彼を独裁者の地位から排除することを、世界は本気で考えなければならない。

＜ロシアのプーチン大統領が選んだウクライナ侵攻が、プーチン氏自身の失脚につながり、内戦や国家分裂といった混乱を引き起こす恐れがあると、元ロシア外交官のボリス・ボンダレフ氏が語った。　

　ボンダレフ氏はジュネーブで国連機関代表部の外交官を務めていたが、ロシアのウクライナ侵攻に抗議し、５月に辞任した。
　ボンダレフ氏は米外交専門誌フォーリン・アフェアーズへの寄稿で、ロシアのプロパガンダを反映する情報をロシア政府に報告する外交官が評価される実態に触れ、こうした「イエスマン」によって、プーチン大統領が侵攻といった大きな決断を下す土壌が作られていると指摘。「プーチン氏が失脚すれば、ロシアの将来は極めて不確実なものとなる」と述べた。
　プーチン大統領の主要顧問らが国家安全保障関連の歴任者であることを踏まえると、「プーチン氏の後継者が戦争を継続する可能性は十分にある。しかしロシアにはプーチン氏ほどの人物はおらず、ロシアが政治的混乱に陥る公算が大きく、カオスに陥る可能性さえある」という見方を示した。
　さらに、ウクライナとのいかなる停戦も「ロシアに軍再配備の機会を与えるだけ」とし、「完敗させる以外、プーチン大統領を実際に止めることはできないだろう」と述べた。
　また、「ロシアがプーチン氏よりも好戦的な指導者の下で団結し、内戦や他国への侵攻などを引き起こす可能性もある」と警鐘を鳴らした上で、ウクライナが勝利しプーチン氏が失脚した場合、１９９１年のソ連崩壊後にロシア人が感じた屈辱を与えないことが西側諸国による最善の行動という認識を示した。
　ボンダレフ氏の寄稿文について、ロシア外務省からコメントは得られていない＞(以上「REUTERS」より引用)

　ロイターがまともな記事を書いた。ウクライナ戦争を終わらせるには「ロシアに軍再配備の機会を与えるだけ」であり「完敗させる以外、プーチン大統領を実際に止めることはできないだろう」と述べた元ロシア外交官のボリス・ボンダレフ氏の言葉を掲載した。

　まさに、その通りだろう。プーチンを独裁者の地位に温存したままのいかなる和平もあり得ない。なぜならプーチンは一敗地に塗れたまま独裁者であり続けることはないからだ。彼の意思であるか、誰かの意思であるかは問わず、プーチンの失脚と引き換えでなければウクライナはロシアとの和平案に乗らないだろう。

　プーチンは起死回生のために核兵器を使用するだろう、と予測する軍事評論家たちは間違っている。プーチン本人は何としてもウクライナに勝利しなければ独裁者の地位から追われることを認識している。だから化学兵器であれ核兵器であれ、勝利のためなら正当化されると彼本人は強く思っているだろう。

　しかしプーチンの取り巻きは違う。忠実な臣下を一心同体と表現するが、それは譬えでしかない。一心同体の人物など世界に誰一人としていないのが現実だ。プーチンほどの権力者であっても、彼は一人だ。彼一人で核使用を正当化しても、クレムリンにいる彼以外の人たちは核使用が正当だと、誰も考えないだろう。たとえチェチェンの凶暴な傭兵の隊長であっても、プーチンに核ボタンを押せと使嗾できても、彼本人に核ボタンを渡されたら核ボタンを投げ返すだろう。

　人は歴史に悪名を刻みたくない。誰でも同じだ。ただ独裁者の地位に狂ったプーチンは正常な思考回路を既に喪失している。狂人プーチンを国家最高権力者の地位に留めておくのはロシアにとっても世界にとっても最悪だ。彼を独裁者の地位から排除することを、世界は本気で考えなければならない。