石破政権に国民は何を期待すれば良いのか。

<自民党総裁選は27日、石破茂元幹事長(67)が決選投票の末、第1回投票でトップだった高市早苗経済安保相(63)に逆転して新総裁に選出された。最終盤で、石破氏は「岸田文雄首相の路線継承」を打ち出して旧岸田派(宏池会)の支持を得た。石破氏は30日にも新執行部を立ち上げ、来月1日召集の臨時国会で102代首相に指名される。党内にリベラル系と保守系の分断が顕在化するなか、新閣僚・党役員は「岸田院政」を感じさせる布陣となるのか。石破氏の政権運営については、早くも外交・安全保障や経済政策で懸念が噴出しており、日経平均株価先物は一時2000円超も急落するなど、「石破ショック」が語られ始めた。

「国民を信じ、勇気と真心を持って真実を語り、日本をもう一度、皆が笑顔で暮らせる安全で安心な国にするため全身全霊を尽くす」
 石破氏は27日午後、自民党本部で新総裁としてこう語り、党の結束と国民の信頼回復を呼びかけた。
 今回の逆転勝利は、内閣支持率が30%以下の「危険水域」に沈み込み、総裁再選を断念した岸田首相の力が大きい。総裁選のキングメーカーとみられた麻生太郎副総裁と菅義偉前首相がにらみ合うなか、岸田首相が27日午前、「決選投票は、高市氏以外の党員票が多い候補でいく」と旧岸田派議員らに〝指令〟を出し、流れは決まった。今後、岸田首相は「闇将軍」のように振る舞いそうだ。

その石破氏に早くも懸念の声が出ている。
 まず、外交・安保姿勢だ。石破氏の「政治の師」は、日中国交正常化を成し遂げた田中角栄元首相であり、対中融和傾向が強い。総裁選では、「アジア版NATO(北大西洋条約機構)構想」や「日米地位協定の改定」を掲げた。
 米国政治に詳しい福井県立大名誉教授の島田洋一氏は「米国は現在、覇権主義的傾向を強める中国を警戒し、半導体分野などを中心にデカップリング(切り離し)を進めている。石破政権が『米中等距離外交』を打ち出すようなら、日米関係は極度に悪化する。『アジア版NATO構想』や『日米地位協定の改定』も懸念事項だ。あやふやな対中姿勢も相まって、米政界には早くも石破政権を不安視する声があがっている」と語る。

北朝鮮による拉致被害者救出でも大いに不安がある。
 石破氏は総裁選で「東京・平壌での連絡事務所開設」を掲げ、被害者家族会の猛反発を受けた。「拉致問題の幕引き」が警戒された「日朝合同調査委員会の設置」との関連性を指摘する声もある。
 拉致被害者、横田めぐみさん(59)=拉致当時(13)=の弟で、家族会の拓也代表は「北朝鮮は被害者の現状をすべて把握している。相互に連絡事務所をつくって合同調査を行うのはナンセンス。解決を遅らせる欺瞞(ぎまん)の工作に手を貸すことになる」と指摘する。
 めぐみさんの母、早紀江さんも27日、過去に石破氏と会話を交わした経験は「ほとんどない」と不安を明かした。そのうえで、「命がかかった問題であることを認識し、リーダーとして強い気持ちで行動してほしい」と訴えた。

■田中秀臣教授 岸田政権以上に「増税・負担増」路線も
 石破氏は経済政策にも懸念がある。総裁選で「金融所得課税の強化」を打ち出すなど、財務省主導の「緊縮財政」「増税路線」を感じさせた。このため、新総裁選出直後に日経平均先物が暴落し、急激な円高が進むなど「石破ショック」の様相を呈した。
 上武大学の田中秀臣教授(日本経済論、経済思想史)は「日本経済の先行きに『赤信号』がともったに等しい。日本経済が本調子に戻らないなか、利上げを支持し、『財政規律』も打ち出した。財務省的発想だ。石破氏周辺には財務省ににらみを利かせる人物もいなくなると予想される。将来的には岸田政権以上に『増税・負担増』路線になるのではないか」と語る。
 保守系の自民党ベテラン議員は「岸田首相はケジメをつけない外交姿勢、拙速なLGBT法制定、増税・負担増路線などで、自民党を支えてきた『岩盤保守層』をはじめ、国民の離反を招いた。安倍路線から大きくかじを切った。石破氏は、その『岸田路線の継承』を約束し、岸田首相の後押しで総裁選に勝った。石破氏が自称する『保守政治家』は、本来の『保守』と意味が違っているようだ」と突き放す。

石破自民党の行く末をどう見るのか。
 ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「総裁選は当初、麻生氏と菅氏の『キングメーカー争い』が注目されたが、両氏とも思うような〝成果〟を得られなかった。一方、派閥解消を主導したはずの岸田首相が派閥的な駆け引きを繰り広げ、最後は石破氏の勝利にも貢献し、キングメーカー的存在感を示した。石破氏はこれまで、『自民党にお灸をすえる』と言い続けてきた。自身が総裁となって本気度が試される。野党側は、派閥裏金事件や経済対策、『岸田路線の継承』の本質を厳しく問うだろう。国民が、石破氏の『改革』に納得しなければ、失望は極めて大きくなる。文字通り『試練の政権運営』となるだろう」と語った>(以上「夕刊フジ」より引用)



 大方の予想通り「夕刊フジ=フジサンケイグループ」も「岸田首相が〝暗躍〟「石破新総裁」誕生の舞台裏 「決選投票は高市氏以外の候補で…」と〝指令〟 外交・安保、拉致、経済政策など懸念山積」との見出しで石破新内閣の前途を危惧している。
 引用記事には出ていないが、石破氏の経済ブレーンは藻谷浩介氏だと云われている。そうすると石破氏の経済政策を占うには藻谷氏の予てからの主張を見れば大体わかるというものだ。
 藻谷氏の(評論家業界で)有名な言葉は「少子化時代はデフレを脱却できない」と云うものだが、他には
○賃上げがデフレ脱却や日本経済にとって重要であると考える。生産性とは付加価値額を就労者数で割ったもので、付加価値額の主要部分は人件費であるため、「賃上げ=生産性上昇」となるという考えだ。
○日本経済の停滞の真因は、円高不況や産業競争力の衰退ではなく、財政出動や金融緩和が足りていないことではないと考える。
○農産品が日本経済復活のカギであると考える。
 といったものだ。

 藻谷氏は「生産性とは付加価値額を就労者数で割ったもので、付加価値額の主要部分は人件費であるため、「賃上げ=生産性上昇」となる」と主張するが、生産性向上の典型的なモデルは産業革命だ、という経済学の教科書にも載っている事実をご存知ではないのだろうか。
 つまり生産性の向上は「賃上げ=生産性上昇」ではなく、生産設備への投資により省力化が図られ、一製品当たりの人件費が劇的に減少するから、経営者がより良い労働者を確保するために賃上げに動く、という図式だ。決して「賃上げ=生産性上昇」ではない。

 そして藻谷氏の致命的な誤りは「日本経済の停滞の真因は、円高不況や産業競争力の衰退ではなく、財政出動や金融緩和が足りていないことではない」という考えだ。だから石破氏は「失われた30年」からの脱出を最優先課題に掲げるべき経済政策を語るべき総裁選で「増税」発言が出来たのだろう。
 藻谷氏は「日本経済の停滞」は何によってもたらされたのか、何一つとして原因を上げていない。ただ「円高不況」ではなく、「産業の競争力の衰退」でもなく、「財政出動や金融緩和が足りてない」と云う事でもないという。それなら「失われた30年」は何によってもたらされたのか原因が分からなければ対策は打てないではないか。

 石破氏は経済政策で無策だという事だけは明らかだ。ただザイム真理教の教義に則り、増税や負担増を国民に求めれば良い、という考えのようだ。だから高橋洋一氏は「消費税15%増税を警戒すべきだ」と石破政権を見ている。
 実際に消費増税15%が実施されれば国民負担は50%を超えることになり、いよいよ重税感は日本経済を逼塞さるだろう。何としても石破政権を早期に打倒しなければ国家は衰退し国民は貧困化する。少子化対策どころか、少子化は益々顕著になる、と見なければならないだろう。国民が負担増に怒りを爆発させれば石破政権は短命に終わる。それを望む方が「失われた30年」から脱却の日は近いかも知れない。

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