日本を取戻そう。

<半導体が地域経済のけん引役となっている。2021年度の全国の実質国内総生産(GDP)が19年度比98%の水準にとどまる一方、都道府県別では関連産業が集積する三重、山梨、熊本など8県で県GDPが19年度水準を上回った。足元では供給過剰感が強まるものの、中長期では需要が増える見込み。経済安全保障の観点から世界的なサプライチェーン(供給網)見直しが進む中、国内生産の重要性が増しており、追い風が強まっている。



 東京財団政策研究所の山沢成康主席研究員(跡見学園女子大学教授)が推計した都道府県別の月次GDPを基に19年度と21年度の水準を算出し、比較した。最も回復したのは三重県の106%で、コロナ禍前水準を超えたのは計8県だった。上位自治体はいずれも製造業の活動状況を表す鉱工業生産指数が上昇した。21世紀版「企業城下町」に向けた自治体の知恵比べが加速する。

 三重県は電子部品・デバイス工業の伸びが全体を押し上げた。00年に「シリコンバレー構想」をうたい、集積を目指して大口設備投資にも補助する仕組みを導入。東芝のNAND型フラッシュメモリー(現在はキオクシアホールディングス)や富士通の300ミリウエハー(現在は台湾UMC傘下)の拠点を呼び込んだ。

 22年以降、半導体の需給バランスは消費者向け電化製品やデータセンター投資の減速などで崩れてきたが、一方で自動車や産業向けはなお逼迫する。信金中央金庫地域・中小企業研究所の角田匠上席主任研究員は「半導体は製品サイクルに起因する短期変動があるものの需要拡大が続くことは間違いない」と指摘する。経済産業省によると世界の半導体市場は20年の50兆円から30年に100兆円へと倍増する見通しだ。

 産業の裾野が広いことも地域を浮上させる条件となる。回復率2位の山梨県(104%)は東京エレクトロンなど関連産業が主導した。韮崎市に拠点を構える同社の22年3月期の半導体製造装置売上高は前期比48%増えた。17年度以降、同県に立地した半導体関連企業は24社に上る。


 今、各地域が期待をかけるのがサプライチェーン見直しや国内への生産回帰に伴う新規の大規模投資。21年には半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が1兆円規模の工場を熊本県菊陽町に建設することを決めた。九州フィナンシャルグループの笠原慶久社長は地域への経済波及効果を「10年で4兆3000億円程度」と試算する。

 22年11月には次世代半導体の国産化を目指し、トヨタ自動車やNTTなど8社が出資した新会社「Rapidus(ラピダス)」が本格稼働した。10年間で5兆円を設備投資などに充てる計画で、各自治体が熱視線を送る。
 北海道の鈴木直道知事は16日、ラピダス本社(東京・千代田)を訪問し、工場を北海道に建設するよう要請した。鈴木知事は「他の県からも強力なアピールが行われている」と明かす。

 日本貿易振興機構(JETRO)によると、世界の対内直接投資額は21年に1兆5823億ドル。日本向けは、このうち1.6%にすぎない。米国(23.2%)、中国(11.4%)など、上位国に大きく水をあけられている。一方で半導体の製造拠点として知られる韓国と、福岡市の製造業(一般工)の月額給与はほぼ同じ水準で並ぶ。円安傾向で対日投資への「割安感」も増す。巨大投資を国内の各地域に呼び込む条件はそろいつつある>(以上「日経新聞」より引用)




 引用記事のポイントとして日経新聞は次の三項目を掲げている。
【この記事のポイント】
・半導体関連産業が集積する三重、山梨、熊本などのGDPがコロナ前を超えた
・産業の裾野が広く地域経済をけん引、新たな「企業城下町」が生まれている
・経済安保の面から供給網見直しが進み、国内への生産回帰で新規の投資が拡大
 というものだ。
 コロナ禍以前のGDPを超えた地域に共通しているのは企業投資と政府投資が相俟っている地域だ、という点だ。その底流にある理念は「経済安全保障」という思想で、国際サプライチェーンと称する「国際分業」ではなく、国内で安定的なサプライチェーンを構築して、産業の基礎体力を強くしようとする体制づくりだ。

 それはかつての「日の丸企業」と呼ばれた、官と民とが一体となって製造業で国民を食わせて行こう、とした高度経済成長時代の哲学だった。「和」を貴ぶ日本の国民性と合致したため企業文化が各地に根付いて発展し、全国各地に「企業城下町」が形成された。
 しかしバブル崩壊以後、日本政府の中核に居座った「構造改革」思想は徹底して企業城下町を破壊した。残ったのはトヨタの愛知県くらいではないか。さらに「国際分業」は労働賃金の後進国の労働賃金との競争を余儀なくし、国内の労働賃金が約30年間少しも上昇しなかった、という失われた30年を日本にもたらした。

 日本の企業文化を破壊した「構造改革」は多分に米国の要請によるものだった。それ以前にも、日本は米国の経済制裁を度々受け、各産業を構造的な破壊されてきた。その一番は繊維交渉と称するもので、結果として日本政府は米国の意に従って織機を破壊して繊維産業は衰退した。
 次に米国の標的となったのは造船だった。日本の造船業が質・量ともに世界を圧倒したため、米国はドックの削減を要求し、日本政府は呑まざるを得なかった。次に来たのが半導体戦争だった。当時日本は世界の半導体の50%を製造する半導体王国だった。それに嫉妬した米国は日本半導体産業の壊滅を策した。結果として韓国と台湾に日本の半導体産業は分割して移転させられた。

 ここに来て、米国政府はやっと自分たちの誤りに気付いたようだ。日本が経済大国になり、やがて米国と覇を競うのではないかと疑心暗鬼になっていたが、彼らが警戒すべきは中国だった、と気付いたようだ。
 だが日本の自動車産業に嫉妬している欧米人は多く、CO2地球温暖化と称するデマゴーグで内燃機関を積載した自動車を地球上から一掃しようとしている。玩具のような電気自動車ならバッテリーとモーターと電気制御装置さえあれば誰にでも造れる。電気自動車が二次エネルギーの「電機」を使用している限り、決して一次エネルギーを使用している「ガソリン車」を上回るエネルギー効率を実現することはない、という科学的真理に目を瞑って、強引に2035年に全ての新車を電気自動車にすべき、という狂気じみた政策を先進諸国は打ち出している。それこそCO2を大量に排出する産業構造を世界中に根付かせることでしかない、という事実に背を向けた日本の自動車産業を破壊するための国際合意でしかないが、日本政府までその国際的なデマゴーグに従っている。いつになったら日本政府に科学的な思考が根付き、世界の真のリーダーになるのだろうか。

 日本国民の特異性を余り論いたくないが、日本国民が生み出す工業製品はいかなる分野であれ、世界をリードする。それはマジメな国民性と、「和」を貴ぶ団体行動と、そして「年長者敬う」を儒教的思想の残滓が日本国内に広くあるからだ。
 日本の工業製品が世界をリードするのは長年現場で培われた「匠の技」が随所に存在しているからだ。「匠の技」は必ずしも大企業の中にあるのではなく、中小企業に多くの「匠の技」が継承され、それが日本のモノ造りの底力になっている。「構造改革」勢力はその中小企業に温存されている「匠の技」を奪い取ろうとしているし奪い取れないものは破壊しようとしている。その手始めが中小企業を支えて来た地方の金融機関を「再編」と称するムーブメントで潰すことだ。全国各地でそうし動きが出ているのは用心すべきことだ。ハゲ鷹たちは日本の工業力の強さを生み出しているのが中小企業に温存されている「匠の技」だと気付いたから、「構造改革」を隠れ蓑に破壊しようと策している。

 2020年に中共政府が巨額資金を投じて半導体製造企業を育成しようとしたが、中小企業の呼び掛けに呼応して参加した企業が二年後に一社たりとも残っていなかった。しかし日本の企業に「半導体産業の再出発だ」と呼びかければ、全国各地から「匠の技」を持った中小企業が馳せ参じるだろう。それも日米政府が主導していればこそ、彼らは安心して半導体産業に打ち込めるだろう。
 日本政府は米国と二人三脚を組むのは結構だが、米国の理不尽な要求に二度と屈してはならない。何度も屈した挙句、現在は「あなたも外国に移住すれば二倍三倍の報酬を手に出来る」と日本の優秀な労働者をリクルートして海外へ売り飛ばすビジネスが暗躍している。それにマスメディアまで便乗して世界へ流出した日本労働者の「成功物語」を日本国内で報道している。なんという売国奴たちだろうか。

 日本国民の生活安全保障のためにも、国内産業の育成は必須条件だ。高度経済成長の社会構造を徹底的に破壊され、日本労働者まで貧困のどん底に突き落とされたが、政府は自分たちが仕出かした政治がどれほど日本をダメにし日本国民を海外流出させるまでに至ったか、本気で反省すべきだ。出来れば政権交代して自民党と公明党に反省期間を与えるべきだが、野党に日本の未来を見据えた政党がないため致し方ない。
 野党に底の浅い、志の低い政治家諸氏ばかりで政権交代は望むべくもないが、言論界が政界を牽制すべきだ。政権に取り入ろうとする野党政治家など見たくもないし、彼らは何のために政治家を志したのか聞いてみたい。政治とは国家と国民のためにある。何年も政治家稼業が続けられ事のみを願望しているかのような政治家など人間の屑だ。世襲候補者が立候補に当たって家系図をホームページに掲載するなど言葉もない。国会はそうしたクズの集まりに成り果てたようだ。有権者諸氏は本気で日本の未来を心配しなければならない。半導体産業がやっと日本に蘇ろうとしているこの機に、私たちは日本国民の誇りとモノ造りの本質を取り戻さなければならない。

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