「EVが凋落し、日本車メーカーが伸びている」のはなぜか。

テスラが減速し、日本車メーカーの伸びが目立つ
  2024年1~6月期、世界の自動車産業の構図はやや変化した。これまで世界のEVシフトの象徴的存在とみられてきた、米テスラの販売は減速傾向が鮮明化した。それとは対照的に、中国勢のEVメーカーは相応の好調さを維持している。また、ハイブリットに強いわが国自動車メーカーの米国販売は増えた。
 航続距離の延長や二酸化炭素の排出削減の点から、新興国でもハイブリッド車(HV)やプラグイン・ハイブリッド車(PHV)の需要は増加傾向だ。特に、中国メーカーはPHVのラインナップを急ピッチで増やしている。電動化の手段はEVだけではないともいえる。
 今後、エンジン車、HV、PHV、EV、燃料電池車(FCV)などをめぐる日米欧中の自動車メーカーの競争は激化するはずだ。中国の過剰生産から自国の雇用を守る姿勢を示すため、米欧の政府が中国製電動車に追加の関税を課す可能性も高まる。新興国の自動車需要をめぐる、主要メーカーの競争も一段と激化するだろう。

全方位戦略からいつ、EVへ絞り込むか
 わが国経済を牽引する自動車産業にとって、世界的な競争激化への対応を十分に準備する必要があるだろう。わが国メーカーは、ハイブリット車やEVなど“全方位の事業戦略”をとっている。今のところ、その戦略は奏功しているものの、長い目で見るとEVへのシフトは不可避とみられる。その変化にいかに対応するか、わが国の自動車業界にとって重要なポイントになる。
 また、自動運転技術開発、EV充電器の敷設などインフラ整備も避けて通ることはできない。わが国の自動車メーカーが、そうした変化にいかに迅速に対応できるか、自動車業界のみならずわが国経済の浮沈がかかっているともいえる。
 今年初以降、世界の自動車業界の中でテスラの苦戦が目立つ。米国の自動車販売市場は底堅く推移しているが、その中でテスラの販売は減速傾向にある。中国と欧州でもテスラは伸び悩んだ。それに対して、トヨタなどわが国自動車メーカーは、主に北米向けのHV輸出を増やして健闘した。

母国でのシェアもついに5割を下回ったテスラ
 2024年1~3月期、テスラの世界販売台数は前年同期比9%減少した。4~6月、ホームカントリーである米国でのシェアも低下した。同社の米EV販売台数のシェアは、四半期ではじめて5割を下回った。1~6月期でみても販売台数は前年同期を下回った。
 それとは対照的に、米国市場でフォード、トヨタ(レクサス含む)、韓国の現代自動車(起亜を含む)などの販売台数は増えた。充電インフラの不足、航続距離の短さなど新車販売に占めるEVシェアは8%程度と伸び悩んでいる。
 そうした状況下、日米の主要メーカーは選択肢の豊富さなどを訴求し、テスラからシェアを奪った。起亜に関しては、低価格戦略が功を奏したとみられる。また、米国の自動車市場全体でみると、わが国自動車産業が比較優位性を持つHVの需要は増えた。航続距離、中古車市場での値崩れが少ないことが再評価されたのだろう。
 欧州市場でもテスラは苦戦した。一方、1~5月期、欧州市場でもトヨタとレクサスのHV、PHVなどは人気を獲得し販売台数は増えた。HVの製造技術に後れをとった、フォルクスワーゲンなど欧州大手の販売は伸び悩んだ。現代自動車の販売も停滞気味だ。

テスラに代わって中国勢が日本を猛追している
 中国市場では、BYDや広州汽車集団傘下の広汽埃安新能源汽車(AION)などが、低価格の新モデルを投入しテスラからシェアを奪った。中国政府は、国有自動車メーカー3社(中国第一汽車集団、東風汽車集団、重慶長安汽車)のEV開発、バッテリーなど国産部品調達を支援する方針だ。
 スマホ・家電大手の小米(シャオミ)もEVを投入した。2023年、中国の自動車メーカーは、年間の販売台数で米国ブランドを抜いたようだ。トップの日本勢、2位の欧州ブランドを中国が猛追している。
 足許、中国では個人消費の停滞や過剰生産能力で、EVや車載用バッテリーの供給能力は需要を上回っている。それでも、主要メーカーは生産能力を増やしている。中国は、EVなど電動車、車載用バッテリー、太陽光パネルなどの輸出を伸ばし、景気の下支えにつなげたいのだろう。
 現在、BYDなどの中国メーカーは、アジア、南米、ロシア、アフリカなど新興国市場向けの輸出・現地生産を増やしている。新興国の政府としても、中国企業の直接投資はEVやバッテリー分野での製造技術の移転、リチウムなどの鉱山開発、インフラ整備に重要だ。

日本が得意とする「PHV」にBYDも参入
 BYDはEVに加え、PHVの供給体制も拡充した。5月下旬、BYDは新しいPHVシステムを発表した。100キロ走行時のガソリン消費量は2.9リットル。トータルの航続距離は2100キロに達するようだ。
 年初来、BYD以外の中国自動車メーカーによるPHVモデルの発表も相次いだ。中長期的に世界経済にとって脱炭素は避けられない。電動車シフトにPHVの重要性は高まるだろう。中国メーカーはEVとPHVなどの組み合わせで、新興国の自動車需要に対応しようとしているようだ。PHVに搭載するエンジンの製造技術は、主にわが国など先進国企業から移転したとの見方も多い。
 わが国の自動車メーカーが高いシェアを誇ったタイなどで、中国勢による値引き競争も起きた。アフリカでは車載用バッテリーなどの素材である銅やコバルト鉱山を開発するため、中国企業が権益を獲得するケースも増えた。

求められているのはEVではなく「消費者が欲しい車」
 中国の自動車メーカーは、EV、PHVなど電動車の選択肢を増やし、川上レベルからサプライチェーンを整備して価格競争力の向上を図っている。BYDはトルコで工場建設を発表した。それは、EUの関税を回避して欧州の電動車需要を取り込むための方策だろう。中国自動車メーカーは、新興国から欧米向けの輸出、主要先進国での直接投資も増やし、グローバルにシェア拡大を目指すと予想される。
 米国でトヨタのHVやPHVの需要は増えた。GMはPHV再導入の可能性に言及した。中国自動車メーカーはEVに加え、PHVの供給力も重視し始めた。EVなど特定モデルではなく、消費者が欲しがる車を迅速に供給する力が必要とされている。自動車メーカーの実力が問われているといってもよい。
 脱炭素、物価の高止まりと景気の減速懸念、AIの台頭など、世界経済の環境変化は大きい。主要自動車メーカーにとって、エンジン車、EVなどを迅速に供給するために、IT技術を使うことは重要になっている。また、AI業界の成長で自動運転の研究開発も進み、自動車の機能も変わると予想される。

日本車メーカーもうかうかしてはいられない
 自動車産業を取り巻く政策も変わる。主要国の経済において、雇用、素材の調達など自動車産業の裾野は広い。経済と安全保障体制の安定に向け、米欧は自国企業を優先し、次にわが国など同盟国の企業を誘致して電動車などの供給網確立を目指すだろう。
 一方、中国自動車メーカーの直接投資に関して、米欧が土地の取得や資金の融通などで規制を実施することも考えられる。データ主権、半導体に加え、自動車分野でも米中の対立が先鋭化するリスクはある。
 足許発表された経済指標をみると、米国の景気回復ペースは少しずつ勢いを失いつつある。米欧が、中国のEV・車載用バッテリーへの関税の引き上げを実施すれば、世界経済の下振れ懸念は高まる。
 世界経済の先行き不透明感が高まる中、わが国の自動車産業は、エンジン車、HV、PHV、EV、FCVなど“全方位型”の事業戦略を推進し、競争力向上を目指すことになる。内外企業との提携などを進め、地産地消体制の整備、電動化、自動運転、充電インフラ開発などで主体的な役割を果たす重要性も増す。それは中長期的なわが国の自動車産業の競争力、景気の展開に重要な影響を与えるはずだ>(以上「PRESIDENT」より引用)




 真壁 昭夫(多摩大学特別招聘教授)氏が「豊田章男氏の"警告"に世界がようやく気付いた…EVメーカーの「ハイブリッド車投入」が相次いでいる理由「消費者が欲しがる車」がEVとは限らない」と題するピント外れの論評を掲載している。
 果たして、EVを購入した人はEVが気に入って購入したのだろうか。おそらく殆どの人は燃費が殆どタダということと、環境派でマウントを取れるから購入したのではないか。EVそのものに、それほど消費者を惹きつける魅力があるわけではない。

 何しろガソリン車と比較して航続距離が短い。その上、充電スタンドを探して長時間(30~40分間)充電しなければならない。さらに、表示している残走行距離が信用ならない。冬にヒーターを使ったり、夏にクーラーを使うとみるみる間に残存バッテリー量が減少するからだ。
 そうした信用ならないEV車よりも、ガソリン車は長年使い慣れた車として、残りガソリンで走れる距離もおよそ推定できる。しかも給油もものの5分から10分ほどで済む。信頼のおける移動手段として、内燃機関車は社会に定着している。

 しかしEVはCO2地球温暖化、という日本車叩きのプロパガンダを実現するために持ち込まれた自動車だ。実際にCO2削減に役立っているか、実に怪しいが、日本車を排除できれば何でも良かった。
 だが現実はそんなに甘くない。EV開発に日本自動車企業が消極的なうちに、テスラやBYDといった企業が欧州を席巻した。EVで自国の自動車産業を再生させようと目論んでいた欧州諸国はアテが外れた。ことにドイツの目論見外れは深刻だ。慌てて中国のEVなどにダンピング容疑をかけ、EV補助金を自国製のEVのみに限定するなど、外国から流入するEVに対抗措置を講じた。

 マスメディアはことさらEVの席巻を華々しく報じているが、実際は当の中国ですら年間販売台数3009万台の内、EVは900万台でしかない。ただEVの生産台数が1400万台のため、残り500万台が外国へ怒涛のように輸出されている。その500万台の「大量輸出」の標的とされた欧州諸国が中国製EVに市場を呑み込まれようとして慌てている。
 真壁氏は日本の自動車メーカーがEV開発に余り乗り気でなかったことを憂いて危険視しているようだが、現在のEVが果たして消費者の要求を満たすだけの工業製品なのか、という疑問があったため、EV車製造にそれほど傾斜しなかったのではないか。それは国際的なCO2温暖化詐欺を真っ向から批判しての行動ではないだろう。商売人であれば企業存続のためには多少は胡散臭くてもCO2温暖化詐欺と付き合わなければならないからだ。

 米国の経済が減速しているのはバイデン政権の環境派政策の失敗が表面化しているに過ぎない。資源大国でもある米国経済のファンダメンタルは不必要なシェールオイル開発禁止措置さえ撤廃されればいつでも回復できる力強さを持っている。
 さらにCO2温暖化詐欺を打破して、行き過ぎた排ガス規制を緩めたなら、米国の自動車産業は息を吹き返すだろう。そして勢いを失ったテスラも、現行の不安定なリチウムイオン電池ではなく、トヨタが開発した全個体電池が世界標準になれば、安定的で信頼性のある新生EV企業として蘇るだろう。そして内燃機関自動車とEVは用途によって棲み分けるようになるだろう。

 世界は脱炭素という詐欺によって物価高騰と高止まりの「高い代償」を支払わされている。もはや脱炭素社会に悪夢のような幻想を抱く必要はない。CO2は光合成するすべての生命体の命の根源であり、人類をはじめ酸化エネルギーで命を繋いでいる生物と物質循環の輪の中でCとO2に分離されたO2を呼吸して生きている。もちろんCは有機体を形成する貴重な元素として私たちの体も形作られている。
 脱炭素はCO2を現代の魔女とする言葉でしかない。もちろんCO2が地球温暖化の元凶だというのは科学的根拠のない話だ。だから純粋に使途によってEVか内燃機関の自動車かを選択すれば良いだけだ。決して政府が○○年には内燃機関の自動車販売を禁止する、という愚かな強制をする事項ではない。むしろ発火するEVこそ大問題にすべきではないか。

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