マイナカードのシステム設計には各省庁の一本化が大前提だ。

<「国民に対して丁寧に説明しながら、国民の不安を払拭してまいりたい」──。マイナンバーカードと健康保険証が一体化した「マイナ保険証」をめぐり、松野官房長官は23日の会見でも、そう繰り返した。「丁寧な説明」「不安払拭」という紋切り型の言葉を並べるだけで、来年秋の一本化は既定路線。このままでは「国民の3人に1人」が“医療難民”に陥る恐れがある。
 ◇  ◇  ◇
 現行の発行済み保険証の廃止は2025年秋。政府はマイナ保険証への移行期限を24年秋としつつ、現行保険証の廃止までの最長1年間を「猶予期間」として設けた。今後2年をかけて「国民の不安を払拭」して、マイナ保険証への移行をゴリ押しするつもりだ。
 ただ、廃止期限が延長される可能性も否定できない。読売新聞(23日付朝刊)によれば、岸田首相が21日の会見で「国民の不安を払拭できなければ現行保険証の廃止を見送る」と表明する案も官邸内で検討されていた。しかし、期限延長には改正したばかりのマイナンバー法などの関連法を改正する必要があるため見送られたという。
 松野官房長官は23日の会見で、廃止期限の延長の可能性について問われたが、「国民の不安を払拭する」と言うばかり。重ねて聞かれても、「申し上げた通りです」と木で鼻をくくったような態度だった。

■猶予延長も浮上
 保険証廃止への批判がいよいよ収まらなければ「延期カード」を切るつもり。しかし、「来秋廃止」のスケジュール自体、かなり無理がある。
 デジタル庁の集計によれば、今月18日時点のマイナカード交付枚数は累計9233万8749枚。そのうち、保険証として利用登録している件数は累計6408万8852件。つまり、マイナカードを持っているが、保険証とヒモ付けていない人は2824万9897人に上る。
 その全員がマイナ保険証を登録するまでにかかる日数は、果たしてどれくらいか。18日までの1週間でマイナカードと保険証をヒモ付けたのは33万719人。このペースで登録が進んだとしても、カード保持者全員が登録を終えるまで1年半はかかる。トラブル続出でマイナ保険証の登録ペースは鈍化しているため、余計に時間がかかる可能性は高い。移行期限である「来秋」に間に合うかどうか。

政府は無保険者がいくら出ようが知ったこっちゃない

 問題はまだある。現時点でマイナカード所持者は人口の約73%。全員がマイナ保険証に切り替えたとしても、残る約3割は保険証代わりの資格確認書を1年ごとに申請するハメになる。申請しなければ、国民3人に1人が保険診療を受けられない無保険者、事情によっては“医療難民”に陥りかねない。
 立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)がこう言う。
「国民の情報を一元的に管理したい政府にしてみれば、現行の保険証とマイナ保険証の併用を認めることは“敗北”に等しい。だから、問題なく機能している現行の保険証を“人質”にして、マイナ保険証の普及に躍起になっている。無保険者がいくら出ようが知ったこっちゃないわけです。憲法25条が定める国民の生存権をもてあそんでいるとしか思えません。むしろ、無保険者が増えれば、社会保障費を圧縮できるとすら考えているのではないか。政府にとって負担になるような国民を切り捨てるつもりでしょう」
 まさか堂々と国民を選別するのか。政府がやるべきは保険証廃止の撤回一択だ>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)




 韓国では情報化時代を迎えて、1991年(平成3年)以降、住民登録番号制度を行政サービス提供の基盤として活用するため、住民登録法の改正が行われてきた。その結果、全人口5174万 (2021年)に対してハッカー等により情報流出した件数は2億3千万件という。
 日本がマイナカードで現在問題とされているのはハッカーによる情報漏洩ではなく、カードに情報を紐付ける段階でのミス件数でしかない。実際に各種情報が紐付けられて運用されだすと、ハッカーたちは他のカードにも目もくれずマイナカードのセキュリティ破りに心血を注ぐだろう。なぜなら各種情報が紐付けられているため、マイナカードに進入すれば手に入れられる情報が多いためだ。

 そうした国際的なハッカーたちの攻撃目標になるのは間違いないが、外部からの侵入を跳ね付けるほどの強靭なシステムが組めるのだろうか。そもそもマイナカードのシステムが様々な官庁のシステムと紐付けするのを前提としたシステム開発されたものなのだろうか。
 たとえば私たちが毎日普通に使っているITシステムがシステム障害などという不具合を生じているだろうか。アマゾンから注文していない商品が送りつけられたり、他人のポイントが自分にカードに加算されている、などといったことなどないだろう。ましてや他人の銀行口座が自分のクレジットカードで利用できた、ということはないはずだ。

 同じように、他人の年金が自分の年金口座に振り込まれていた、というシステム障害もなかっただろう。しかしマイナカード・システム開発当初から他省庁のシステムと関連付けることを予想してコードなどに余裕を持った設計になっていなければ、システムの何処か「新規出店」を書き加えて紐付けなければならない。そうするとシステム全体の「建付け」が悪くなって思わぬ支障を生じることになる。
 船の設計を想像して頂きたい。そもそもタンカーを建造するのか、それとも豪華客船を建造するのか、によって船底の強度から異なってくる。もちろん各種配管設計や電気設計も異なる。船体の強度設計も異なるが、元々は五千トンクラスの小型タンカーを予定していた建造計画に五万トンクラスの豪華客船に設計変更しろ、と命じているに等しい。

 さらに各省庁から出張ってシステム設計に口出しし、基本的な設計単位がセンチなのかインチなのかすら統一されてなければ個々の配管設計すら困難になる。それと同様に事がマイナカードのシステム設計で起きている。
 たとえば本人登録でマイナカードのシステムでは漢字と読み仮名になっている。しかし多くの銀行システムではカタカナやアルファベットで名前登録されている。なぜなら銀行に外国人も口座登録するからだ。そうした名前の登録一つとっても紐付が簡単にはいかないのだ。

 マイナカードに省庁全てのシステムを統合しようというのなら、その前に全ての省庁を一つにすべきだ。それならマイナカード・システム統合支障は劇的に軽減される。「日本政府」だけが行政窓口で、地方自治体も「都道府県」窓口一つ、「市町村」窓口一つになればシステム統合はスムーズにいくだろう
 もちろん行政の簡素化は想像を絶するほど捗るだろう。霞ヶ関に点在している省庁も一つの巨大ショッピングセンターのような建物一ヶ所に入って、国民が訪れる窓口は一つで、そこから用件別に横の連絡だけで用事が済むことになる。それこそ究極の「ワンストップ」行政ではないか。まずは各省庁の統合か一本化からマイナカードのシステム設計をすべきではないか。

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