トランプ関税の目的は対中デカップリングと「米国ファースト」の実現だ。なにも米国の物価高騰を目指しているわけではない。そのことを間もなく知ることになるだろう。

<トランプ米大統領は13日、中国などから輸入するスマートフォンやコンピューターを相互関税の適用から除外する措置は一時的とする政権の最新のメッセージを強調し、半導体部門に対する国家安全保障上の貿易調査を実施すると表明した。

 トランプ氏は、これらの電子機器は「単に別の関税カテゴリーに移るだけだ」とし、「近く実施する国家安全保障に関する関税調査で、半導体や電子機器のサプライチェーン(供給網)全体を精査する」と、自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。
 ホワイトハウスは11日、スマホなどの電子機器について、相互関税の免除を発表。海外で製造して米国に輸入しているアップルなどのハイテク企業に大きな恩恵をもたらすとみられていた。
 トランプ氏の13日の投稿に先立ち、ラトニック米商務長官はABCの番組インタビューで、これらの電子機器が今後2カ月以内に半導体とともに別の新たな関税の対象になると述べていた。トランプ氏の関税政策を巡っては発表が二転三転し、先行き不透明感から米株市場は先週、乱高下した。
 ラトニック氏は、トランプ氏が半導体や医薬品を対象とした分野別の関税と並行して、スマホやコンピューターなどの電子製品を対象とした関税を1─2カ月以内に発動する予定だと述べた。
 ラトニック氏は「(トランプ氏は)これらの製品が相互関税の対象外だと言っているが、おそらく1、2カ月後に導入される半導体関税には含まれる」と述べ、それにより、これらの製品は米国で生産されるようになると予想。「これらは国家安全保障に関わるもので、米国で製造される必要がある」とした>(以上「REUTERS」より引用)




 トランプ関税に対抗措置を講じなかった国々に対して、トランプ氏が90日の猶予措置を講じたことから、中国は一時期意気消沈していたが、トランプ氏が「スマホやパソコンなどはトランプ関税から除外する」と発言したことから「中国は決してトランプ関税に負けない」と得意満面になっている。カメレオンのように面白いように顔色がサット変わる芸当を中国は見せている。だが「「別の関税カテゴリーに移るだけ」...トランプ米政権、スマホなど電子機器「関税免除」から一転」と引用記事は報じている。
 つまり中国から輸入するスマホやパソコンにトランプ関税を課すとは米国の巨大IT企業Appleやを直撃するから、一時的にトランプ関税から外しただけだ。しかし基本的には米国が必要とするIT機器を外国製造に依存するのは国家安全保障面から見ても安全とは云えない。よって、必ずやトランプ関税を課して、国内製造への回帰を促すと見るべきだろう。

 トランプ関税からスマホやPCを除外する、とトランプ氏が発言したことから急に中国は強気になったが、その後のホワイトハウスから漏れ来る声を聞いていると「スマホやPCは一時的に除外するが、トランプ関税から免除するわけではない」と一時的な措置でしかないことを表明している。
 つまりアップルなどがスマホやPCを中国で製造していることから、トランプ関税ショックを受けないように一時的な措置を講じただけだ。対中トランプ関税の発効から中国の対米輸出が免除されることではない。

 トランプ氏は国家の命運を決めるような主要部品や主要製品は米国内で製造すべきだ、と考えているようだ。なんでも経済原理で「国際分業」をして利益を手にすれば良い、というものではない、と企業経営者に思い知らせている。
 NVIDIAやマイクロソフトなどが台湾や中国で製品を製造しているのは米国の主要部品や製品のノウハウの機密保持を危うくするものだとトランプ氏は危惧している。まさに中国は欧米や日本の知的財産を奪って自国内でコピー製品を製造してきた。中国製が席巻している家電製品や太陽光発電パネルなどはそうして日本から奪った製品だ。

 しかし中国が明確に米国と敵対することを表明した現在、中国経済を助けることなど論外だ。ましてや半導体や最先端技術を中国に奪われることがあってはならない。それは米国だけでなく、中国の隣国に位置する日本と共通認識だ。だから日本国民の一人として対中トランプ関税に賛同する。中国は世界からデカップリングすべきで、米国を世界からデカップリングすべきではない。
 トランプ氏は世界の国々に対してトランプ関税を手当たり次第に発動したが、まだ完全実施しているわけではない。ただトランプ関税に対抗関税を発動した中国に対してだけは発動したようだ。その影響は既に中国内で深刻な打撃を与えている。対米輸出製品を製造していたアパレルや日用雑貨を製造していた多くの企業は製造を停止し、輸出港に積み上げられた米国向けのコンテナが山になっている。

 トランプ関税の狙いは明確だ。米国にとって必要不可欠な部品や製品は米国内で製造して、敵対する国の戦略物資にしない、という明確な意思表示だ。世界の主要企業が中国に工場を展開して、中国を「世界の工場」に仕立て上げ、中国にあらゆる製品サプライのハブにしてしまったことで、中共政府が世界の国々をサプライチェーで支配できる、と勘違いさせてしまった。
 だからコロナ禍以降、中国で企業展開していた世界中の企業経営者が撤退を決断した。その影響は外国企業の進出で繁栄していた広州・深圳で顕著に出ている。そして外国企業の多くが中国事務所を置いていた上海は300万人以上の外国人が街から消えたといわれている。だから上海のショッピング街や大型店舗はガラガラだ。

 先進的な外国企業が中国から撤退したことで大卒の就職先の大半が消え去り、中ビクの新卒者の就職率は50%を切ったといわれている。そこにトランプ関税の津波が押し寄せ、アパレルなどの日用雑貨を製造していた中小零細企業まで火が消えた。
 習近平氏は強制的に近々引退を表明させらるようだが、その時期が一段と早まるかも知れない。もはや中国経済は崩壊し、中国社会をも崩壊させようとしている。この失策はすべて習近平氏が「改革開放」を主導した鄧小平氏よりも自分の方が偉大だ、と勘違いしたことに源を発している。「改革開放」政策を廃すと、中国は「改革開放」以前の中国に逆戻りするだけだ。その社会がどんな社会だったか、若い人は知らないだろうが、飢えと犯罪が当たり前の社会だった。人々は人民服を着て、暗く小さな家に暮らしていた。

 摩天楼の高層ビルが都市部に増殖しているが、経済力を失った中国政府に維持・管理することは出来ない。もちろん高速鉄道の維持・管理も到底行き渡らない。そうするとどうなるか。崩壊する以外に辿る道はない。高層ピルは電気が失われれば無用の箱でしかない。高速鉄道も電気が供給されなくなれば、細長い構造物でしかない。すべては砂上の楼閣に成り果てる。
 トランプ関税の目的は対中デカップリングと「米国ファースト」の実現だ。なにも米国の物価高騰を目指しているわけではない。そのことを間もなく知ることになるだろう。

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