政策なき、耳触りの良いスローガン
「1に雇用、2に雇用、3に雇用」とスローガンを急に発し始めた菅氏だが、その具体的道筋が見えない。今日行われた戦略会議で「雇用を改善すると産業界が元気になり、景気が良くなる」とまるで反対の順序の因果関係を口にした。菅氏は経済音痴なのではないかと怒りよりも同情を覚える。
穿った見方をしても、雇用が改善されれば個人消費が伸びて産業界に良い影響を与えるから、まずは雇用対策を実施するという意味なのかと頭を捻ったりする。
しかし雇用するのは政府ではない。民間企業であって、景気が回復して増産体制に移り人手が必要になって初めて雇用効果が出てくるのだ。まず雇用から始まる経済の双六はない。
なによりも雇用の場を奪う円高が菅氏の無策により昂進し、国内的にはデフレ効果が現れている。そうすると個人消費はじり貧となり、国内産業は工場移転を本気で画策しなければならなくなる。一番の好例が日産マーチだ。国内生産は一台もせず、すべてタイで製造された製品を輸入しているのだ。幾らマーチが売れても国内雇用の改善に役立たない。円高ではそうした状況が進むのだ。いかに雇用とスローガンを叫んでも、実は真逆のことを菅氏はやっているのだ。
そのような無能・無策の総理大臣を続投させるほどこの国は暇ではない。しかし、ありもしない「政治とカネ」のプロパガンダで小沢氏を排除しようとする大マスコミは早くも「菅氏優勢」と書き立てている。衆議院で2/3の議席を持っていても「可哀想なぐらい苦労しているんですよ」と福田氏をして言わしめた。菅氏は衆議院で2/3を得ていない深刻なネジレにも拘らず「話し合えば何とかなる。最悪の場合は野党案を丸呑みすれば良い」と考えているようだが、甘いと言わざるを得ない。
そしてどうしても譲れない政策がないのなら、一日も早く退陣することだ。菅氏よ、あなたが総理の椅子に座っていることがこの国の景気対策に悪影響を及ぼしているのだ。世界金融では菅氏は無能との烙印を押されてしまったため、何を言い出しても為替に微塵も影響を及ぼさない。