また出たゾ、高市経済政策に対する実にオールドな、オールドメディアの批判。
<大盤振る舞い一辺倒の財政では、物価高を助長し、将来世代に巨額の借金を背負わせかねない。国民の暮らしを立て直す道筋も見えてこないのではないか。
「積極財政」を掲げる高市早苗首相が新たな経済対策をまとめると表明した。市場は大型予算による景気浮揚を見込み、日経平均株価は5万円の大台に迫った。
足元では、コメなど食料品を中心とした値上げに歯止めがかからない。政府が今年行った世論調査で「食生活に不満」と答えた割合は4割近くに増え、調査を始めた2008年以降最も多くなった。
対策を急ぐのは当然だ。ただ大きな打撃を受けているのは低所得層である。こうした人たちに絞って支援すべきだ。懸念されるのは、大規模な対策で消費が過度に刺激され、物価が更に押し上げられることだ。
新アベノミクスに懸念
首相が意欲を示す政策はばらまきと言われても仕方がないものが並ぶ。ガソリンの暫定税率廃止や、「年収の壁引き上げ」と呼ばれる所得税の減税は、高所得者にも恩恵が及ぶ。自治体が自由に使える交付金も大幅に拡充する方針だ。
日銀の利上げをけん制してきたことも見過ごせない。昨年の自民党総裁選で「金利を上げるのはアホ」と批判し、最近も「金融政策の方向性を決める責任は政府にある」と述べた。低金利のままなら円安が進み、物価高に拍車をかける。
積極財政と金融緩和を柱とする政策は、首相が手本とする安倍晋三元首相に倣って「ニューアベノミクス」と呼ぶ手法だ。しかし安倍政権が発足した12年当時はデフレ脱却が大きな課題だった。現在は経済状況が全く異なる。
首相は追加の国債発行も辞さない考えだ。だが日銀が金利を低く抑え込んでいたアベノミクス期と違い、今は金利が上昇し、借金を膨らませている。
そもそも首相には深刻な財政への危機感が乏しい。日本の借金残高は国内総生産(GDP)比で200%強と先進国で最悪だ。首相は「政府の金融資産を考慮すれば80%台」と唱えてきた。金融資産を売って借金返済に充てられると言いたいのだろう。
実際は、年金積立金を運用している株式が多く含まれ、売却は難しい。実態より良く見せかけ、財政出動の正当化に利用しようというのなら問題だ。
「経済成長によって財政が健全になる」との主張も疑問だ。
人工知能(AI)や半導体など先端技術に国が集中的に投資し、「強い経済」を実現すれば、税収も増えるという。ただ、国際競争は激しく、政府が過去に支援した事業は失敗を重ねてきた。
日本総研の河村小百合主席研究員は「楽観的な見通しを立てて財政を拡張するのは危険だ。市場の信認を失い、国債が売り込まれて金利が急騰すれば、経済に深刻な打撃を及ぼす」と警鐘を鳴らす。
引用した社説「高市新政権 物価高と積極財政 暮らし再建の道筋見えぬ」は日本を代表するオールドメディアらしい、と頷かざるを得ない。なぜなら経済論理や財政判断が財務官僚のソレでしかないからだ。
「積極財政」を掲げる高市早苗首相が新たな経済対策をまとめると表明した。市場は大型予算による景気浮揚を見込み、日経平均株価は5万円の大台に迫った。
足元では、コメなど食料品を中心とした値上げに歯止めがかからない。政府が今年行った世論調査で「食生活に不満」と答えた割合は4割近くに増え、調査を始めた2008年以降最も多くなった。
対策を急ぐのは当然だ。ただ大きな打撃を受けているのは低所得層である。こうした人たちに絞って支援すべきだ。懸念されるのは、大規模な対策で消費が過度に刺激され、物価が更に押し上げられることだ。
新アベノミクスに懸念
首相が意欲を示す政策はばらまきと言われても仕方がないものが並ぶ。ガソリンの暫定税率廃止や、「年収の壁引き上げ」と呼ばれる所得税の減税は、高所得者にも恩恵が及ぶ。自治体が自由に使える交付金も大幅に拡充する方針だ。
日銀の利上げをけん制してきたことも見過ごせない。昨年の自民党総裁選で「金利を上げるのはアホ」と批判し、最近も「金融政策の方向性を決める責任は政府にある」と述べた。低金利のままなら円安が進み、物価高に拍車をかける。
積極財政と金融緩和を柱とする政策は、首相が手本とする安倍晋三元首相に倣って「ニューアベノミクス」と呼ぶ手法だ。しかし安倍政権が発足した12年当時はデフレ脱却が大きな課題だった。現在は経済状況が全く異なる。
首相は追加の国債発行も辞さない考えだ。だが日銀が金利を低く抑え込んでいたアベノミクス期と違い、今は金利が上昇し、借金を膨らませている。
そもそも首相には深刻な財政への危機感が乏しい。日本の借金残高は国内総生産(GDP)比で200%強と先進国で最悪だ。首相は「政府の金融資産を考慮すれば80%台」と唱えてきた。金融資産を売って借金返済に充てられると言いたいのだろう。
実際は、年金積立金を運用している株式が多く含まれ、売却は難しい。実態より良く見せかけ、財政出動の正当化に利用しようというのなら問題だ。
「経済成長によって財政が健全になる」との主張も疑問だ。
人工知能(AI)や半導体など先端技術に国が集中的に投資し、「強い経済」を実現すれば、税収も増えるという。ただ、国際競争は激しく、政府が過去に支援した事業は失敗を重ねてきた。
日本総研の河村小百合主席研究員は「楽観的な見通しを立てて財政を拡張するのは危険だ。市場の信認を失い、国債が売り込まれて金利が急騰すれば、経済に深刻な打撃を及ぼす」と警鐘を鳴らす。
持続可能な政策が必要
連立を組む日本維新の会は歳出の効率化を唱えてはいるが、積極財政のブレーキ役になれるか、懐疑的な見方が出ている。
維新が要求した高校授業料の無償化は、財源確保のめどが立たないまま今年度から導入された。連立の合意文書には、維新が主張する「食料品の消費税率2年間ゼロ」の検討も盛り込まれた。実施すれば、税収が年5兆円減り、税率を元に戻せる保証もない。消費税収で支えている医療や介護のサービス低下を招きかねない。
これまでの政府の物価高対策はその場しのぎの給付や減税を繰り返し、効果は限られた。首相の経済政策は、先端技術への投資で防衛力をはじめとした国力を強化することに力点が置かれ、暮らしを底上げする視点は乏しい。
格差の拡大が物価高に苦しむ人を増やしている。求められるのは賃上げと所得再分配を通じて、縮んだ中間層を復活させることだ。
中小企業の生産性向上を支援し最低賃金引き上げを図る必要がある。非正規労働者が4割近くを占める構造を変えることも急務だ。
再分配の柱になるのは、低所得者向けの給付と減税を組み合わせた「給付付き税額控除」である。早急に検討すべきだ。
財源の確保も欠かせない。金融所得課税の強化などで富裕層や大企業に負担を求めれば、格差を是正する効果も見込める。
持続可能な財政を構築し、国民の生活も支える。その両立に努めるのが政治の役割である>(以上「毎日新聞」より引用)
連立を組む日本維新の会は歳出の効率化を唱えてはいるが、積極財政のブレーキ役になれるか、懐疑的な見方が出ている。
維新が要求した高校授業料の無償化は、財源確保のめどが立たないまま今年度から導入された。連立の合意文書には、維新が主張する「食料品の消費税率2年間ゼロ」の検討も盛り込まれた。実施すれば、税収が年5兆円減り、税率を元に戻せる保証もない。消費税収で支えている医療や介護のサービス低下を招きかねない。
これまでの政府の物価高対策はその場しのぎの給付や減税を繰り返し、効果は限られた。首相の経済政策は、先端技術への投資で防衛力をはじめとした国力を強化することに力点が置かれ、暮らしを底上げする視点は乏しい。
格差の拡大が物価高に苦しむ人を増やしている。求められるのは賃上げと所得再分配を通じて、縮んだ中間層を復活させることだ。
中小企業の生産性向上を支援し最低賃金引き上げを図る必要がある。非正規労働者が4割近くを占める構造を変えることも急務だ。
再分配の柱になるのは、低所得者向けの給付と減税を組み合わせた「給付付き税額控除」である。早急に検討すべきだ。
財源の確保も欠かせない。金融所得課税の強化などで富裕層や大企業に負担を求めれば、格差を是正する効果も見込める。
持続可能な財政を構築し、国民の生活も支える。その両立に努めるのが政治の役割である>(以上「毎日新聞」より引用)
引用した社説「高市新政権 物価高と積極財政 暮らし再建の道筋見えぬ」は日本を代表するオールドメディアらしい、と頷かざるを得ない。なぜなら経済論理や財政判断が財務官僚のソレでしかないからだ。
「なぜ日本経済は35年間も停滞して、国民が貧困化したのか」という基本的なコンセプトすら国民と共有しないようでは、メディアとしての使命も尽きたというべきだろう。なぜなら報道機関は政権を監視し国家と国民のために事実を伝えることだからだ。
しかし依然としてオールドメディアは「失われた35年」を演出した財務省支配の財政・経済政策を批判することなく、「積極財政出動はツケを未来に遺す」という古色蒼然たる静態経済学的洞察を繰り返しているだけだ。
この手の経済利権に対する批判を何度も書いたが、また繰り返さざるを得ない。国債の発行残はその残高のみで見るべきではない。日本の公的簿記は江戸時代の大福帳を踏襲する「単式簿記」だから対照勘定が表記されて記録されていない。本来なら<貸方 道路>が資産の部に記載されなければならない。また政府会計の全体を俯瞰するためには連結決算をすべきだ。そうすると政府子会社の日銀や政府が出資して設置した様々な「公的事業団」や「基金」も連結すべきだ。もろん外為特別会計や年金基金なども連結すべきだ。そうすれば日銀だけを取り上げても国債の約52%を日銀が保有しているから、国債残は日銀持ち分と相殺されて600兆円ほどになる。そうすれば国債残はGDP620兆円以下となり、国際的に比較しても決して多いとはいえない。
消費税に関しても2024年度の総額は23兆923億円だが、輸出還元金が7兆円から9兆円程度と推計され、それを差し引いた真水は16兆円ほどだ。消費税をすべて停止または廃止したとしても、それほど大きな額ではない。むしろ国民が可処分所得として消費する金額に上乗せする約24兆円が新たな消費に回るとするなら、それだけ企業収益が増えることになる。
また消費税廃止または停止によることから高額消費財の家や車やクルーザーや海外旅行などに対する需要が喚起されるだろう。そうした国民の消費マインドが刺激され、個人消費が拡大すれば経済は必ず拡大し、経済成長の循環に入るだろう。ただ用心すべきは法人税率を旧に復しておかなければ、経営者たちは株主の機嫌取りのために配当を増やそうとして内部留保を大きくしかねない。それを防ぎ、労分配率を上げるためにも法人税率を引き上げておかなければならない。その緩和措置として研究開発控除や技術開発控除、あるいは新規投資控除などの経済発展投資に対して優遇措置を講じることも必要だ。
そして抜本的な改革が必要な農政に関して、たとえばオールドメディアは米価の国際相場を知っているはずだ。タイ米などの国際相場は1kgが50円前後だ。カリフォルニア米ですら1kgは135円だ。日本のコメがいかに高いか、日本国民に報せないで国内政策で済ませようとする報道姿勢は日本の農政が国際的には異常状態にあるまま放置することになる。それで「国際競争力」を日本農業は持っているなどとトボケた報道をしている。
嗜好品としての果物は高額でも一部の富裕層相手だから取引可能だが、主食たる穀物類は全く通用しない。ことに日本のコメは国際比較では天井知らずの異常状態だ。しかし国際相場で取引すれば日本の農家は全滅する。それは欧米でも同じだから、それぞれ「農家の戸別所得補償制度」や「農産品全量買取制度」を導入している。日本の農政もそうした制度に移行すべきだが、そうした議論すら出ていない。新しく就任した鈴木農相は「私は元農水官僚で農業の専門家だ」と豪語し、「米価は最終的に市場原理に委ねるべきだ」と能天気な発言をしている。彼が云う「市場原理」の市場とは堂島市場のことだろうが、国際的な市場も存在することを忘れてはならない。日本の農産品の門戸を完全開放しても、市場原理で米価を決定すれば良い、などと発言できるだろうか。日本の農政を大転換しなければ生産者と消費者の両方にとって政府は無能・無策ということになる。
日本国債について一言付け加えるなら、日本国債に対する「CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)」はG7諸国の中でもドイツに次いで低い。つまり日本国債の信用力が高いことを示している。(*CDSとは国債がデフォルト(債務不履行)するリスクを測るための保険のような金融商品で、CDSの保険料率(スプレッド)は、国債の信用度を反映し、この料率が低いほど信用度が高いとされている。ちなみに韓国債のCDSは日本の倍で、中国債は日本の4倍だ)
それほど国際的に信用度が高いとされている日本国債をオールドメディアは明日にも破綻するかのように書き立てて日本国民を「緊縮・増税」財政政策漬けにして来た。その愚行をまたしても繰り返して、高市氏の経済成長策を潰そうとするのは日本の国家と国民に対する裏切りでしかない。なぜCDSなどの事実を決して書かないのか、オールドメディアの偏向報道には呆れ果てる。