小沢氏の登板は近い。
国民はとことん行き詰らないと分からないのだろう。菅氏に政権運営を任せて何も出来ないし、またしても空虚な数ヶ月がいたずらに費やされるだけだということが。
菅氏の無策ぶりは組閣にも表れている。本当に挙党体制を作るのなら、政権は菅氏で党運営は小沢氏に任せる、というのが筋だ。当然幹事長は小沢氏に任せて、党三役の任命も小沢氏に任せるべきだった。
小沢氏なら菅氏ほど露骨な「小沢支配」を党運営でやらなかっただろう。その良い例が生方氏が小沢幹事長批判を繰り広げて副幹事長を辞任するように迫られた折、慰留したのは小沢氏本人だった。彼は自分にも人にも厳しいが、決して自己保身から攻撃的に厳しいのではない。
鳩山氏と輿石氏と小沢氏の三人が会食したようだが、菅氏が政権を投げ出して次の代表選があるとしたら民主党所属の国会議員だけによる選挙だ。前原氏が相手になるのか、それとも岡田氏か分からないが、いずれも小沢氏に対抗できる人物ではない。
10月に出される第五検審会の二回目の議決が「不起訴不当」になる見通しだといわれている。散々検察による虚構で小沢氏の政治力を殺ぎ、大マスコミが「政治とカネ」キャンペーンを繰り広げたが、これ以上続けると怒った小沢支持派の人たちによる他の国会議員の告発合戦になる可能性が出て来たため、そろそろ収束を図るようだ。
時恰も、大阪地検特捜部であってはならない検事による証拠改竄事件が発覚した。これ以上小沢氏を追い詰めると、反対に検察の裏金騒動の蒸し返しなども起こって、検察も大きな傷を負うことになる。
テレビなどもヤメ検をコメンテータに登場させて必死になって検察寄りのコメントを流しているが、そうした田舎芝居に国民は気づき始めている。ここで小沢氏に「不起訴不当」議決が出て強制起訴になれば、公判で小沢氏に対する検察の捜査が実態のない空疎な「事件」を延々と引っ張ってきたことが露骨に露見することになる。
しかし、検察と大マスコミがここ一年半以上も繰り広げてきた「政治とカネ」キャンペーンで小沢氏を攻撃してきたのは何だったのだろうか。日本の政治を一幕の勧善懲悪の芝居仕立てに書き上げて、小沢氏を悪役に貶めた。その間に、日本が失った損失は計り知れない。
今も大マスコミは出来もしない辺野古沖への移設を政府に求め続けている。11月には沖縄知事選で明確にその結果が示されるだろう。鳩山氏が決まっていた日米合意をひっくり返したから責任は鳩山氏にあるがごとく言うが、それは明らかな間違いだ。
現沖縄県知事も沖縄県議会も、自民党政権による年100億円の沖縄振興費に釣られて黙り込み、10年間も受け取り続けた挙句にこの期に及んで反対を表明しているだけだ。中途半端な情報開示ではなく、徹底した情報の公開をするのがマスコミの在り方ではないだろうか。
菅氏は11月まで移設の結論を引き延ばしたが、既に日米合意は頓挫してしまっている。決まったことを前原氏も「粘り強く地元を説得する」と表明したが、出来もしないことを表明して虚勢を張るのが彼の持ち味だ。八ッ場ダムはどうなった、JALの政府案による再建はどうなった、高速道路無料化の実験はどうなった。彼は何一つとしてやり遂げないまま、国交省を放りだしたのだ。
民主党の非小沢氏のオールスターキャストが現在の菅政権だ。いかに非力で実践力に課題のあるメンバーか疑問の余地はないだろう。10月から始まる補正予算国会にしても、まともに議論に入れるとは到底思えない。その前に円高対策の無為・無策や尖閣諸島問題や景気の現状認識などで臨時国会は時間切れとなる可能性が高い。年末の来年度予算審議入れを待たずして、菅政権は頓挫する可能性すらある。
連立組み替えを本気でやろうとしない菅氏は政治センスの欠如した政治家だ。国会対策を本気で考えない政権が存在すること自体が驚きだが、政策ごとに野党と話し合えば何とかなると本気で考えているとしたら当事者能力の欠如した政権だといわざるを得ない。一日も早い菅政権の退陣を国家と国民のために願うしかない。