民間療法による死亡事故を防げ。

<大阪市淀川区で6月、「赤ちゃんの免疫力を高める」などとうたうNPO法人代表の女性(56)(新潟県上越市)から、首を強くひねるなどの施術を受けた神戸市の男児(生後4か月)が途中で意識不明になり、その後死亡したことが関係者への取材でわかった。
 代表はマッサージなどの国家資格を持っておらず、昨年も新潟県で施術を受けた幼児が死亡していた。大阪府警は代表から事情を聞くなど死亡の詳しい経緯を調べている。
 NPOの本部は新潟県上越市にあり、代表は2003年の設立前から、乳幼児を対象に「背筋や首のゆがみを直す」などとして自ら考案した施術法を実践。東京都と大阪市淀川区にも事務所を置き、1時間1万円で、6000人以上に施術しているという>(以上『読売新聞』引用)

 昨日大阪府警は上記NPO法人代表の女を「業務上過失致死」の疑いで捜査に着手したという。少なくとも代表の女の施術後に二人が亡くなっている。施術そのものが死亡原因か今後の捜査を待つのだろうが、「揺すり」や「首の捻り」が乳幼児の死亡原因になっているのは広く知られていることだ。
 乳幼児にそうした施術が脳に深刻な影響を及ぼすことを施術を行った女が知らなかったのなら危険極まりないことだ。そうした行為が乳幼児を健康にし抵抗力を高めるという効果を謳ったのなら、施術師の女は無認可の医療行為を行ったともみなされるだろう。

 なぜこうしたブログを書くのか。なぜなら民間療法と称する「詐欺」が横行し、詐欺だけにとどまらず往々にして「死亡事故」を起こしているからだ。
 かつて狐が憑依したとして女子中学生を棒で叩き殺した「宗教者」を騙る者がいた。精神修養と称して滝行と称する放水を浴びせ続けて女児を殺害した「祈祷師」がいた。彼らも「業務上過失致死」で逮捕され法の裁きを受けたが、本当に業務上過失致死だろうか。

 彼らは根拠のない「自己過信」により詐欺的な医療行為を行って被施療者を死に追いやっている。それぞれ結果から見れば単なる暴行死であり窒息死に他ならない。殺人とどこが異なるというのだろうか。
 今回事件性が問われた大阪の件は客観的に殺人以外の何物でもない。一時間一万円の料金を取って6000人に施していた内のたった二件の不幸な事故とはいえない。6000人の乳幼児を追跡調査する必要がある案件だ。「揺すり」行為は脳に深刻な障害を及ぼす可能性がある。死に至らなかっただけで障害が残っている乳幼児の存在する可能性があるといわざるを得ない。

 街の占い師に手や顔を見て「占ってもらう」のは精神衛生面で効果があるかもしれない。イタコに死者を呼び寄せてもらって死者の声を聴くのも精神衛生面で効果があるかもしれない。しかし、それらは施術者に「悪意」がない場合に限られる。悪意を以て優位な立場を利用して相談者を陥れようとするのが明確なら、やはり犯罪を形成するといわざるを得ないだろう。
 テレビにも何人かの占い師が登場して相談者を罵倒するショーが流行った一時代があった。それらが見世物に留まっているうちは問題ないが、相談者の人格を攻撃したり、相談者にはどうすることもできない肉体的な欠陥を論ったりすれば、それは「占い」を超えた精神虐待といわざるを得ない。

 民間療法や祈祷などは根拠なき「精神衛生効果」を謳っているものが殆どだ。体内に棲みついた狐を追い出すとか、精神の歪みを滝行で治すというのは言語道断だが、今回のような「免疫力を高める」という医療的効果を謳うのは民間療法から逸脱も甚だしい。無知による殺人行為と断じても良い事案だ。
 彼ら施術者の共通性とは何だろうか。強烈な自己過信と自己顕示欲が為せる技なのだろうか。むしろ何かが憑依し精神を害されているのは施術者の方かもしれない。彼らの病的な思い込みにより死へ追い込まれた乳幼児たちが哀れでならない。社会はこうした民間療法に対して懐疑の目を向け、常に厳しい監視をすべきだ。


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