日米豪印(クアッド)の対中包囲網は中国が蒔いた種だ。
<中国外務省は24日夜、劉勁松アジア局長が在中国日本大使館の志水史雄特命全権公使と緊急に会談し、日米首脳会談や日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」首脳会議に関し、「日本側の誤った言行に厳正な申し入れを行い、強烈な不満と深刻な懸念を表明した」と発表した。
4カ国首脳は同日、中国の台頭を念頭に「あらゆる威圧的行動に強く反対する」ことなどを確認していた。
日本側の発表によると、志水氏は「中国側の申し入れは受け入れられない」と反論した>(以上「時事通信」より引用)
中共政府の対中クアッド会談に対する「強烈な不満と深刻な懸念を表明」は全く受け入れられない。中共政府が「改革開放」路線を維持して、「一帯一路」や「新シルクロード」、さらには南シナ海への軍事力を背景にした膨張主義を行わなければ、クアッドが話し合う必要などなかった。すべては中国が蒔いた種だ。
昨日はさっそくロシア空軍機と中国空軍機が編隊を組んで、日本海上空をデモンストレーション飛行した。日本の自衛隊はスクランブル発進したが、日本領空侵犯はなかったようだ。しかしロシアがウクライナ軍事侵略している現在、ロシアと中国が軍事的に協力関係にあることを誇示するのはいかがなものだろうか。中国のそうした行動が東アジアの緊張状態を少しでも緩和しようとしていると、誰が思うだろうか。
そもそも中国周辺国を身構えさせたのは中国の軍拡と強圧的な態度だ。しかも、中共政府は周辺民族を侵略し支配し抑圧し虐殺している。少数民族に対して漢民族化政策を強制し、言語の使用を禁じ、教育を漢語で行っている。そうした中共政府の漢族化政策が周辺諸国を身構えさせた。
だからクアッドが協力して対峙する相手は中国民ではなく、中国民と周辺諸国を支配しようとしている中共政府だ。一度も国民の選挙の洗礼を受けていない中共政府の要人たちが14億人(実際は12億人ではないかと云われている)中国民を代表していないのは明らかだ。
クアッド諸国は民主主義と自由経済という価値観を共有する自由主義諸国だ。政治は国民の総意に基づいて行われ、政治家はすべての国民による選挙の洗礼を受けている。特定の者だけが参加する閉ざされた政府と価値観を共有しない。
しかも憲法の上に中国共産党が君臨している政治体制は決して民主主義国家のそれと相容れるものではない。政治と経済は別だ、という金儲け至上主義者たちの妄言によって中国経済の成長に資して来たが、その結果が現在の有様だ。日本国民が反省するとすれば「政治と経済は別」を信じして来たことではないか。政治と経済は不可分の関係にある。中国が軍拡したのは経済力があるからだ。そうすれば今後先進自由主義諸国が採るべき対中策は自ずと決まって来るではないか。