菅氏のための政権であってはならない。

　本来なら政策実現を目指して政権を獲得するものだが、菅氏にあっては自分が首相の座に座り続けるために政権維持しているかのようだ。しかも政権運営する上で欠かせない参議院での過半数獲得とか、衆議院での２/３以上の議席獲得とかいう連立工作に汗を流した痕跡も見られない。

　何という政権だろうか。それがこの期に及んで支持率１％でも政権を投げ出さないと言ったという。もちろん世論なぞは大して気にしなくて良いが、何をすべきかを語って、その政策実現のためには石に噛り付いてでも国民のために行う、というのが普通の政治家だ。菅氏は政策実現のために政権維持を図る普通の首相ですらない、権力欲だけの最低の政治家だといわざるを得ない。

 

　こうなるのは最初から分かっていた。年内維持すら覚束ないと誰もが見ていた。それを先の代表選挙でマスコミが「一年程度で首相が交代するのは良くない」という愚かな理由で小沢氏を蹴落としたのだ。しかも検審会議決を代表選当日に出していて、万が一にも小沢氏が勝つとそれを発表して強引に小沢氏を引き摺り下ろす算段でいた。それがために信念なき民主党国会議員が菅氏支持へ回ったという。かくも政局マターで検審会が利用されたとは真偽のほどは別として検審会事務局の浅薄さには驚きを禁じ得ない。彼らは誰のために職務を遂行しているのか、公開の場で説明する責任があるだろう。

 

　必ず、真実は露見する。マスコミが長年言ってきた沖縄県民の願いだった基地の県外移設を口にした鳩山氏が米国紙からも「ルーピー」と評され、出来もしない辺野古沖移設を言い始めた頃から民主党政権はおかしくなった。誰かの強力な意思で強引に民主党政権公約が捻じ曲げられ、国民の思いとは別にどんどんと第二自民党化していった。そして今、半島で北朝鮮が少し騒いだだけでマスコミは「戦争の危機」を煽って日本の米軍基地を正当化しようとしている。

　冗談じゃない。金政権が自らの心地良い統治者としての立場を反故にするような戦争をするはずがない。彼らは取引材料としていつもの瀬戸際外交を今回も行い、その権力ゲームに韓国民の尊い命を弄んだだけだ。その蛮行は許し難いが、それを理由に日本に駐留する第七艦隊のジョージワシントンが参加して米韓合同演習を行うのだ。当然、ジョージワシントンの駐留経費のほとんどは日本国民の税により賄われている。

　米国にとってこれほど好都合なことはない。極東での米国のプレゼンスは日本国民の負担の上に成り立っている。それなら極東に不安材料がいつまでもある方が、日本国民から負担を差し出させる合理的な根拠があるというものだ。それなら尖閣諸島の問題も起こった方が米軍には都合が良いし、北方四島も未解決のまま推移した方が、米軍駐留の理由の一つとして使える。

　そして中国の共産党政府に対峙する人民解放軍も、米軍が日本や韓国に展開している限りは膨大な国家予算を食い潰して空母を5艦も建造しようと貧しい国民の反発を受けないで済む。何事も官僚的な発想からすれば「仕事を創る」上で若干の紛争は有効マターなのだ。

 

　半島で戦争は起こらない。紛争は瀬戸際外交より他にカードを持たない金政権の専売特許だ。今後も小競り合いは起こすに違いないが、それを本気で中国も米国も叩き潰すことはしない。そうする方が両国の利益だからだ。

　イラクでは「大量破壊兵器があるかも知れない」という段階で進攻してフセインを捕縛して死刑にした。それと同じ基準で米国が行動するなら北朝鮮の金政権は十年も前に殲滅されていたはずだ。それがなぜ今日も存続して直接的な脅威を与えているのか、その答えは既に述べた。韓国や日本への脅威は中国軍部や米軍の蜜の味だからだ。

　このような用心棒にいつまで日本は頼るつもりだろうか。鳩山氏が米国と対等な関係になるべき、と言ったのは正しい。日本が独立国家なら当然そうならなければならない。それが突如として「学べば学ぶほど米海兵隊が必要だと理解した」と言い始めた頃から鳩山氏の「日米対等」の意思と覚悟は失われた。そして菅氏には最初から日米対等の意思も何もなかった。

 

　こんにちそうした意思を持つ政治家は小沢氏だけだ。よって司法当局と官僚組織によってネグレクトされマスコミが捏造疑惑のプロパガンダをタレ流している。昨日も読売新聞などに小沢氏の後援会組織に旧新生党の政治資金３億円余が寄付されたと、さも疑惑があるがごとく匿名の専門家の意見までご丁寧に付記していた。バカバカしいにもほどがある。政治資金収支報告書に記載されていたのは公開されるのを前提にしたものだ。そこにどんなバカが疑惑を記載するというのだろうか。適法に処理され疑う余地のないものを、日本のマスコミは書き立てて疑惑を捏造する。かくも幼稚なマスコミを持つ日本は未だに独立国とはいえない状態にある。

　最低限、日本の国は日本人が守る、という強い信念を持ち何ものにも怖れない明治人の気概と覚悟を日本人が取り戻すことだ。そうしない限りコントロールされた危機に日本はいつまでも翻弄されるだろう。その日本の舵取りに菅氏は余りに相応しくない。一日も早い退陣を望む、それが日本の国益だ。