迷惑千万な二人の独裁者。

“楓橋経験”堅持と発展
 9月20日、浙江省視察中の習近平主席は諸曁市楓橋鎮にある「楓橋経験記念館」を訪れ、随行員と地元の「幹部・群衆」を相手に「重要講話」を行い、「新時代における“楓橋経験”堅持と発展」を訴えた。
 それを受け、人民日報・新華社通信ら宣伝機関はいっせいに記事・論評を掲載し、「楓橋経験を堅持し発展せよ」との宣伝キャンペーンを開始。浙江省全人代常務委員会は早速、「新時代における“楓橋経験”堅持と発展に関する決定」を採択し発表した。
 これで中国共産党は、習主席自らの旗振りで「楓橋経験”堅持と発展」の政治運動が大々に展開されていく模様だが、いわゆる「楓橋経験」とは、1960年代初頭、諸曁市楓橋鎮で生まれた治安管理の新しい方式である。
 普段なら治安管理は公安局・派出所などの公安警察機関によって行われるところ、楓橋鎮では、一般住民が「革命群衆」として動員され、「革命群衆」が主体となって公安と連携する形で、管内の「階級の敵・悪党」を監視・管理し治安と秩序の維持に当たる、という方式が考案されて実行されることとなった。
 1963年、「楓橋経験」と呼ばれるこの方式は「成功した経験例」として浙江省考案によって中央に報告されたところ、この年の11月、毛沢東はそれを高く評価して「各地でそれを習い広げよう」との指示を出した。それ以来、「楓橋経験」の適用は全国的に広がり、国民全員は動員されて政権の指定した「階級の敵・悪党(反動分子・壊分子)」を監視と抑圧にあたるという「6億総警察」の恐怖社会が形成されていたのである。

人民による密告・相互監視システム

 そして歴史から見れば、その時における。毛沢東による「楓橋経験」方式の全国的推奨と広がりは、まさにその2年半後の1966年5月に発動された「文化大革命」大粛清運動の準備の一環であることは明々白々である。
 10年間にわたる文化大革命中、全国で1億の人々が政治的迫害を受け、そのうちの数千万人が殺されたり自殺に追い込まれたりして命を失った。実際に、1億単位の人々に政治的迫害を加えたり、数千万人の人々の命を奪ったりしたのは決して公安警察でもなければ、何らかの粛清専門機関ではない。
 1億の人々に対する政治的迫害と殺戮を実行したのは普通の若者からなる紅衛兵、普通の群衆からなる造反派であり、あるいは一般の労働者・農民・市民たちである。つまり、一般の学生・市民・労働者からなる数億人単位の「革命群衆」が総動員されたからこそ、1億人単位の「階級の敵」や知識人・毛沢東の政敵となった一般の政府幹部に対する迫害・粛清が10年間にわたって実行された訳である。  
 このような「革命群衆総動員・総下手人」の前代未聞の大粛清運動展開の原型とモデルはまさに前述の「楓橋経験」である。毛沢東が63年11月にこのモデルの全国的実践を提唱してから2年半、全国の「革命群衆」はそれによって訓練され鍛えられるという準備期間をへて、66年5月、毛沢東は満を持し文化大革命を発動、中国全国を地獄へと陥れた。

再び人民による人民の粛清を

 一方、現在の習近平主席は浙江省での地方勤務時代から「楓橋経験」に多大な関心があってそれを高く評価している。2003年11月、浙江省党委員会書記であった彼の下で「楓橋経験に関する毛主席重要指示四十周年記念大会」は浙江省で開かれ、習近平が「楓橋経験を大事にしてそれを発展させよう」とする演説を行った。
 2013年11月、習近平政権のもとで「毛主席重要指示五十周年記念大会」浙江省で開かれ、当時の中央政法委員会書記、公安部長が北京から出席、「楓橋経験の堅持と発展」で大会が盛り上がった。そして2018年11月、二期目習近平政権の下で、「楓橋経験陳列館」は楓橋鎮で落成・開設、「楓橋経験」推奨の拠点として活躍している。
 こうした一連の積み上げの上で、習主席は冒頭のように、自ら「楓橋経験陳列館」を訪れて、「楓橋経験を広げよう」との大号令をかけて、そのための宣伝キャンペンをスタートさせた。習主席はこれで、1963年の毛沢東と同様、文化大革命的な大粛清運動の発動の準備に取り掛かっているのではないかとの疑念は当然生じてくる。
 よく考えてみれば、群衆を動員して群衆の粛清にあたらせるというやり方は、「これが中国経済大崩壊への回答なのか、習近平政権が『国内大暴動』に備え、民兵組織・人民武装部設立ラッシュ」で取り上げた民兵組織再建の動きとも一脈通じている。「楓橋経験」の推奨とはすなわち民衆を使って民衆を監視・抑圧するシステムの構築であるが、その一方、人民武装部設立と民兵組織再建の意図はずばり、民衆を使って民衆を鎮圧することにあろう。
 そしてそのどらちも、民衆による広範囲の反乱の発生を想定したものであるが、政権がこういうことに備えてさまざまな対策を急いでいること自体は、まさに中国という国はこれから、「天下大乱」の時代へ突入していくことの前兆ではないのか>(以上「現代ビジネス」より引用)




 習近平氏の中国の未来は何色か、と問われれば「暗黒」と答えるしかない。中国の未来はバラ色だ、と答える人物がいるとすれば、それは習近平氏本人だけだろう。
 「新たな文化大革命に突き進む習近平、人民による人民に対する監視・密告・粛清システム「楓橋経験」を再建へ」と題する論評を石平(評論家)氏が描いた。それは改革開放以前の毛沢東時代を彷彿とさせるものだ。

 文中にある通り「「楓橋経験」とは、1960年代初頭、諸曁市楓橋鎮で生まれた治安管理の新しい方式である」と規定し、「一般住民が「革命群衆」として動員され、「革命群衆」が主体となって公安と連携する形で、管内の「階級の敵・悪党」を監視・管理し治安と秩序の維持に当たる」という方式だという。
 つまり「楓橋経験」とは国民全員が相互監視し、通報する暗黒社会を目指すものだ。それは自由と民主に背を向けた社会で、国民相互が協力ではなく敵対する社会だ。

 習近平氏の生活体験は毛沢東の「文化大革命」の時代であって、その当時への回帰を目指している。国民全員を革命戦士にして、国内治安に当たらせようというものだ。それは台湾進攻するために国内秩序を維持を強固にするためのものなのか、それとも経済崩壊がもたらす社会秩序の不安定化を先取りして暴動の芽を先に摘み取ろうというものなのだろうか。
 石平氏は「人民武装部設立と民兵組織再建の意図はずばり、民衆を使って民衆を鎮圧することにあろう」と読み解き、それは「中国という国はこれから、「天下大乱」の時代へ突入していくことの前兆ではないのか」と予測している。台湾進攻どころではなく、習近平氏が備えるべきは国民の蜂起を防止するための制度だという。

 習近平氏は国民に楓橋鎮へ行き「楓橋経験陳列館」を見学して「楓橋経験」を学習するように奨励している。そして英語教育を廃して習近平語録を学習するように教育課程を変更した。それは明らかに中国社会の国際化とは逆の動きだ。
 奇しくも昨日(10月17日)プーチンが北京を訪れた。国際刑事裁判所から逮捕要求が出ている「犯罪者」と習近平氏は今日会談するという。国内で孤立している独裁者二人が肝胆相照らす仲なのは必然的な結果だ。彼ら二人は欧米と対立して自由と人権を国内から排除しようとしている。その目的は独裁政権を一日でも長く維持したいためだ。国民が戦場で死傷しようが、自分さえ無事で暖衣飽食出来ればプーチンは満足なのだろう。そして習近平氏は自分だけが偉大なる独裁者として国民から崇められれば満足なのだろう。本当に迷惑千万な二人の独裁者たちだ。

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