検察や裁判所を裁く弾劾裁判所が必要だ。

<起訴を取り消された「大川原化工機」(横浜市)をめぐる事件で逮捕・起訴された同社顧問の相嶋静夫さん(当時72)が亡くなったのは、勾留先の東京拘置所の医師が適切な措置を怠ったためだとして、遺族3人が、国に1千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。男沢聡子裁判長は、国の責任を認めず、遺族らの請求を棄却した。

「人間の心はあるのか」夫は泣いた 大川原化工機、拘置所の医療問う
 警視庁公安部は2020年3月、同社の「噴霧乾燥機」は軍事転用が可能で、輸出規制の対象だったにもかかわらず、無許可で輸出したとして、外国為替及び外国貿易法違反容疑で社長や相嶋さんら3人を逮捕。東京地検は同月に起訴した。
 相嶋さんは東京拘置所に勾留されていた同年10月に胃がんが発覚した。勾留は停止され、翌11月に外部の病院に入院したが、21年2月に亡くなった。地検は同年7月に社長らの起訴を取り消した>(以上「朝日新聞」より引用)




 国家権力による殺人事件だと云っても過言ではない。未決囚留置を決定した検察とそれを許可し続けた裁判所は国民の人権を著しく侵害している事実から目を背けてはならない。
 2020年3月に外国為替及び外国貿易法違反容疑で逮捕された大河原氏と共に東京拘置所に留置された相嶋氏が胃癌が発覚したのは2020年10月だった。そして翌年2月に亡くなった。逮捕留置されるまで健康だった者が、拘留期間に発症して死に到ったことを国は重大事として受け止めるべきだ。

 「疑わしきは罰せず」とは刑法事犯の鉄則のはずだ。しかし「大川原化工機」に対する外国為替及び外国貿易法違反容疑は立件されず、地検は2021年7月に社長らの起訴を取り消している。つまり無罪だった。しかし一年以上も社長らを留置し相嶋氏の癌発症から死に到らしめたことは国家権力による犯罪ではないか。
 しかし遺族3人が国に1千万円の損害賠償を求めたが、東京地裁の男沢聡子裁判長は国の責任を認めず遺族らの請求を棄却したという。地裁裁判長は拘留された者の多大なる人権侵害をどのように捉えているのだろうか。捜査するためなら被疑者の人権などどうなっても構わない、とでも云うのだろうか。

 本来拘留送致の期限は10日+10日の20日までとされている。それ以後の拘留は「違法状態」だ。しかし裁判所が「拘留するに相当の理由がある」と検察吏拘留延期に要請に同意すれば延々と拘留期限は引き延ばされる。それが正義ででもあるかのように検察も裁判所も勘違いしてはいないか。拘留期限の延期は重大な人権侵害だと、すべての検察官や裁判官は認識すべきだ。自分たちがそうなった場合を想像してみるが良い。
 しかし長期間拘留はしばしば悪用されている。近くは東京オリンピックの贈収賄疑惑で逮捕された高橋氏のケースがあった。確かに犯罪は広範囲に及び、社会的な影響の大きかったが、「自白しない」というだけで長期拘留するのは形を変えた拷問でしかない。犯罪は憎むべきだが、容疑者の人権を踏みにじっても良い、というものではない。結果として、東京オリンピックを舞台に演じられた贈収賄事件は主役の逮捕のないまま収束した。

 「大川原化工機」に対する外国為替及び外国貿易法違反容疑はどこからタレコミがあって捜査に着手したのか判然としないが、起訴しなかったからには検察当局の「大河原が臭い」と睨んだ根拠を明示すべきだ。つまり検察を裁く検察が必要だ。さもなくば、罪なき国民も安心過ごせない。いつ何時、謂れなき罪により拘束されて未決のまま長期拘留されるか分からない。そして検察の拘留延期を許可した裁判所も責任を問われるべきだ。
 長期拘留で失った自由な日々と、それにより心身に受けた甚大なダメージを、検察や裁判官は少しは償ったのか。だが被告の提訴に対して国による賠償責任を判断するのも仲間の裁判官だ。男沢聡子裁判長は国の責任を認めず遺族らの請求を棄却したというが、明日にも男沢氏を逮捕して、未決のまま一年も拘留したらよい。結果として「起訴しない」と決めて釈放され、男沢氏は「良かった」と胸を撫ぜ下すだけで済むだろうか。

 こんな腐り切った司法体制を外部から監視する機関が必要だ。弾劾裁判所を設置して検察や裁判所を裁く裁判所が必要だ。さもなくば相嶋氏の霊は浮かばれない。

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