「本免許」は交付されたのか。
菅氏は「これまでは仮免許だったが、これからはしっかりと政権運営する」と締め括った去年だったが、国会の情勢で見る限りでは今年も仮免許でしかないようだ。
「仮免許」を頂戴すれば教官が助手席に座って「仮免許教習中」との看板を車につけて公道を走ることが出来る。しかし、菅政権を取り巻く情勢は厳しく教官役を伴わなければ公道を走ることは出来そうにない。だが去年の年末にかけて各野党に呼び掛けた「教官役」就任は断られ、仙谷教官も内閣から去らなければならないようだ。教官役がいなくても政権運営が「本免許」になっていれば問題ないが、仮免許で教官を伴わないで公道を走るのは道路交通法違反だ。
衆議院で2/3の確保も覚束なく、参議院では自らが党首として臨んだ参議院選挙で大敗し、政権与党が過半数を割ったままだ。それでも菅氏は「真剣」に国家の問題を話し合えば野党も同意してくれて予算関連法案も国会を通過するだろうとノー天気なことを言っている。
野党自民党は菅政権を倒しにきていて、他の野党も菅政権の不甲斐なさに与党と協力体制を組む状況にない。冷静に考えるまでもなく、菅政権はドン詰まりへ向かって突き進んでいる。しかし菅氏にそうした状況分析もないようだ。
「政権を掌握して」頑張る、と首相が新年会で発言するのも異常だが、公邸で開催された首相の新年会に参集したのが45人で、一兵卒の小沢氏の私邸で開かれた新年会に120人も集まったというのも菅氏の実力と小沢氏の実力の格の違いを表したものだろう。
大手マスコミが伝えるほど小沢氏は窮地に陥っていない。窮地に陥っているのは菅政権と、菅政権を選択した民主党だ。その事実が分からない民主党はこの国会を僥倖にも奇跡的に乗り切ったとしても、四月に実施される統一地方選挙で大惨敗するだろう。
なぜそうなったのかは民主党国会議員諸氏には分かっているはずだ。菅氏及び政権幹部は未だに大手マスコミ捏造の「政治とカネ」なるデマゴーグのスローガンを用いているが、その胡散臭さに国民は気づいている。それは最早菅政権浮揚の一助にならないどころか、大手マスコミのマヤカシにコミットする裏切りでしかない。
民主党凋落の原因は何か。それは明快だ。マニフェストで謳った原理原則を喪失して、大手マスコミに操られるままに党内抗争を繰り広げ(実態は一方的な菅・仙谷・前原・岡田の各氏による小沢氏への攻撃だが)て、政策はかつての自民党のように官僚に丸投げしてしまったからだ。
菅氏はこの13日までにも内閣改造をするのではないかといわれているが、どう看板を掛け代えても店主がスッカラ菅では起死回生の妙薬とはならないだろう。一日も早く退陣することだ。菅氏に残された道はそれしかないし、それこそが国家と国民のためだ。