安倍国葬は「国葬」に非ず。「国葬儀」である。

<安倍晋三元首相の「国葬(国葬儀)」の招待状が、葬儀委員長である岸田文雄首相から発送された。

 これに対し、立憲民主党の蓮舫、辻元清美両参院議員が「欠席」をSNSで表明したのだが、招待状や返信用はがきの画像をSNSにアップしたのには違和感を持った。
 国葬については賛否が分かれているので、国会議員でも欠席の人はいるだろう。両氏がそれを表明するのも別にいいと思う。ただ、招待状の画像をSNSにアップすることについて、ネット上で「はしたない」「受け入れがたい」など批判が相次いだ。
 他にも、2人の旧民主党の元議員が「出席での返信が少なかったから、元職にも急遽発送?」とか、「(返信の)投函期日が修正ペンで手書きされている!」などと招待状をネタに盛り上がっていた。
 葬儀の招待状とは、死者を弔う場所や日時を連絡するためのものであって、それをネタにSNSで盛り上がるものではないと思う。暗澹(あんたん)とした気持ちでさらにスマホを眺めていたら、駐日ジョージア大使のティムラズ・レジャバ氏の投稿を見つけて、今度はホッとするとともに恥ずかしくなった。
 レジャバ大使は国葬に関連して、「故人に対する目に余る言動に心を締め付けられております」「問題があるとすれば機会を改めて吟味すれば良いのではないでしょうか」と指摘したうえで、「安倍氏の英霊を敬うため」国葬に出席することを明らかにした

この彼我の差は、一体どうしたことか。
 外国人が「今は静かに送ろう」と言ってくれているのに、日本の国会議員は葬儀の招待状の画像をSNSにアップして盛り上がっている。情けないというより恥ずかしい。
 先週国会で国葬に関する閉会中審査が行われた。国葬にした理由や法的根拠を岸田首相が説明したが、野党のうち、立憲民主党、共産党とは全く話がかみ合わなかった。
 筆者は、岸田首相が言う通り、業績や海外の評価などから考えて、安倍氏は国葬に値する人であり、決定は行政権の範囲内だと思う。ただ、そうは思わない人もいるだろう。岸田首相の権限で国葬を行う。それがどうしても許せない、そんな人に、あるいはそんな政党に政権は任せられない、と思う人は次の選挙で意思を示せばいい。それが間接民主主義というものだ。
 国葬に反対する人は、反対だと意見を言えばいい。だが、お葬式の当日に鉦(かね)や太鼓を鳴らして大騒ぎをするのはやめた方がいいと思う。決まったことなのだから静かに送りたい人たちの邪魔はしないでほしい。ジョージアの大使が指摘してくれたように、われわれは死者を敬うべきだと思うのだ>(以上「夕刊フジ」より引用)




 フジ産経グループの「夕刊フジ」らしいコラムだ。安倍氏の天敵だった蓮舫、辻元清美両参院議員が「欠席」をSNSで表明したのを取り上げて「(国葬儀の)招待状や返信用はがきの画像をSNSにアップしたのには違和感を持った」と批判している。
 岸田氏は安倍国葬は「国葬」ではなく、内閣が権能を持つ「儀式」として執り行うから、「国葬儀」だと言い換えた。それで法的根拠のない「国葬」ではなく「国葬儀」と呼称を変更した。つまり安倍晋三氏の「国葬の招待状」ではなく安倍氏葬送の「儀式に関する招待状」だから、蓮舫氏たちがSNSに「こんな招待状が届いたヨ」とフッア゜して問題はない。それは友人の「結婚式の招待状」をアップするのと何処が異なるというのだろうか。

 駐日ジョージアのレジャバ大使は国葬に関連して、「故人に対する目に余る言動に心を締め付けられております」「問題があるとすれば機会を改めて吟味すれば良いのではないでしょうか」と指摘した、と記事にあるが、レジャバ大使は「国葬」と「国葬儀」とを勘違いしておられるようだ。外務省は岸田氏お得意の「丁寧な説明」をしたのだろうか。
 法的根拠もなく三権の長たる国会に諮ることもなく、内閣が勝手に決めた「国葬儀」に国民皆が平伏せ、というのもどうかしている。ただ夕刊フジ氏は「筆者は、岸田首相が言う通り、業績や海外の評価などから考えて、安倍氏は国葬に値する人であり、決定は行政権の範囲内だと思う」とどうかしている連中の一人のようだから、気にしないでおこう。

 しかし夕刊フジ氏が「岸田首相の権限で国葬を行う。それがどうしても許せない、そんな人に、あるいはそんな政党に政権は任せられない、と思う人は次の選挙で意思を示せばいい。それが間接民主主義というものだ」と論理が飛躍して立憲主義を蔑ろにしているから、ここは敢えて批判せざるを得ない。
 むしろ総理大臣が自分が任命した大臣に諮って「閣議決定した」のが「不磨の大典」と同等の重みをもつ、と安倍政権時代に強行した「閣議決定による改憲」が悪しき前例となって岸田内閣に引き継がれているのに対する「危機感」を覚える方がマトモではないだろうか。むしろ安倍氏の死を心静かに送らないで、政争の具にしたのは岸田氏ではないか。

 夕刊フジ氏は「国葬に反対する人は、反対だと意見を言えばいい。だが、お葬式の当日に鉦(かね)や太鼓を鳴らして大騒ぎをするのはやめた方がいいと思う。決まったことなのだから静かに送りたい人たちの邪魔はしないでほしい」とは何事だ。岸田氏が彼の任命した大臣と諮って決めたことに、どれほどの意味があるというのか。「決まったことなのだから静かに送りたい」のなら、静かに送りたい人たちが香典を出し合って、国民の税金を使わないで「葬送」の式典を行えば良い。
 日本には表現の自由がある。夕刊フジはマスメディアとして、表現の自由によりどんなに酷い滅茶苦茶な論理であろうと紙面に表現できる。しかし個々人の新聞を日本国民が自由に意思を表明する手段としてデモが許されているのなら、デモを通して意思表明して何が悪い。夕刊フジ氏のような連中がバカげた先の大戦に国民を誘導したのだ。恥を知れ。

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