「経済を回す」前に、国民の命と健康を守る方が先ではないのか。

ワクチン4回目接種と第7波対策
 新型コロナウイルスの第7波が拡大している。この時期に感染が拡大するのは、昨年、一昨年と同じだ。過去2年とも8月に感染はピークとなり、その後、減少に転じた。もうしばらく感染拡大は続くだろう。
 第7波対策で重要なことは、科学的エビデンスに基づき、合理的に対応することだ。年齢を問わず、お奨めしたいのはワクチン接種だ。
 まずは、高齢者へのワクチン接種だ。7月6日、カナダのオンタリオ州の公衆衛生局の研究チームが、高齢者施設の入居者に4回目接種を行うことで、3回目接種と比較して、感染を19%、症候性感染を31%、重症化を40%減らすとの研究結果を『英国医師会誌(BMJ)』に発表した。
 この研究でのワクチンの効果は、先行するイスラエルの研究よりもやや劣る。4月13日に同国の研究チームが、米『ニューイングランド医学誌』に発表した研究では、60才以上の高齢者に対して、4回目接種を行ったところ、3回接種群と比べ、接種後7~30日間の感染リスクは45%、入院リスクは68%、死亡リスクは74%低下していた。
 この二つの研究は、4回目接種により感染自体を予防する効果は低いが、重症化の予防効果は期待できるという点で一致している。高齢者はコロナに罹患した場合、重症化リスクが高い。4回目接種は、感染自体を減らさなくても、重症化させないのだから、有効と言っていい。4回目接種をお奨めしたい。
 次は若年者だ。我が国では12歳以上を対象に3回目接種が実施されているが、若年者の接種率は低い。7月25日現在、70歳代以上の3回目接種率は90%を超えるのに対し、12~19才は33%だ。オミクロン株は、感染しても軽症ですむから、接種の必要がないと考えているのだろう。
 ただ、オミクロン株は軽症だからと言って、問題がないわけではない。コロナに罹ると、貴重な機会を逸するからだ。東京大学教養学部は、2022年度の前期試験からコロナ感染者の救済措置を廃止しているし、医師国家試験や教員試験などの国家資格も救済措置はなく、コロナに罹れば、留年、あるいは翌年の再試験を待たねばならない。若年者と雖(いえど)も、コロナには罹らない方がいい。
 では、若年者に3回目接種は有効だろうか。6月16日、福島県相馬市が発表した調査結果が興味深い。相馬市はワクチン接種が全国で最も迅速に進んでいる自治体の一つだ。6月15日現在、中高生1,834人中1,066人(58.1%)が3回目接種を終えている。全国平均より27.1%高い。
 相馬市によれば、4月1日から6月15日のオミクロン株流行期間に中高生65人が感染しているが、3回目接種完了者、未完了者の感染率は0.67%、7.16%だった。

■ 表1 相馬市の3回目接種の効果




 相馬市内では、オミクロン株は、中高生を中心に流行した。未接種者に限定すれば、感染率は高齢者が0.31%なのに、中高生7.16%、小学生5.60%、未就学児5.22%と高い。ところが、相馬市では、3回目接種により、中高生の感染を91%予防した。中高生に対しては、3回目接種により、高い感染予防効果が期待できそうだ。
 この結果は、医学的にも納得がいく。コロナはインフルエンザのように、1回の免疫で完全な免疫はできない。何度も感染し、何度もワクチンを打つことで、徐々に免疫が形成される。人生経験が短い若年世代は、新型コロナ流行前から存在した、従来型コロナに感染した経験が少なく、免疫をもっていなかったのだろう。ただ、高齢者と比べて、ワクチンへの反応性は高いから、ワクチンを追加接種することで、免疫力が急速に向上するのは納得がいく。
 若年者を対象とした追加接種の感染予防効果を、大規模に調査した研究は世界中に存在しない。この点で、相馬市の調査は貴重だ。今後、国内外で追試されるだろうが、現時点で、我々が参照できる数少ないデータと言っていい。これから夏休みを楽しもうと思っている若い方々や親御さんは、是非、御参照頂きたい。
 以上、オミクロン株に対するコロナワクチン接種の最新情報をご紹介した。参考になれば幸いである>(以上「MAG2」より引用)



 MAG2に掲載された「上昌広医師が緊急提言。第7波対策には年齢問わぬワクチン接種を」と題する上氏の論評を引用した。世上「ワクチン接種すると死ぬ」という飛語流言が蔓延している。ことにネット上には満載だ。それは江戸時代末に日本に入って来た種痘に対して、接種したら「牛になる」と忌み嫌われた歴史を彷彿とさせるものだ。
 だからこそ、武漢肺炎の蔓延防止に当初から有効的な対策提言して来た上 昌広(かみ まさひろ)氏(医療ガバナンス研究所理事長)の論評をこのブログで取り上げることにした。一読して頂くのは決して無駄ではないはずだ。

 岸田自公政権はウィズ・コロナを目指そうとしたのか、この期に及んでも直ちに「ブロック内の旅行」への補助策を停止しようとはしない。地方自治体も政府に右倣えなのか、自宅待機ないしは飲食業者に自粛要請をしない。
 そして、ついに昨日過去最高の感染患者数を記録した。ただ、恐らくその20万人を超える感染患者数も控え目なのだろう。なぜならある都内のクリニックでは30数人のPR検査の内20人以上の陽性率だったという。もっと多くの人を検査していれば、もっと多くの感染患者が見つかっているはずだ。

 安倍自公政権時にPCR検査の抑制策を実施して、国民に武漢肺炎が広く蔓延する状態を作った。現在でも、PCR検査の抑制策を続けているようだ。望む者は誰でも何時でも無料でPCR検査が受けられるような態勢になっていないのは先進諸国では日本だけだ。
 そして国内製薬会社が製品化の段階に到った治療薬の認可を、なぜか厚労省は承認を遅らせている。恰も米国製の治療薬が完成するのを待っているかのようだ。日本の厚労省は日本国民と米国企業との、どっちを向いて働いているのか解らない。

 国民の健康を守る立場から上氏は若者にもワクチン接種を実施するように勧告している。引用した論評で「何度も感染し、何度もワクチンを打つことで、徐々に免疫が形成される。人生経験が短い若年世代は、新型コロナ流行前から存在した、従来型コロナに感染した経験が少なく、免疫をもっていなかったのだろう。ただ、高齢者と比べて、ワクチンへの反応性は高いから、ワクチンを追加接種することで、免疫力が急速に向上するのは納得がいく」と述べている。
 政府は現場専門医の提言を真摯に受け止めるべきだ。国民は誰もが健康に暮らす権利を持っている。「経済を回す」という常套句で感染症が蔓延するのを放置してはならない。「経済を回す」前に、国民の命と健康を守る方が先ではないのか。

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