ウクライナ侵略戦争開始から10ヶ月が経過した、今夜はクリスマスイブだ。

< ロシアのプーチン大統領は22日、ロシアはウクライナでの戦争の終結を望んでいるとし、全ての武力紛争は外交交渉で終結すると述べた。

  プーチン氏は記者団に対し「われわれの目標は軍事衝突を継続することではない。逆に、この戦争を終わらせることを目標としている。この目標に向け努力しており、今後も努力を続ける」とし、「これを終わらせるために努力する。当然、早ければ早いほど望ましい」と語った。 
 その上で「これまでに何度も言っているが、敵対行為の激化は不当な損失をもたらす」と指摘。「全ての武力紛争は何らかの外交交渉によって終結する」とし、「遅かれ早かれ、紛争状態にある当事者は交渉の席について合意する。ロシアに敵対する者がこうしたことを早く認識するのが望ましい。ロシアは決して諦めていない」と述べた。 
 米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官はオンライン形式の記者会見で、プーチン大統領は「交渉の意図があることを全く示していない」と指摘。
「全く逆だ。プーチン氏が行っていることは全て、戦争をエスカレートさせる意向を示している」と述べた。 その上で、バイデン米大統領はプーチン大統領との会談を排除していないが、プーチン氏が交渉に真剣な姿勢を示し、ウクライナのほか同盟各国と協議した後のみに実現するとの見方を示した。 ロシアはこれまでも交渉に応じる姿勢を示し、交渉を拒否しているのはウクライナだと主張。これに対しウクライナや米国などは、ロシアは戦況が思わしくないことから時間稼ぎをしようとしているのではないかと懐疑的な見方を示している。 
 ウクライナのゼレンスキー氏は21日に訪米し、ホワイトハウスでバイデン大統領と会談した後、議会で演説。米政府はゼレンスキー氏の訪問にあわせ、ウクライナに対し広域防空用地対空ミサイルシステム「パトリオット」を含む18億5000万ドルの追加軍事支援を行うと発表した。 
 プーチン大統領は米国が「パトリオット」供与を決めたことについて、パトリオットは「かなり古いシステム」で、ロシアの地対空ミサイルシステム「S300」のようには機能しないとし、ロシアは対抗できるとの見方を示した。 また、ロシアの戦費調達能力を制限することを目的とした西側諸国によるロシア産石油の価格上限設定がロシア経済に打撃を与えることはないと強調。その上で、来週初めにロシアの対応を打ち出すための法令に署名すると述べた>(以上「REUTERS」より引用)



 厚顔無恥とはプーチンのことだ。1991年12月26日にソ連が崩壊し、現ロシアを主体とする連邦国家は瓦解した。それによりソ連邦に組み込まれていた周辺民族は相次いで独立し、各民族独自の国づくりに乗り出した。
 その際、ウクライナの地にはソ連の核兵器が大量にあった。ウクライナの地クリミア半島にソ連のセヴァストポリ海軍基地もあった。それらをすべてウクライナに接収することも可能だったが、核兵器は国連の「核不拡散」の原則を盾にした斡旋により、すべてロシアに引き渡した。そしてセヴァストポリ海軍基地のロシア黒海艦隊の駐留と使用を認めた。

 ウクライナは人口5,000万人弱で国土は日本の約1.6倍の国だ。国土は肥沃な平野部からなり、 耕地面積 は32,434 千 haと実に国土の53.7%を占めている。古来よりウクライナは穀倉地帯と呼ばれていた。
 ウクライナの宗教は主なもので ウクライナ正教及び東方カトリック教。 その他、ローマ・カトリック教、イスラム教、ユダヤ教等6 宗教が混在している。一方ロシアの宗教は主としてロシア 正教(数多くあるキリスト独立正教会の一つ)で、その他少数民族が信仰するスラム教、 仏教、ユダヤ教など多数ある。つまりロシアではロシア正教が「国教」というべき地位を占めている。

 そもそも動物としての人類は自然群として纏まりを保てるのは、百人前後までだとされている。それ以上になると内部対立して分裂していた。
 絶滅したとされるネアンデルタール人は脳容積も体躯も運動能力も現人類のホモサピエンスを上回っていた。しかし生存競争(つまり戦闘行為)でネアンデルタール人はホモサピエンスに敗れ、滅ぼされてしまった。なぜなのか、それは現在ホモサピエンスが「国家」を形成し「国連」を設立していることから分かるように、自然群の限界を超えた集団として行動するようになったからだと云われている。

 世界に様々な国家が存在しているが、それぞれに「国家原理」を持っている。つまり様々な「意匠」を纏って、自然群の限界を乗り越えた「国家」を形成している。ある国家は「共産主義」という意匠を纏い、ある国家は「民主主義」という意匠を纏っている。
 ちなみに原始国家の「意匠」は宗教だった。超自然的なものを信仰することによって自然群の限界を乗り越え巨大集団となったホモサピエンスは自然群のネアンデルタール人を攻め滅ぼした。ネアンデルタール人が絶滅したのはホモサピエンスが大量虐殺したからだ、といわれている。攻撃的なホモサピエンスは隣国の弱小ホモサピエンスの国々を攻撃し支配下に置いた。

 現代国家の多くは政教分離している。宗教が国家形成の原理として存在しているが、政治権力は別の意匠を纏っている。なぜなら宗教は絶対的な「無謬」でなければならないからだ。しかし現実政治ではしばしば政治家は間違った判断をする。それでは神の無謬性は維持できないし、国家形成の原理に悖ることになる。それで中世以後宗教と政治が分離した国家が相次いで誕生した。
 しかし「国教」もしくはそれに近い形で宗教が国家形成に一役買っている。日本は多神教とも云われ無信仰国家ともいわれているが、天皇家が国家形成の司祭として2,000年以上も存在し続けている。だから天皇は政治に関わってはならないのだ。究極の政教分離を維持しなければ国家形成原理の一角が崩れることになりかねない。

 ロシアはロシア正教が「国教」に近い形で信仰されている。だからロシア正教はプーチンと距離を置き、ウクライナ侵略戦争を支持する言辞を発してはならない。さもなくば宗教の無謬性が崩れ、宗教そのものが瓦解するからだ。しかしロシア正教はプーチン支持を言明している。ロシア正教の元となっているキリストは「汝の隣人を殺害せよ」と教えたのだろうか。なんと愚かな司祭たちだろうか。彼らはキリストに背き、暖衣飽食するために司祭になったのだろうか。
 アフガニスタンではイスラム教の名を騙って女性蔑視を断行している。マホメッドは女性を奴隷として使役せよ、と教えたのだろうか。女性を「性の玩具」として遇せよ、と教えたのだろうか。現世の政治を司る者が宗教権威に縋るのは「神の無謬性」侵害することでしかない。断じて許されない宗教行為を犯している愚行に、タリバンやイランの宗教指導者と称する者たちは気付いていないのだろうか。

 今日はクリスマスイブだ。「キリストの誕生をお祝いする日」の前夜祭だ。奇しくもプーチンが馬鹿げた侵略戦争を始めてから10ヶ月を経過する日でもある。この10か月間に両軍合わせて10万人以上もの兵士たちが戦場で命を落とし、多くのウクライナ市民が殺害され傷つき家を失った。そしてプーチンは核兵器使用に言及し、ネアンデルタール人を絶滅させたホモサピエンスの攻撃性はホモサピエンスまでも絶滅させようとしている。
 神をも畏れぬ所業はホモサピエンスの国家形成原理をも破壊する。実に哀れというしかない。神をも超えた存在になりたい独裁者プーチンは「イカロスの翼」という神話を知らないのだろうか。ロシア正教の司祭はまずプーチン支持を打ち出す前に、数々の神話を親講すべきだった。

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