この国の政治家は誰のための政治を行っているのか。

 麻生財務相は消費増税を来年10月に10%に増税することを前提としなければ来年度予算編成は困難だと、ヘンチクリンな発言をしたようだ。<麻生太郎財務相は5日の閣議後会見で、来年10月に消費税を10%に引き上げるための経済環境について「直近の(経済指標の)数字はそんなに悪くないが、経済は生きているから、対応をぱっとできるようにしておかないと、タイミングがずれたら効果が半減する。もしものときには準備はしておかないといけない」と述べ、補正予算の編成など何らかの景気対策が必要との認識を示した>(以上『日経新聞』引用)

 対前年比増の概算予算101兆円を出してきたが、この国はいつまで対前年増の予算を組み続けるつもりだろうか。歳出削減努力は掛け声だけで、官僚たちも政治家たちも大盤振る舞いの饗宴を演じ続けるつもりのようだ。
 国民一人当たりの税や負担金は何処までも天井知らずに増やしていけるとでも考えているのだろうか。既に人口減社会は毎年20万人を超える国民人口減として現れているが、労働人口減という意味では先行して10年以上も前から現れていた。そして今では毎年100万人を超える労働人口減が進行している。

 それを上回る労働生産性の上昇がそれぞれの企業で行われない限り、この国のGDPが成長・拡大し続けることは出来ない。しかし実態は企業・生産などの海外移転が続いていて、国内産業の空洞化の流れは止まりそうもない。
 従って第二次産業への新規雇用は先細りを続け、新卒者の就職氷河期は第二次産業では引き続き続いている。サービス業などが増えれば良いではないか、という評論家もいるが、安定的な生活基盤となりうるのは第二次産業だ。サービス業は栄衰が激しく、就業者が家庭を営み子育てをするための収入基盤とするにはいささか難がある。

 明治時代の先人が『殖産興業』を国策として推進し、国を富まして国家財政の基盤を盤石なものにしようと努めた。しかし現代日本は『殖産興業』ではなくTPP参加に前向きなことからも解るように『国際分業』と『労働対価の国際均衡』を目指している。
 それがグローバル化の正体で、国家を主体とした考えではなく、ましてや国民を主体とした考えでもない。投機資本を主体とした効率的な投機が実現できる社会を目指している。そのためには非関税障壁も存在してはならないし、それぞれの国の特殊な規制(たとえば『軽基準』など)も存在してはならないのだ。グローバル化は国民の幸福に寄与するものではなく、投機資金の最大利益に寄与するものでしかない。

 この国は何処へ向かっているのか。いうまでもない、自公政権は国民をグローバル・新自由主義社会へ導いている。だから医療や年金などの改革はできるだけ行わないで、国家財政を圧迫する最大要因は『社会保障』だと国民に刷り込み、社会保障制度をも商売の道具に『民間』へ売り渡すように仕向けている。その新自由主義者たちがモデルとしている社会は米国だ。貧困層は『自己責任』としてロクな医療も受けられない、貧困層は貧困のまま『フードスタンプ』依存の暮らしを続けて、野垂れ死にするのをヨシとする社会だ。

 いうまでもなく政治は国民のためにある。社会が複雑化しているため、国民はイマの政治が何をやっているのかなかなか全体像を理解できない。しかも御用評論家や官僚の機関誌や広報機関に堕したマスメディアが国民を誤った方向へ誘導する。
 原発などもその最たるもので、『安くて安全』などという大嘘を平気で評論家たちは吐きまくっていた。その嘘を鵜呑みにしたのかギャラに釣られて嘘に目を瞑ったのか、芸能人たちが広告塔として『安価で安全』な原発を推進した。しかし、それらはすべて嘘っぱちだった。

 財務省は誰のための財政運営をしているのか。なぜ対前年比増の予算を組み続けているのか。国民一人当たり負担の限界をどれだけだと考えているのだろうか。それとも胡麻油と同じで絞れば絞るだけ税や負担金が搾り取れると考えているのだろうか。
 既に日本の8%消費税は生活必需品で世界比較すると最高税率だ。25%消費税のスウェーデンですら生活必需品は軽減税率を適用し7%に設定している。10%が必要だと口を曲げて言う麻生財務相は気が狂っている。彼は政治家ではなく財務省のスポークスマンでしかない。我々国民は政治家を選挙で選んでいるつもりが、官僚たちの使い走りを選んでいるに過ぎないのだ。

 官僚内閣制を支える官僚たちもGHQショックから立ち直れないまま70年近くに達して、完全に米国の御用聞きのままだ。だからこの国は米国を支配する投機家たち1%によって支配されている。国民のことなぞ屁とも思っていない。
 混合診療が新薬適用のために必要なら、この国の薬剤審査を迅速化する手立てを考えて、混合診療などという『医療保険制度』を突き崩すアリの一穴を開けるべきではない。しかし官僚たちに『国民のための医療制度』を守る気概は皆無だ。彼らは米国の意向に従い、自分たちの既得権益を守り通すための妥協点を探っただけだ。飛んでもない連中がこの国の主人面して国民に君臨している。一体いつまでこんな官僚内閣制度の「政治家ごっこ」を国民は満足して見続けるのだろうか。


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