いい加減、見果てぬ夢から醒めたらどうだ。

<「ゼロコロナ」政策を緩和した中国で、新型コロナの感染急増が懸念されている。中国政府は1日当たりの感染死者数を「ゼロ」か「ごく少数」と発表しているが、著名人の死亡が相次いで報道されたほか、火葬場に遺体が続々と運ばれているというのだ。死者数急増を予想する研究もある。アフターコロナの世界で、中国だけが違う次元に突入したのか。
「身の回りに亡くなった人がいる」「発表はもはや信頼性がない」
 交流サイト(SNS)では、こうした不信の声が出ているという。
 中国政府は今月7日、ロックダウン(都市封鎖)などを含む強権的な「ゼロコロナ」政策を軌道修正した。その後、14日に無症状感染者数の把握をやめており、感染者数や死者数の実態が見えなくなっている。
 中国メディアによると、8日以降、中国紙の元副編集長や、元プロサッカー選手、共産党機関紙の元記者ら、著名人がコロナ感染後に死亡した。ところが、政府発表では、死者ゼロの日も続き、19日になって北京で18日に2人の死者を確認したと発表があったという。
 北京市朝陽区の火葬場には、19日も次々に霊柩(れいきゅう)車が到着し、防護服姿の人々が、ひつぎを運んでいたという。
 中国では、高齢者のワクチン接種率の低さが課題だった。ロイター通信によると、追加接種を受けた成人と80歳以上の比率は、57・9%と42・3%。中国産ワクチンへの懸念の声も挙がっていると伝えた。

隣国の現状をどうみるか。
 中国・北京の葬儀場で霊きゅう車を誘導する係員=17日(ロイター)
 元厚労省医系技官の木村盛世氏(感染症疫学)は「感染対策では(ゼロコロナ政策などの)強い行動制限は一時的に感染拡大を抑えられても、後ろ倒しするだけに過ぎない。各国の経験が、数年遅れで中国に現れている。開放すれば、感染者が増え、重症者が増えるのは当然だ」と語った。
 ロイター通信は16日、来年に中国の死者が100万人を超える可能性があるという、米ワシントン大学医学部保健指標評価研究所(IHME)の推計を伝えた。
 1月下旬には中国の旧正月「春節」がある。中国国内だけでなく、世界各地に中国人が大移動する時期といえる。
 中国事情に詳しい評論家の石平氏は「習近平政権は、達成不可能なゼロコロナ政策を実施した。国産ワクチンが不十分だった点も、封じ込めを続けた理由だろう。(白紙デモなど、人民の批判を受けて)医療施設の拡充や、オミクロン株対応のワクチンなど、適切な対策もないまま開放すれば、感染拡大は予想できた。春節前の冬場という最悪のタイミングだ。中国当局は今後、実態を隠し続けるか、ゼロコロナ政策に逆戻りするかの可能性が考えられる。中国経済がさらに沈没する可能性も否定できない。西側諸国はコロナ発生当初の二の舞いを踏まないよう、中国に厳しい制限措置をとるべきではないか」と語った>(以上「夕刊フジ」より引用)




 引用記事では「西側諸国はコロナ発生当初の二の舞いを踏まないよう、中国に厳しい制限措置をとるべきではないか」と語った」とあるように、強い態度で中国を批判している。しかしウォールストリート・ジャーナルをはじめ、米国の投資家たちへ情報を提供しているマスメディアは押しなべて対中投資の勧誘に熱心だ。
 米国のイエレン前財務長官が近々中国を訪問するというし、オーストラリアのウォン外相は21日にも中国の王毅国務委員兼外相と会談してギクシャクしている両国関係を改善しようとしている。ことにウォールストリートのマスメディアは「中国の2023年は経済成長5%を達成するだろう」と対中投資熱を煽っている。

 ここに来て次期中国首相の李強氏が政権分離を主張し、外国投資家に対中投資を勧誘している。これはどう捉えれば良いのだろうか。実際に林外相が王毅中国外相と近く面会するようだし、日本は崩壊している中国経済の立て直しに乗り出そうとしているのだろうか。日本の軍事的脅威を与え続けている「敵国」に塩を送る真似をしたなら、それこそ岸田自公政権は売国政権だ。
 冷静に中国経済の現状を見れば、2023年は明らかに絶望的だ。中共政府は突如ゼロコロナ策を撤廃して、武漢肺炎対策をハードランディングさせようとしている。おそらく引用記事中にある犠牲者100万人を遥かに超える犠牲者が出るだろうが、そうした犠牲者が出ようと中共政府はゼロ予算で3ヶ月程度で集団免疫を獲得して武漢肺炎を乗り切れると踏んでいるようだ。そして乗り切った暁には「中共政府の輝かしい勝利」を宣言するつもりだろう。

 しかしこの冬の第一波の山を乗り越えただけで、中国が集団免疫を獲得するとは思えない。先進自由主義諸国は三年もかけて数度の有効なワクチン接種を行い、感染ウィルスとの共存環境を作って来た。だが中国は碌なワクチンもなく、治療薬もなく、ただただロックダウンで感染拡大を防いできただけだ。
 つまり集団免疫獲得と全く逆の手法で集団免疫獲得を先延ばしにして来ただけだ。その間に有効なワクチンを国民に広く接種し、治療薬の開発ないし輸入を充分に行っておくべきだった。しかしそうしたすべての準備を怠ってきたにも拘らず、中共政府は国民を見捨てるようにゼロコロナ策を撤回してしまった。

 何万人の犠牲者を出そうと、この冬さえ乗り切れば集団免疫を獲得できる、と中共政府は考えている。しかし武漢肺炎ウィルスはそんなに甘くない。様々なパターンのウィルスに感染するのに一冬の一つのピークで完了するとは到底思えない。少なくとも先進自由主義諸国が経験した数次の感染拡大を中国は短期間に経験するだろう。
 武漢肺炎に関してそうした推測が出来るが、米国ウォール街に拠点を置くマスメディアの予測は異なるようだ。彼らは投資家相手に「来年になれば中国経済は5%成長する」と予測する記事を掲載している。その意図は「中国の深みに嵌った投機家たちを救い出す」生贄や犠牲者を募っているとしか思えない。

 騙されないことだ、かなりの確率で2023年の中国経済はマイナスになるだろう。李克強氏が「6億人の中国民は月収2,000元以下の貧困層だ」と発表したように、中国に巨大な消費マーケットなど存在しない。しかも二年余にわたるロックダウンにより庶民の財布は空っぽになっている。
 不動産バブル崩壊を表面化させないように、実質的にデフォルトしている不動産企業の債務支払いを延期し国民に住宅ローンの野放図な緩和策を打ち出しているが、不動産市場は低迷したままだ。貿易も絶不調のままだし、外国企業の東南アジアシフトも依然として続いている。王毅氏が唱えだした政権分離など、決してあり得ない。中国は困れば日本や米国に擦り寄り、経済が拡大すれば世界一の強国だと「戦狼外交」を展開する。こんな身勝手な政府と付き合うのはリスクを抱え込むだけだ。いい加減、見果てぬ夢から醒めたらどうだ。

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