世襲候補は地方を衰退させ、ついには東京をも衰退さる。

<安倍元首相の弔い選挙となった衆院山口4区補選(23日投開票)は自民党の足並みが揃わず、昭恵夫人が擁立を主導した後継候補の「圧勝」とはほど遠い展開だ。安倍ブランドで戦う元下関市議の吉田真次氏(38)と、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との癒着を争点にする立憲民主党公認の有田芳生元参院議員(71)による事実上の一騎打ち。情勢調査では吉田がリードしているが、安倍と激しく対立していた林芳正外相ら林派の動きも相まって、わからなくなってきた。

「安倍さんの急逝で解散状態だった安倍派の動きが鈍い。昭恵さんが吉田さんを引き連れて企業・団体回りに汗をかいていますが、話は聞いてもらえるものの、心ここにあらず。吉田さんをやったところで利権はないし、今後のことを考えれば林派についたほうがいいですから」(地元財界関係者)
 吉田氏の出陣式でマイクを握った昭恵氏は「主人の後をしっかり働いていただくため、圧倒的な勝利で国政の場に送り出していただきたい」と涙声で訴えたものの、安倍の後援会長からスライドした伊藤昭男後援会長は「このアベシンジ候補こそが……」と痛恨の言い間違え。吉田が支援者の間ですら浸透していないことを物語っている。

 衆院小選挙区の「10増10減」の影響で、山口は次の総選挙で4から3へ減区。前回、参院から3区へ鞍替えした林氏は下関市を含む新3区を当然取りにいくわけで、吉田氏は邪魔な存在でしかない。
「林派はハナからヤル気がない。総理が応援に入った3月上旬の激励集会では、総理が退場した途端、地元議員ら林派はゴソッと席を立った。その上、昭恵さんが『8万票取れば林さんも入ってこれない』と言っていたと地元紙に報じられ、林派はカンカン。選挙区内を歩けば林派が寝ているのは一目瞭然ですよ。ポスターの張り方が全然違う。安倍派は総理と吉田の2連ポスター、それ以外は総理のポスターしか張っていませんから」(地元メディア関係者)
 吉田氏の出陣式には清和会の萩生田政調会長や下村元文科相ら、教団とズブズブの連中がそろい踏み。下村氏は「圧勝することによって安倍晋三の魂が吉田候補に乗り移って日本を立て直していく」とがなり立てていたが、故人を思うならもう鎮魂した方がいい>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)



 WBC世界一から大谷二刀流の追っかけと化した日本の主要マスメディアは補選のニュースは殆ど流さず、連日大谷選手に狂っているかのようだ。4区の安倍後継候補と、統一教会問題を追及していたジャーナリスト有田氏の一騎打ちは見ものだ。山口県では4区の他に2区でも補選が戦われている。
 2区では前防衛相の岸信夫氏の長男と、元法相の平岡秀夫氏がガチンコ選挙を戦っている。補選は比例復活当選がないためこの機会に世襲候補に苦汁を舐めてもらった方が本人のためではないか、という声すらある。

 私は何度も親の「地盤 看板 鞄」を受け継ぐ世襲候補の登場を批判してきた。しかし批判されるべきは世襲候補の存在を、むしろ歓迎しているかのような有権者ではないだろうか。
 本来なら地方区とは無縁な世襲候補が落下傘のようにやって来て、たちまち当選する有権者真理こそが問題にされるべきだ。東京生まれ、東京育ちの政治家の子息に地方の実態など分かるはずがない。だが選挙前にやって来た世襲候補を恰も歌舞伎の襲名披露興行でもあるかのように有権者が熱狂する、というのは民主主義の敗北ではないだろうか。

 だが世襲候補が盤石な親の地盤を引き継ぎ、選挙区内の地方議員が手足となって各地で動き回る、という構図で世襲候補は支えられている。数十年前まで頻繁に行われた買収や金品のバラ撒きこそ姿を消したが、利益誘導発言は依然として強力だ。
 だが現実は30年間も地域経済は停滞し、地方の人口は軒並み減少している。限界集落が相次いで消滅集落になろうとしている。地方に展開していた部品製造企業や縫製工場などは殆ど中国へ移転してしまい、農家の御婦人方の現金収入の場も失われた。すべては長らく政権を維持して来た自公政権下の「構造改革」グローバル化で起きた地方の衰退だが、その自公政権の政治を無批判に受け入れて来たのも地方の有権者たちだ。

 中山間地域の自立的な政策立案を困難にしている一因に「平成の大合併」があげられる。合併により中山間地や寒村にあった町や村が大きな市の一部と化し、その町や村を中心とした政策が殆ど立案されなくなった。さらに問題なのは町や村の唯一といって良い大企業たる「役場」がなくなったことだ。年間一般会計だけで50億円前後を支出する「経済主体」が中山間地や寒村に存在する意義は大きい。
 しかし、そうした現実に向き合うこともなく「故郷の皆様~」と叫ぶ世襲候補に熱狂する有権者たちのなんと愚かなことだろうか。彼らの政策が地方を衰退させたという批判もなく、自動的に世襲候補に票を投じる有権者たちに、その地域を守り継承しようとする知力も活力も期待できない。このまま世襲候補が国政で跋扈し、日本は哀れにも地方から衰退するだろう。やがて地方の衰退が東京の衰退になる、という因果関係に繋がることを理解している世襲候補が何人いるだろうか。

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