映像流出がそれほど騒ぎ立てることなのか。

 極秘扱いの映像がYouTubeに流出したとして危機管理だ、外交問題だと騒ぎ立てているが、既に国対国の外交当事者間では映像をお互いに確認した上で交渉を行っているとみるべきだ。そうでなければあれほど激しく非難していた胡主席が相手国の日本へやって来るとは思えない。


 一方的にYouTubeにアップした者を非難するよりも、この程度のビデオを極秘扱いして、さらに国会で追い詰められて一部の国会議員にだけ編集した7分間程度のビデオを見せるという姑息な態度に終始した政府の対応責任の方こそが重大だ。


 


 それにより対中国に新たな問題が生じるかというと、反対だろう。むしろ中国当局の方こそ公表を望んだのではないだろうか。中国国内の尖閣問題に絡む「反日」デモ当事者に、今回の騒動が中国漁船による故意の衝突が日本の海保による一連の逮捕拘束に繋がったと分かれば正当性を失うだろう。尖閣問題による「反日」デモは終息せざるを得ないし、これ以降のデモは反政府デモだと宣言することもできる。


 


 それにしても漁船の操縦者は悪質だ。艦艇の船尾には舵があるため急所とされる。そこを目掛けて突入しているのは海保艦艇を航行不能にする意図があったと断定せざるを得ない。


 菅政府は弱腰というよりも重大な取引材料を自ら手放したことになる。なぜ即座に国際社会に向けてビデオを公表し、逮捕した船長を尋問して衝突意図を明らかにして中国政府を糾弾しなかったのだろうか。


 対抗措置として中国政府はフジタの社員など三人を拘束したが、彼らは中国国内への旧日本軍化学兵器遺棄の確認と処理の人たちだ。その処理費用は日本が持つが処理は中国政府が責任を持って行うとしてすでに日本政府は支払い済みだ。それが今になって問題になっているが経緯から見る限り純粋に中国の国内問題だ。この際、フジタなどの社員が拘束されたことを理由に、日本政府は化学兵器処理事業から即座に手を退くべきだ。それは中国政府が責任を持って行うことになっているし、その費用も支払い済みだ。いつまでも日本の政府と企業がデバ亀のように首を突っ込むから中国民と政府が勘違いするのだ。


 


 断固として筋を通すべき場合には、頑ななほど筋を通すべきだ。北方四島に関しても、露国大統領は日本で開催される国際会議にのこのことやって来るという。そこで日本は露国の人権問題を大いに論うことだ。チェチェンやウクライナなど露国のアキレス腱は幾らでもある。露国大統領がなぜのこのことやって来るのかを日本政府はじっくりと考えることだ。


 すでに日本は石油輸入量の9%を露国から輸入している。のっぴきならない関係になる前に、日本は中国と露国と両国の関係を深くしないことだ。シベリア原油は日本へ売る方が大陸を横断して欧州諸国に売るよりも露国にとって有利だ。だからご機嫌伺いに露国大統領はやって来るのだ。国際会議の議長として各国代表の前で菅氏は中国と露国を面罵する絶好の機会を得る。堂々と振る舞って両国を罵倒することだ。出来れば両国首脳が怒って即座に帰る方が良い。彼らはなぜ日本に来るのか。日本と本気で喧嘩したくないからだ。それなら本気で喧嘩を仕掛ければ良い。


 


 中国は喉から手が出るほど日本の省エネと環境技術を欲しがっている。日本が中国に支払う莫大なCO2排出権取引も中国の経済成長に織り込み済みだ。それがなくなるとすればエネルギー効率の悪い中国国営企業にとって致命的だ。日本はなぜ手の中のカードを有効に切ろうとしないのだろうか。カナダと同じようにCO2排出権取引のゲームから降りれば、たちまち世界に構築したまやかしのCO2温暖化悪玉説は霧のように解消してしまうだろう。経済で世界第二位になった中国の程度に日本のCO2排出があっても何の不思議があろうか。馬鹿げた土俵から早く下りることだ。


 


 日本は「排出権取引」などという自らを窮地に陥れる謀略から早く目覚めることが何よりも必要だが、同時に強力な外交カードは効果的に切ることだ。中国が公開するなと望むのは公開されると中国が困るからだ。それなら公開して中国の非を世界に知らしめ、悪逆非道な真実の中国漁船の振る舞いを中国民にも教えなければならない。すべての交渉はそれから始まるのだ。映像の流出はむしろ遅きに失した感はあるが、流出しないで推移するよりは日本と日本国民にとって遥かに良いことだ。



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