性加害がどれほど重大な女性への「性」に対する犯罪か、中居氏は身を以て世間に告知するのが彼に遺された最後の仕事だ。
<中居正広の件は「NG扱い」
12月25日、「週刊文春」が中居正広の女性トラブルを報じた。この話自体は、同月19日に報じられた小学館「女性セブン」でも取り上げられていたが、事件の詳細や当事者たちへの取材は今回はじめて報じられた。
19日の「女性セブン」の記事のとき、「女性との重大トラブルで9000万円もの巨額の解決金を支払った」という話についてはテレビ業界ではすぐに「扱いNG」になった。つまり「情報番組などで扱うな」という指示である。
テレビ情報番組の場合、週刊誌など他のメディアで報じられたゴシップの扱いは、各局の「芸能デスク」と呼ばれる担当者が決めて複数番組に伝えることになっているが、不文律として「一媒体しか報じていないものは扱わない」というものがある。
もちろん、例外はあるのだが、大きなゴシップであっても、これを理由に「NG」を出すことはできる。ある局で芸能デスクの下で仕事をしてきたテレビスタッフもこう言っている。
「一媒体しか報じていないものだと、その媒体が誤報だったときの影響力が大きいので、複数の媒体が取材して事実確認したものでないと扱いにくいです。実際には、タレントや所属事務所との関係性から、扱いにくいゴシップをNGにできる理由付けでもあるのですが…」
トラブルの経緯
「女性セブン」が独占で報じた際は、テレビ情報番組はその不文律を理由に「NG」扱いにすることができるわけだ。しかし、実情としては人気タレントである中居との関係を良好にとどめるため、という理由のほうが大きいだろう。
「ただ、中居さんは20年にジャニーズ事務所を退所し、個人事務所の所属になっているので、強い後ろ盾があるというわけでもないです」と前出スタッフ。
「古巣のジャニーズがジャニー喜多川さんの性加害問題ですっかり業界での力を失ってしまっていて、中居さんの力になるのは長く仕事をしてきたテレビ界になりますけど、そのテレビ側の人々もほとんどは局の社員なので、どこまでタレント個人を守れるかといえば、厳しいものがあります、それは松本人志さんのケースを見ても分かりますよね」
中居は'22年、体調不良のために1カ月ほど活動を休止したことがあったが、今回のゴシップ報道はその休養明けの昨年のことだという。「女性セブン」の記事によると、フジテレビの編成幹部が、中居と、芸能界で仕事をしている女性を誘って3人で飲み会を予定していたところ、幹部欠席で中居と女性の2人だけになり、そこで「深刻な問題が発生」したとされる。
ここでは「深刻な問題」について書かれてはいないが、解決のために中居は巨額の支払いをしたというから衝撃だ。芸能関係者の証言として「9000万円ほどだという話で、数字の大きさが事態の深刻さを物語っています。中居さんがトラブルを抱えているという話は、テレビ各局の関係者に伝わり、各局が水面下で調査する事態に発展しました」という話も掲載されている。
これについて女性セブンは、中居の所属事務所に質問し、代理人の弁護士から「本件については、以前に双方の話し合いにより、解決しておりますことをご理解ください。お互いに守秘義務がありますので、対外的にお答えすることはありません」との回答を伝えている。つまりは、この時点で何かトラブルがあったこと自体は事実としていたのである。
「中居正広「9000万円トラブル」はテレビ業界でNG扱いだった…関係者が語る「文春の影響」」と題して片岡亮(フリージャーナリスト)氏が中居氏の「闇」を白日の下に曝した。他のマスメディアが報じないゴシップを文春は度々報道してきたが、今回も良くぞ暴いてくれたと喝采を送りたい。
12月25日、「週刊文春」が中居正広の女性トラブルを報じた。この話自体は、同月19日に報じられた小学館「女性セブン」でも取り上げられていたが、事件の詳細や当事者たちへの取材は今回はじめて報じられた。
19日の「女性セブン」の記事のとき、「女性との重大トラブルで9000万円もの巨額の解決金を支払った」という話についてはテレビ業界ではすぐに「扱いNG」になった。つまり「情報番組などで扱うな」という指示である。
テレビ情報番組の場合、週刊誌など他のメディアで報じられたゴシップの扱いは、各局の「芸能デスク」と呼ばれる担当者が決めて複数番組に伝えることになっているが、不文律として「一媒体しか報じていないものは扱わない」というものがある。
もちろん、例外はあるのだが、大きなゴシップであっても、これを理由に「NG」を出すことはできる。ある局で芸能デスクの下で仕事をしてきたテレビスタッフもこう言っている。
「一媒体しか報じていないものだと、その媒体が誤報だったときの影響力が大きいので、複数の媒体が取材して事実確認したものでないと扱いにくいです。実際には、タレントや所属事務所との関係性から、扱いにくいゴシップをNGにできる理由付けでもあるのですが…」
トラブルの経緯
「女性セブン」が独占で報じた際は、テレビ情報番組はその不文律を理由に「NG」扱いにすることができるわけだ。しかし、実情としては人気タレントである中居との関係を良好にとどめるため、という理由のほうが大きいだろう。
「ただ、中居さんは20年にジャニーズ事務所を退所し、個人事務所の所属になっているので、強い後ろ盾があるというわけでもないです」と前出スタッフ。
「古巣のジャニーズがジャニー喜多川さんの性加害問題ですっかり業界での力を失ってしまっていて、中居さんの力になるのは長く仕事をしてきたテレビ界になりますけど、そのテレビ側の人々もほとんどは局の社員なので、どこまでタレント個人を守れるかといえば、厳しいものがあります、それは松本人志さんのケースを見ても分かりますよね」
中居は'22年、体調不良のために1カ月ほど活動を休止したことがあったが、今回のゴシップ報道はその休養明けの昨年のことだという。「女性セブン」の記事によると、フジテレビの編成幹部が、中居と、芸能界で仕事をしている女性を誘って3人で飲み会を予定していたところ、幹部欠席で中居と女性の2人だけになり、そこで「深刻な問題が発生」したとされる。
ここでは「深刻な問題」について書かれてはいないが、解決のために中居は巨額の支払いをしたというから衝撃だ。芸能関係者の証言として「9000万円ほどだという話で、数字の大きさが事態の深刻さを物語っています。中居さんがトラブルを抱えているという話は、テレビ各局の関係者に伝わり、各局が水面下で調査する事態に発展しました」という話も掲載されている。
これについて女性セブンは、中居の所属事務所に質問し、代理人の弁護士から「本件については、以前に双方の話し合いにより、解決しておりますことをご理解ください。お互いに守秘義務がありますので、対外的にお答えすることはありません」との回答を伝えている。つまりは、この時点で何かトラブルがあったこと自体は事実としていたのである。
中居正広の暗い過去とテレビ業界の罪
中居は、筆者がスポーツ紙で新人記者として働いていた00年、月刊誌『噂の真相』に、女性との中絶トラブルが報じられたことがあり、情報を集めるよう上司から指示されたことがあった。
記事では、中居が'96年に出会った女性と交際し、ホテルでの密会から彼女の自宅に通うまでになったが、'00年9月に女性が妊娠したことを告げると、中居の態度は一変。
中絶を執拗に勧め、説得には飯島三智マネージャーと思われる女性までが出てきたという。
中絶同意書への署名に、中居は「偽名じゃダメなのか」と聞き、30万円入りの茶封筒を強引に手渡したりしたという。同誌は中居と女性の会話音声や中絶同意書も公開。
それが事実なら女性に対して、あまりにひどい振舞いおと思えたものだが、当時はマスコミに対するジャニーズの力は絶大で、多くのメディアは報道を無視。東京スポーツと、筆者が働いていたナイタイスポーツだけが扱っていた。
その時代からは社会の状況は大きく変わり、同様にメディアが一斉に無視してきたジャニー喜多川氏の性加害問題も、大きく取り上げられるようになった。
松本人志も性加害疑惑報道では仕事を休業、いまもテレビ復帰が難しい様相だ。では、今回の中居の件はどうなるのか、中居の出演番組で仕事経験のあるテレビプロデューサーに聞いてみた。
「昔と違ってマスコミがみんな無視して終わり、ということは難しくなったのは事実だけど、解決金を支払って和解しているのであれば、これ以上の大きな問題にはなりにくいでしょう。バラエティ番組にもこれまでどおり出演し続けられるのでは。
しかし、どこからかその詳しい内容が漏れてしまうと状況は一変する可能性がある。CMとか広告出演のリスクは上がったと見られます。あとは新番組に起用するかどうかも、スポンサー企業の反応次第で何か影響があるかもしれない」
今回、「週刊文春」により、トラブルの詳細な報道が出た。今後のテレビの対応はいかなるものになるのだろうか。出し続けるにはリスクが大きすぎるように思えるが…>(以上「現代ビジネス」より引用)
中居は、筆者がスポーツ紙で新人記者として働いていた00年、月刊誌『噂の真相』に、女性との中絶トラブルが報じられたことがあり、情報を集めるよう上司から指示されたことがあった。
記事では、中居が'96年に出会った女性と交際し、ホテルでの密会から彼女の自宅に通うまでになったが、'00年9月に女性が妊娠したことを告げると、中居の態度は一変。
中絶を執拗に勧め、説得には飯島三智マネージャーと思われる女性までが出てきたという。
中絶同意書への署名に、中居は「偽名じゃダメなのか」と聞き、30万円入りの茶封筒を強引に手渡したりしたという。同誌は中居と女性の会話音声や中絶同意書も公開。
それが事実なら女性に対して、あまりにひどい振舞いおと思えたものだが、当時はマスコミに対するジャニーズの力は絶大で、多くのメディアは報道を無視。東京スポーツと、筆者が働いていたナイタイスポーツだけが扱っていた。
その時代からは社会の状況は大きく変わり、同様にメディアが一斉に無視してきたジャニー喜多川氏の性加害問題も、大きく取り上げられるようになった。
松本人志も性加害疑惑報道では仕事を休業、いまもテレビ復帰が難しい様相だ。では、今回の中居の件はどうなるのか、中居の出演番組で仕事経験のあるテレビプロデューサーに聞いてみた。
「昔と違ってマスコミがみんな無視して終わり、ということは難しくなったのは事実だけど、解決金を支払って和解しているのであれば、これ以上の大きな問題にはなりにくいでしょう。バラエティ番組にもこれまでどおり出演し続けられるのでは。
しかし、どこからかその詳しい内容が漏れてしまうと状況は一変する可能性がある。CMとか広告出演のリスクは上がったと見られます。あとは新番組に起用するかどうかも、スポンサー企業の反応次第で何か影響があるかもしれない」
今回、「週刊文春」により、トラブルの詳細な報道が出た。今後のテレビの対応はいかなるものになるのだろうか。出し続けるにはリスクが大きすぎるように思えるが…>(以上「現代ビジネス」より引用)
「中居正広「9000万円トラブル」はテレビ業界でNG扱いだった…関係者が語る「文春の影響」」と題して片岡亮(フリージャーナリスト)氏が中居氏の「闇」を白日の下に曝した。他のマスメディアが報じないゴシップを文春は度々報道してきたが、今回も良くぞ暴いてくれたと喝采を送りたい。
もとより悪事をカネの力で物事を揉み消すのは倫理に悖る。倫理とは「人としての道」だ。だが中居氏には人として踏み外してはならない道があることなど屁でもないのだろう。なぜなら今回の件以外にも、過去に何度も同様のゴシップをカネで揉み消した前科があるようだからだ。
引用記事の中に「「女性との重大トラブルで9000万円もの巨額の解決金を支払った」という話についてはテレビ業界ではすぐに「扱いNG」になった。つまり「情報番組などで扱うな」という指示である」とあるが、そうした「指示」を現場に誰が出すのだろうか。少なくとも現場でない事だけは確かだ。
9,000万円事件の時には女性アナウンサーを中居氏との密会に斡旋したのは番組プロデューサーだという。そうすると、テレビ局のこのクラスの人物がクズだということなのだろうか。しかしジャニーズ事件があっても、まだテレビ業界は「性加害」について鈍感なままなりかと失望せざるを得ない。そうした体質自体がテレビ業界、ひいてはマスメディア業界が旧態依然のままだと批判せざるを得ない。
今回の事件もタレントだけの責任ではない。タレントに若い女性アナウンサーを手配したクズ・ディレクターこそが主犯と云うべきだ。もちろん性加害を行ったタレントはクズ以下だが、テレビ番組を支配するディレクターがテレビ局の若い女性アナウンサーを性加害から守る立場でなくて、どうするのか。
件のクズ・ディレクターをテレビ局は厳しく処断しなければならない。そしてその部局の責任者も自ら罪を償う必要がある。もちろんテレビ局社長も記者会見して、性加害事件の経過と責任の所在に関して明確にし、再発防止に全力を尽くすべく、テレビ局としての倫理規定を徹底させるべきだ。
当事者同士で「和解」が成立しているから問題にしない、という論理こそ問題だ。勘違いしてならないのは「和解」が成立しているのは「不同意性交等」の刑事罰を問わないことでの「和解」でしかない。だから示談で「和解」が成立しているとしても「性加害」事件がなかったことにはならない。
中居氏は冠番組を何本か持っていたそうだが、そんなことは全く関係ない。彼が仕出かした事の重大さは冠番組を何本持っていようが軽減されない。性加害がどれほど重大な女性への「性」に対する犯罪か、中居氏は身を以て世間に告知するのが彼に遺された最後の仕事だ。