「プーチン氏の「終わり」は着実に近づいている」というが、

<海外での情報活動を行う英秘密情報局(MI6)のリチャード・ムーア長官は21日、米西部コロラド州で開かれた米シンクタンク、アスペン研究所の安全保障フォーラムで講演し、「戦争はまだ終わっていないが、スウェーデンが200年に及ぶ中立を捨て北大西洋条約機構(NATO)に加盟するなど、ロシアは戦略的な誤りを犯した」と語った。【木村正人(国際ジャーナリスト)】

 ムーア氏はウラジーミル・プーチン露大統領にはウクライナに侵攻する際、3つの目的があったと振り返った。「一つはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を排除すること。2つ目は首都キーウを支配すること。次にNATOに不和の種をまくことだった」。しかしプーチン氏は緒戦で約1万5000人を無駄死にさせ、3つの目標だけでなく、面目も完全に失った。
 「ロシア軍はここ数週間、数カ月間で少しずつ前進しているが、それは微々たるものだ。前進したのは数マイルで、占領した街は破壊され尽くしている。ロシアは力尽きようとしている。今後数週間、ますます人員や物資の供給が困難になり、何らかの形で休止せざるを得なくなる。士気が高く、良い武器を供給されたウクライナ側には反撃の機会が訪れる」
  ムーア氏は「ウクライナがロシアに対して反撃する能力を示すことが重要だ。それが軍の高い士気を維持するとともに、ウクライナは勝てるという強いメッセージを欧州に送ることになる」と述べた。米ファンタジーTVドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』の『冬来たる』というエピソードを引いて「これからかなり厳しい冬に入る」と指摘した。

 ■「彼が深刻な病に苦しんでいるという証拠は何一つない」 
 冬になれば欧州でロシア産天然ガスの需要は増し、プーチン氏はロシア依存度の高い欧州諸国に揺さぶりをかけやすくなる。さらにプーチン氏の重病説について米CIA(中央情報局)のウィリアム・バーンズ長官と同じように、ムーア氏も「彼が深刻な病に苦しんでいるという証拠は何一つない」と断言した。 
「私たちはウクライナ侵攻などプーチン氏の計画を事前に公表してきたことからも分かるようにクレムリンの動きを追跡してきた」と強調し「ロシアはウクライナのナショナリズムと侵攻した際に反撃される程度を完全に過小評価していた。正しい情報が得られていなかったことに加え、ロシアの情報機関の仕事は権力者に真実を伝えることではなかった」と語った。
 ウクライナ侵攻後、ロシアの外交官として活動していた情報機関メンバーの約半分に当たる約400人が欧州から追放され、ジャーナリストを装ったロシアの協力者も次々と逮捕されている。このため、欧州におけるロシアの情報収集網はズタズタに引き裂かれ、ウクライナ戦争を巡る欧州の動きが正確に把握できなくなっているという。

中国の情報収集システムは「ブラックボックスだ」
 中国の脅威について、米連邦捜査局(FBI)のクリストファー・レイ長官と英情報局保安部(MI5)のケン・マッカラム長官が7月6日、「われわれの経済や安全保障にとって長期的な最大の脅威」(レイ氏)と警告した。イギリスの航空専門家は中国の情報機関とつながりを持つ企業から「魅力的な就職」を持ちかけられ、軍用機情報の提供を求められたという。 
 ムーア氏も「中国がもたらす脅威について、政府や社会全体が認識を深めている。私の場合、中国がもたらす脅威に対して情報の上流から取り組んでいるが、中国との貿易であれ、気候変動であれ、かなり不透明なシステムだ。どのように組織化し、どのような戦術的意図を持ち、どのような能力を構築しているのか、ブラックボックスだ」と強い懸念を示した。
  中国はロシアのウクライナ侵攻に対する西側の対応について台湾侵攻の教訓としてどう見ているかについてムーア氏は「それを語るのは時期尚早だ。しかし私たちがこの冬を乗り切ることが非常に重要だ。中国の習近平国家主席はタカのように目を凝らして見ている。
 彼は西側の弱点について非常に凝り固まった考え方を持っている」と指摘した。 元NATO軍最高司令官のジェイムズ・スタヴリディス氏らが戦争を念頭に書いた共著『2034 米中戦争』に関し、ムーア氏は「戦争が不可避だとは思わない。台湾海峡の両側で違いを平和裏に解決しようという意志がある。習主席が台湾で何をするかしないかを計算する時に、誤った判断で侵略しないよう明確にメッセージを送る方法を見つける必要がある」と言う。 
 プーチン氏の血生臭い人生を追跡してきた『キラー・イン・ザ・クレムリン(クレムリンの殺し屋)』の著者で元BBC記者のジョン・スウィーニー氏はCIAやMI6とは異なりプーチン氏を苦しめる可能性のある病気としてがんのリンパ節転移や血液がん、肝臓がんを挙げ、「プーチン氏はステロイドを過剰摂取しており、この世を去るのはそう遠くない」と予測する。 「プーチン氏は病気だ。将軍がプーチン氏を殺すかもしれない。オリガルヒ(新興財閥)が毒を盛るかもしれない。プーチン氏はそのまま目を覚まさないかもしれない。私好みのシェークスピア的なエンディングはプーチン氏自らが毒を飲んで自分の人生を終わらせるというものだ」とスウィーニー氏は語る。

プーチン氏を権力から取り除く安全で確実な方法とは
「プーチン氏を権力から取り除く安全で確実な方法はウクライナがロシアを軍事的に打ち負かすことだ。そうすれば日露戦争と第一次大戦に敗れたニコライ二世(帝政ロシア最後の皇帝)と同じ運命がプーチン氏を待ち受けている」(スウィーニー氏)
  同氏によると、ロシアの大砲は射程10~15マイル(約16~24キロメートル)しか届かないが、ウクライナに計16基が配備される「切り札」米M142高機動ロケット砲システム「ハイマース」の射程は40マイル(約65キロメートル)だという。 リーチの長いボクサーが有利なように、7月になってロシアの武器庫が「ハイマース」によって破壊されるようになり、ウクライナは射程の長い多連装ロケットシステムや榴弾砲、弾薬の到着を待っている。
 スウィーニー氏は「キーウには東部ドンバスやクリミア半島出身者が多いので、ロシア軍をウクライナから完全に追い出すことを望んでいる」と語る。 「プーチン氏が通っていた柔道とソ連の格闘技サンボの教室の指導者はギャングだった。その墓碑銘には『マフィアは不滅だ』と刻まれている。
 スパイになる前、プーチン氏はギャングだった。ギャングの鉄の掟は忠誠だ。プーチン氏はギャング仲間に忠誠を尽くしたが、同時に忠誠を求めた。プーチン氏の仲間たちはいま孫と過ごすため引退したがっている」 「プーチン氏は自分の命を狙うかもしれない新顔がインナーサークルに入ってくるのを嫌っている。(ロシアの軍事的な敗北が確実になっても)
 クレムリン内にはプーチン氏を脅かす新興勢力は現れないだろう」とスウィーニー氏は断言する。 プーチン氏は1989年、ベルリンの壁が崩壊するのを旧東ドイツのドレスデンで目の当たりにした。 「ベルリンの壁が崩壊したように、プーチン氏は市民の抗議デモがロシア全土で沸き起こるのを恐れている。
 反体制派アレクセイ・ナワリヌイ氏を投獄したあと生かしているのも、徴兵制を全面的に導入できないのも大衆蜂起を恐れているからだ」とスウィーニー氏は語る。プーチン氏の「終わり」は着実に近づいている>(以上「NEWS week」より引用)




 世界はプーチンの戦争が一日も早く終結するのを望んでいる。ことにEU諸国は冬を迎える前に終結することを望んでいる。なぜならロシアから輸入している天然ガスのバルブをプーチン氏が閉めてEU諸国を寒さで震え上がらせかねないからだ。
 六月にもウクライナ軍が反転攻勢に出て、ロシア軍は東部戦線で後退し、南部戦線でもクリミア半島以外の占領地から撤退するだろうと思われた。しかし、以外にも7月末を迎えてもロシア軍はヘコたれず前進をしている。MI6やCIAなどの情報当局は予測を見誤ったのだろうか。

 ウクライナ侵攻以前、ロシア軍の継戦能力はそれほどないと思われていた。世界のは常識では、ロシアは米国に次ぐ軍事大国だと思われていた。しかし継戦能力としてはGDPが韓国以下の規模でしかなく、ソ連当時の兵器や砲弾の備蓄は相当あると予想されるが、いずれも30年も前の旧型でしかない。
 最新兵器はロシア当局が商売上「盛った」カタログ・スペックでしかなく、実戦となると先進十主義諸国の最新兵器の敵ではないと思われていた。実際にウクライナで戦うロシア軍はお粗末で、到底世界第二位の軍事大国のそれではなかった。おそらく、中国もロシア軍の実態に驚いたに違いない。なぜなら中国が軍備を近代化するために大量購入した兵器はロシア製の劣化コピーでしかないからだ。

 おそらくプーチン氏もロシア軍がそれほど強くない、と知っていたに違いない。だからウクライナを戦わずして屈服させるために一年以上も前からウクライナ国境近くに10万人以上もの大軍を終結して大規模軍事演習を繰り替えした。しかしウクライナは国家防衛のために戦う決意を固め、ロシアが大軍を繰り出し演習で脅しても白旗を掲げようとしなかった。
 それがプーチン氏の最大の誤算だったのではないか。これまでプーチン氏が連戦連勝して来たのはロシア軍が侵攻した国々で相手が戦わずして白旗を掲げたからだ。だからロシア国民は「強いプーチン」に自信を持ち、さらに大きな成果をプーチン氏がもたらすと信じて疑わなかった。

 だがウクライナ戦線からロシア国内に聞こえて来るのは「ロシア軍危うし」の報ばかりだろう。国家総動員令こそ発動していないものの、プーチン氏はロシア全土に戒厳令に近い非常事態宣言をしている。新規募兵の勧誘や予備兵の徴集なども行われているようだ。
 ロシア国民に「ロシアは負けているのではないか」との疑心暗鬼が募れば、厭戦気分が蔓延するだろう。MI6が「プーチン氏の「終わり」は着実に近づいている」と予測しているが、一日も早いプーチン氏の退陣とウクライナでの侵略戦争が終わることを心から希望する。

このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。