バカなことをするより、早く退陣しなさい。
菅政権の下で何をやろうというのだろうか。既に退陣の日程を取り沙汰されている政権が、ご親切にも野党との連立に関して障害となる民主党マニフェストを見直そうというのは余計なお世話ではないだろうか。
次期政権が大連立しなければ復興政策が何一つとして進まないのか、部分連合して「復興関連」だけは政局としないで粛々と進める協力体制を構築できるのか、それとも野党協力を一切仰がないで復興を人質に野党に譲歩を試みるのか、それは次期政権の顔と性格と実力によるだろう。
菅氏のように大きな団体をまとめたこともなく、政党を自ら作ったこともなく、ただ他人の尻馬に乗って果実だけを手にしてきた人物に泥水を啜るような折衝努力は無理な相談だ。だから野党第一党の党首に対して協力を仰ぐのに電話で通告するという、礼を失した態度に平気で出られるのだ。
そうした政権で将来に対して何を協議しようと無駄なことだ。実行する当事者が異なるのに、何を申し送るつもりだろうか。余計なお世話に無駄な時間を費やすよりも、サッサと退陣することだ。菅政権が一日居座れば空白が一日延びるだけだ。被災地の住民に対してこれ以上困難を強いることは許されない。菅氏の下でなぜこんなに被災地対策が遅れるのか、菅氏は胸に手を当てて心静かに反省すべきだ。本人の資質が決定的に足らないからだと、気付くべきだ。
次期政権に対していかなる条件をつける必要もない。誰がなろうとすべては菅氏の時よりも好転する。この時期に消費税増税などを議論するなど、正気とは思えない。財務省主導といえども「今はそんな時期じゃないだろう。財源がないというなら、まず必要な財源を確保してから人件費や共済費を考えよう」と切り返すぐらいの度量のある政治家はいないのだろうか。
党執行部や政権幹部の間で次期首相に現財務大臣の野田氏の名が浮上しているというが、そんなことに時間を費やす暇が良くあるものだ。閣僚や党執行部は全力で被災地の復興対策に取り組んでいるのではないのか。遊び半分で片手間にやっているのなら、即座に頭を丸めて辞任すべきだ。不謹慎も甚だしいといわざるを得ない。しかも今日の停滞を招いている政権の閣僚を次期首相に据えようなどという感覚がすでにおかしいと、なぜ気づかないのだろうか。よほど能天気な連中だ。
野党や官僚が最も恐れている民主党2009マニフェストを見直すとは、自ら手にしている改革の聖典を放棄するのに等しい。野党が嫌がり官僚が拒否反応を示すのは、実は非常に適宜を得た政策だからではないだろうか。マニフェストはファッションではない。簡単に着替えないことだ。