同盟国たる米国と未来も常に利害が一致するとは限らない。

<日米両政府は、トランプ米大統領の27日からの来日に合わせ、造船に関する協力覚書を結ぶ方向で調整に入った。両国で作業部会を設置し、造船能力の増強を図る。安全保障上、重要な海上輸送力を高め、船舶の建造量で世界トップの中国に対抗する狙いがある。

 金子国土交通相と米国のジョージ・グラス駐日大使が署名する方向だ。協力覚書案によると、「日米造船作業部会」を設置し、造船業振興へ向けた協力を進める。日米の企業が連携して造船所の建設や整備に投資し、競争力や効率性を向上させる。
 造船は、日米関税交渉の合意に基づく5500億ドル(約80兆円)の対米投資に盛り込まれた協力分野の一つだ。覚書案では、「強力かつ革新的な造船産業が、両国の経済安全保障、 強靱きょうじん 性、競争力に極めて重要だ」と明記した。日米両政府が結ぶ造船に関する協力覚書のポイント
 国交省によると、中国は近年、船舶の建造量の世界シェア(占有率)を拡大させており、今後の建造量に反映される受注量では2024年に7割を超えた。日本の受注量は減少傾向にあり、24年は8%にとどまった。日米両国には、造船で中国への依存度が高まれば、有事の際などの海上輸送に支障が出かねないとの問題意識がある。建造量の国・地域別シェア(国土交通省の資料などから作成。2024年は速報値)
 日米で建造の互換性を高めるため、船舶の設計や部品の仕様を共通化することも検討する。共同の技術開発を円滑に行えるようにするほか、日本企業が設計した部品を米国の造船所で生産することなどを念頭に置いているとみられる。修理や部品供給で融通しあうことも可能としたい考えだ。
 造船業に必要な人材の獲得や育成も強化する。覚書案には、人工知能(AI)など先進技術の開発・導入を進め、船舶の設計や機能性を向上させることも盛り込んだ。
 高市首相とトランプ氏が28日に行う首脳会談にあわせ、両国はレアアース(希土類)など重要鉱物の供給力強化に関する協力覚書も結ぶ見通しだ。共同開発に向けた投資促進や、供給の多角化などが盛り込まれるとみられる。レアアースの輸出を規制する中国に依存しない供給網の構築を目指す>(以上「読売新聞」より引用)




造船能力増強で日米覚書…トランプ大統領の来日に合わせ調整、世界トップの中国に対抗」との見出しを見て、日米協調体制に入るのを歓迎する。そのためには米国が頑なに堅持している米国工業規格のインチを一日も早くやめて、国際標準のメートルに切り替えることを望む。
 それは工業製品だけでなく、武器等から建材規格まで米国製品と国際製品との代替性を著しく損なうものだからだ。米国の製造業が押しなべて世界から取り残されつつあるのも、そうした点に原因があるかも知れない。

 中国が造船業界で世界シェアの半分近くを占めているのは、中国の造船企業が殆どすべて国営企業だからだ。企業投資も国が支援するため国際価格競争力が他の国とは比較にならないほど強いため、少しくらい品質面に問題があっても中国に注文せざるを得ない。また、LNG船などに関して中国は日本造船企業を定年退職した技術者を好待遇でリクルートして、製造技術を習得してきた。
 現在ではタンカーなどの汎用輸送船に関しては価格面で中国に太刀打ちできないが、技術力が大きくものをいうイージス艦などの建造では日本の造船業界は他国の追従を許さない。米国が世界に誇る空母を保有しているが、その改修工事などは技術力の低下から米国内のドックでは出来ないため、日本の造船ドックに頼っている。

 艦船を建造する場合は船体そのものの建造が基礎になるが、各種設備などを艤装する技術力が艦船の能力を決定する。だから一般的な商用船の造船と軍艦などの艦船の造船は分けて考えなければならない。
 ことに日本が開発しているレールガンやレーザー砲、さらにはHPM(高出力マイクロ波)などの装備を艦載するには高出力発電装置の設置が必須となる。今後は安全で高出力の発電装置としてマイクロ原発などが有望だが、実用化へ向けて高電圧半導体や高出力コンデンサーなどの開発も急がなければならない。そうした総合的な科学技術と船体設計が両立しなければ兵器としての性能を満たすとされなくなる。

 すでに何歩も前を行く日本の造船業に米国が触手を伸ばすのは理解できるが、易々とすべての技術を公開し供与するのは避けた方が良い。それらは日本の切り札として日本固有の知的財産として秘匿するのも日本の防衛戦略の一環として重要だ。
 だから国家機密を守るためのスパイ防止法はもちろんのこと、そうした国家防衛戦略に関わる産業機密に関しても、スパイ防止法で厳重に保護すべきだ。ことに日本の科学技術を常に狙っている中国に対して、簡単に留学生や研究者を受け入れている現体制は政策転換すべきだ。

 同盟国の米国とはある程度は連携を取りつつも、完全一体化は避けるべきだ。先の大戦は米国主導によるABCD包囲網が日本を戦争へと踏み切らせた。当時の米国は秘かに中国と手を結ぶ「近攻遠交」策を用いた。国際戦略とはそうしたものだ。米国と日本の利害が常に一致するとは限らない。政治家であれば歴史から学ぶべきだ。未来の日本国民に対して、間違いのない外交戦略を立てるべきだ。

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