安倍内閣改造ばかり報じている場合だろうか。

<3日の内閣改造・自民党役員人事を巡る調整が大詰めを迎え、安倍晋三首相は二階俊博衆院予算委員長を党三役の一角、総務会長に起用する方針を固めた。各派閥ににらみが利くベテランの二階氏を要職に据え、石破茂幹事長が入閣した後の党運営を安定させたい考えだ>(以上『毎日新聞』引用)と、安倍内閣改造劇を新聞辞令で盛り上げようと必死のようだが、経済状況の深刻さを放置していて良いのだろうか。

 いわば自公政権というコップの中の嵐を報じるより、この国の国民生活がどうなっているのかを報じるべきだ。7月の経済指標が出たが、4-6月期の落ち込みに反発するとみられていたが、ますますひどく落ち込んでいるようだ。
 何よりも消費者物価が天候不順などにより高騰しているためか、消費支出が伸び悩むと同時に個人所得も対前年同月比で減少しているという。現在では米価は下落傾向だが、天候不順から作柄は悪化していて、この秋の収穫予定数量は需給が逼迫する状況だという。つまり米価も上昇含みだというのだ。

 スタグフレーションの足音がすぐ近くまで迫っている。能天気に安倍氏の長期政権を目論む改造人事に狂奔するよりも、マスメディアはこの国の国民生活にこそ着目すべきだ。
 マスメディアが囃し立てたアベノミクスは日銀の出口戦略なき金融異次元緩和策による円安策だけで終わり、円安に引っ張られた株高という副産物に欣喜雀躍しただけで、国民の生活に繋がる景気の改善は見られていない。

 悪性インフレが進行するのとデフレ経済からの脱却のインフレとは異なる。経済成長なきインフレは悪性インフレそのもので、それはスタグフレーションと呼ばれる。安倍氏は第二の矢だとか第三の矢だとか叫んでいたが、ついに第二第三の矢は放たれることなく、異次元金融緩和の悪性インフレという副作用だけが国民生活に重くのしかかっている。
 株価を引き上げるために年金基金も大幅に株式運用できるようにしたものの、その効果も限定的に終わっている。日銀はこの秋にも米国が金融緩和の出口戦略を開始しようとするとみられているのに、どのように対応するつもりだろうか。日銀も金融緩和の出口戦略を探らなければならない事態に到っている。いよいよアベノミクスは異次元金融緩和の副作用だけを国民生活に直撃したまま終焉を迎えようとしている。

 茶番劇のようなTPP交渉の猿芝居を演じた西川氏が農水相で入閣するとは、悪い冗談というしかない。たとえ交渉が妥結したところで、米国議会ではTPP批准案が否決されるのはミエミエなのに、そうした問題点を報道しないこの国のマスメディアは腐り切っている。
 1%のためのグローバリゼーションと国境なき投機資金移動に対応するためだけのTPP策動に安易に乗った日本の政治家たちの無能さ加減にはうんざりする。その自公政権の張本人が論功行賞で農水相になるというのだから安倍政権に何を期待せよというのだろうか。

 3.9兆円規模の「まち、ひと、しごと」を標榜する地方再生相に誰を据えるかとマスメディアは賑やかだが、スローガンは全く逆ではないだろうか。まず仕事がなければ人は地方に留まれない。留まれないから地域社会は限界集落だらけになって、その中核都市ですらシャッター街となり街が崩壊しているのだ。
 そうした物事の解っていない連中が霞ヶ関で作文しているだけの政治でいったい何をやろうというのだろうか。安倍政権には何も期待していない。アベノミクスという一幕物の出し物が終わりを告げている現在、新しい出し物を揃えるよりも政権の幕引きを考える時期ではないだろうか。


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