で取り組み、麻薬を資金源とするマフィアは射殺しても構わない、という立場で彼が大統領に就任して以来2000人以上を殺害しているという。
 当然のことながら、法治国家での「裁判を受ける権利」を蹂躙するものとして、米国や欧州諸国はドゥテルテ大統領を批判している。そうした国際世論に苛立つかのようにドゥテルテ大統領はロシアや中国に接近を試みている。しかし、それは彼自身にとって大変危険だ。

 米国は米国の1%の利益のためや、米国の防衛のためなら平気で他国の主権を侵害する。イランの米国大使館員を奪還するために武装集団で襲撃させたり、タリバン指導者を殺害するためにパキスタンの領土を勝手に通過したりした。もちろんイラク進攻はその最たるもので、中東のISなどによる戦闘はその残滓というべきものだ。
 フィリピンにはかつて米国の軍事基地があった。しかしフィリピン国民により米国の軍事基地撤廃運動がおこり、米軍はフィリピンから撤退している。ここに来て、さらにドゥテルテ大統領は米国離れを加速しようとしている。フィリピンが求めるミサイルを米国が売らないのなら、ロシアから買うから良い、というのは米国のメンツを潰すだけでなく、米国の太平洋戦略を大きく揺さぶるものだ。

 太平洋全域を支配することにより、米国は本土防衛を担保してきた。その一角が崩れることを米国は我慢して受け容れるだろうか。答えは「ノー」だ。
 ドゥテルテ大統領は国内のマフィアから命を狙われると同時に、米国CIAのエージェントによって抹殺される危険性にも曝されている。

 中国がフィリピン近海の岩礁を埋め立てて軍事基地化すればフィリピンは米国を以前よりも一層頼って来る、というオバマ氏が描いていた対中戦略の破綻が今後どうなるのか。インドネシア近海の岩礁に軍事基地を築いたことによりインドネシアが米国の軍事力に縋って来る、という戦略を描いていたが、それも必ずしも成功していない。
 米国は日本を手本にして極東支配戦略を立ててきたようだが、日本だけが特殊な国だということが解っていないようだ。GHQに洗脳された「文化人」やマスメディアにより自虐史観を日本国民に植え付けるのに成功したが、他の国にはそうした洗脳が行われていなかった。むしろ欧米人により植民地化された記憶の方が鮮明に残っている。

 米国の中国の軍事力増大により中国と国境を接する近隣諸国が米国を頼って来るだろうとする戦略は必ずしもうまくいっていない。結果として南シナ海を支配する中国の軍事基地が残っただけだ。
 オバマ氏の極東支配戦略は失敗した。この後始末をどうするつもりなのだろうか。そして日本の安倍首相は米国の戦略失敗のツケを米国のポチとして払うつもりなのだろうか。


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