民主党の党内民主主義はどうなっているのか。
民主党内で消費税増税を論議していたと寡聞にして知らない。鳩山氏が本人の口約束で勝手に「最低でも県外」と口走って自滅した轍を菅氏も踏もうというのか。鳩山氏の言った「最低でも県外」は党内論議されたものではなかった。それでも鳩山氏の場合は沖縄県民の米軍基地負担軽減という人道的配慮はうかがえた。だが菅氏の場合は財政再建をやみくもに主張する財務省官僚への配慮しか窺えない。
消費税増税という国民生活に大きな影響を及ぼす事柄を菅氏が一人で決して発議したとしたら大問題だ。民主党の要綱にはどうなっているのか知らないが、政権与党の党内論議と決定を以て政権が他党との協議を呼びかけるのが筋だ。そうした手続きを経ていなければ民主党代表による独断専行ということになる。小沢氏以上の強権発動に対して党内から異論が全く聞こえてこないのはどうしてだろうか。あれほど小沢氏の場合には密室にして強権的だと批判していた面々は何をしているのだろうか。
菅氏の強権的な態度は同時に危うさも兼ね備えている。なぜならばどのような論理的裏付けを以て「自民党の言う10%も一つの検討案だ」と評したのだろうか過程が全く分からない。単に菅氏の脳裏に閃いた数字だ、というのなら鳩山氏の「最低でも県外」発言と大して変わらない、覚悟も戦略もない思いつきに過ぎないことになる。その程度の軽い発言で「選挙公約」だと強弁するのは止めてもらいたい。総理大臣の発言として羽毛のように軽いのはいただけないし、失言による風評被害を沈静化するためにカイワレ大根を食べたようなパフォーマンスでは済まされない事柄だ。
重ねて民主党に問う。党内の税調に相当する機関で討議され、党内手続きを経て出された数字を代表でもある菅首相が発表して野党に呼び掛けたのか。それなら10%以外にどの程度の数字の幅と、福祉目的にはどの程度の範囲までを想定しているのか。そして歳入増に見合う歳出はどの程度の年数まで賄えるのか、しかるべき立場の人のご回答を願いたい。