安倍氏の「死」を無駄にしてはならない。

<立憲民主党の野田佳彦・元首相による安倍晋三・元首相の追悼演説が行われた25日の衆院本会議で、安倍昭恵夫人は傍聴席で遺影を手にして、涙を浮かべながら耳を傾けた。
 昭恵氏は演説終了後、野田氏と面会した。野田氏が演説原稿と安倍氏の議席に飾った花を手渡すと、昭恵氏は「野田先生にお願いして良かった」と表情を和らげた。「原稿を仏壇に供えたい」とも語った。
 昭恵氏は本会議に先立ち、立民や共産党を含む各会派へのあいさつ回りを行った。9月27日の安倍氏の国葬について、立民は執行部が欠席し、共産党も欠席している>(以上「読売新聞」より引用)




 追悼演説とはいえ、野田氏の演説は聴くに耐えなかった。民主党政権の首相として、バカげた消費増税10%を打ち出して安倍氏に実行を約束して下野した愚かな政治家の演説だ。
 「もう一度(安倍氏と)真剣勝負してみたかった」と願望を述べていたが、野田氏には二度と野党の代表になって欲しくないし、安倍氏と「消費増税10%」を確約するなどといった愚挙を再現して欲しくない。彼ら二人ほど「国民の生活が第一」の政治と遠い政治家はいなかったからだ。

 そして彼ら二人に根本的に欠落していたのは「いかにして国民を富ますか」という政治本来の命題だった。野田氏は民主党が自公連立から政権を奪った時に掲げた「国民の生活が第一」のスローガンを全く理解してなかった。
 いや、野田氏の前任者菅氏にしても、突然TPP(環太平洋パートナーシップ)参加を表明した。TPPとは経済のグローバル化を促進する経済連携に他ならず、それは基本的に「国際分業」を促進することでしかない。日本が失われた30年(当時は「失われた20年」だったが)のデフレ経済下にあって労働者賃金がなぜ一向に上昇しなかったのか、それは「国際分業」により日本の労働者が低開発国の労働者の賃金水準との「労働工数」競争を強いられたからだ。

 野田氏は政治家として安倍氏を悼んだのではなく、友人として悼んだのではないだろうか。それも政権を安倍氏に禅譲した友人として、だ。それなら安倍氏を送る演説で美辞麗句を連ねたのに納得がいく。
 2009年総選挙で小沢一郎氏が率いる民主党がなぜ圧勝して、自公連立与党から政権を奪えたのか。それはグローバル化を推進して来た自公政権による「構造改革」政治が「モノ造り日本」から製造拠点を失わしめ、若者たちから手堅い雇用を奪い、そして労働者賃金を国際分業」化で後進国労働者たちと競わせて、日本国民を貧困化させたからだ。そうした自公政権下で進められた日本の国家と国民を貧困化させる「事業」を終わらせる期待が小沢民主党にあったからだ。

 「構造改革」が日本に何をもたらしたのか。改めて指摘するまでもないだろう。日本の骨格となって経済を支えていた国鉄を分割民営化し、輸送業者たちの利益のために貨物輸送を徹底的に衰退化させた。郵政に到っては分割民営化により「国富」をウォールストリートの投機家集団たちの便利な投機資金に変貌させた。
 そして派遣業法の野放図な緩和により、かつてヤクザが仕切っていた「タコ部屋」を背広を着、ネクタイを締めた派遣業者が仕切るようになった。それは基本的に「ピンハネ」企業であり、ピンハネ事業が永田町周辺にワンサカと湧いた。安倍政権下で実施された様々な事業はすべてと云って良いほどピンハネ業者たちの餌食に供された。もちろんコロナにより打撃を受けた事業への支援金や東京オリンピックまで、ピンハネ業者たちの餌食になったのは周知の通りだ。

 さらに政治家・安倍氏を語る上で外せないのが、政治家や官僚たちのモラル崩壊だ。総理大臣が率先して国会答弁で大嘘を吐き続け、官僚をして「嘘の答弁」を繰り返させた。
 安倍氏は国会での追悼演説に値する人物だったのか。彼が自民党国会議員の多くに統一教会を紹介し、統一教会の影響下に置いていたことが彼本人に対する統一協会二世による銃撃事件で明るみになったのは皮肉な巡り合わせというしかない。

 むしろ安倍氏は司直の手により政治生命を奪われるべき政治家だった。安倍氏の死により「アベノ蓋」が取れたことにより、東京オリンピックの禍々しい白アリたちの実態が次々と明らかになっている。さらに安倍氏が手を染めた数々の疑惑に関して、真相が明らかになりつつある。
 安倍氏周辺に群がっていた軽薄なインフルエンサーたちの薄っぺらさがミエミエになっているが、それは彼らを重用したマスメディアにもいえることだ。安倍氏の「死」を契機として、日本国民が思慮深い本来の姿を取り戻すとしたら、それこそ安倍氏の「死」を無駄にしてはならない。

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