確認書は単に確認しただけだ。
まず議論を始める前に、どの確認書を指しているのか明らかにしたい。小沢氏に関して今回問題とされている不動産購入取引の根本は政治団体「陸山会」で不動産登記することが出来ないから「小沢一郎」名義でで05年1月7日に取得したことに端を発する。その土地が「陸山会」のものであると確認する目的で個人の「小澤一郎」と政治団体代表者「小沢一郎」との間で交わした書面を指しているのだろう。
爾来、小沢氏は個人を表記する場合は「小澤」を用い、政治家たる小沢氏を表記する場合は「小沢」を用いている。その規則性は厳格なほど一貫していて、当該土地取引でも見事に使い分けられている。つまり最初に(04年10月)当該土地に所有権移転の仮登記をした場合には個人たる小沢氏が個人資金を一時立替えて仮登記をしたことから「小澤」となっている。そして農地法に基づく五条申請が認められ所有権移転がなされ銀行から「陸山会」が借り入れて個人たる小沢氏に立替え資金を返還して登記した時には「小沢一郎」となっている。
確認書は本来不必要なものだ。個人たる「小澤」か政治団体の代表者たる「小沢」かは表記の使い分けから明白だ。しかしそこが分からない、あるいは故意に分かるまいとする人たちのためにこの問題が表面化した折に確認書をわざわざ作ったのだ。だがその作成時期がいつであろうと問題はない。それは政治資金規正法に基づく収支報告書でも添付すべき必要要件とはされていない。
他にも政治団体で不動産を取得している政治家はゴマンといる。彼らも確認書を交わしているのか、というと必ずしもそうではないだろう。収支報告書は公開されているが、それに付随する「確認書」まで提出の義務化はされていないし公開もされていない。いや確認書はあくまでも内部的な整合性の「確認」に過ぎず、収支報告書に不動産購入の金銭支出があって当該時期に不動産登記がなされていれば政治団体による取得と見做すしかないだろう。
小沢氏の場合は所有権移転の仮登記をした時の金銭支出は個人による立替金(仮受金)だから収支報告書に記載されていないのは当然のことだ。複式簿記なら個人からの借り入れとして記載すべきだが、単式簿記を採用している収支報告書では記載要件とはなっていない。そして銀行借り入れと立替金を小沢氏へ返金した時に記載されているのは当然のことだ。だから確認書の記載日ズレを問題とすべきと主張する御仁ははからずも収支報告書がよってたつ会計処理手続きと農地法及び登記法に関する無知を証明しているに過ぎない。
本当に問題があるとすれば4億円もの財産移転を国税当局が「贈与認定」しないはずもなく、検察当局は国税当局の贈与税の脱税告発を受けて小躍りして立件しているはずだ。その程度のことも分からずに「確認書の作成時期が問題だ」と騒ぎ立てる御仁の問題の把握力欠如と収支報告書と登記簿謄本との相互事実関係の理解力のなさには呆れるばかりだ。