「教師面して偉そうに説教するな」と恫喝する習近平氏は礼儀を弁えない「ならず者」だ。

習近平氏「教師面して偉そうに説教するな」 ウイグル訪問中の国連人権高等弁務官にクギ刺す
 中国の習近平しゅうきんぺい国家主席は25日、新疆ウイグル自治区の視察のため訪中しているバチェレ国連人権高等弁務官とオンライン会談した。習氏は「人権を口実に内政干渉するべきではない」と訴え、中国が少数民族ウイグル族の人権を弾圧しているとして批判を強める欧米をけん制した。
 中国外務省によると、習氏は「国ごとに異なる歴史文化や社会制度を尊重するべきだ」と主張した上で、「教師面して偉そうに他国を説教するべきでなく、人権問題を政治化してはならない」と国際社会の非難に反論した。
 バチェレ氏は28日までの日程で、同自治区ウルムチなどを訪問する。バイデン米政権は「必要な調査を中国側が認めるとは考えられない」と指摘し、視察が中国側の宣伝に利用されることを懸念している>(以上「東京新聞」より引用)




 見出しを見て驚いた。「習近平氏「教師面して偉そうに説教するな」 ウイグル訪問中の国連人権高等弁務官にクギ刺す」とは何事だろうか。昨年2021年7月10日のジュネーブ。国連人権委員会で今回のウィグル現地調査に繋がる論戦の火ぶたは切られていた。その経緯をまず紹介しておく。
「戦いの火ぶたを切ったのは国連人権高等弁務官のミシェル・バチェレ氏だ。加盟47カ国の代表者が集まる第47回会合の初日となった先月21日、香港の抗議デモや新疆ウイグル自治区の少数民族に対する中国政府について明確な見解を打ち出した。
 バチェレ氏は香港の反体制活動を禁じる「香港国家安全維持法」について「深刻な懸念」を示し、ウイグル自治区で「とりわけ深刻な人権侵害が報告され続けている」として同地への立ち入りを認めるよう改めて求めた。
 だが同氏の求めは中国代表によって却下された。中国政府は「中国の領土で不可侵の部分」について、いかなる外部権力の「干渉」も受け入れないと言い放った。劉玉印報道官も「事実を尊重」し「中国に対し誤った発言を止める」ようバチェレ氏に求めた。
 名指しの応酬は会期中も続いた。カナダを筆頭に40カ国が少数派のイスラム民族に対する中国の拷問、人権侵害、強制労働を批判した。中国は北朝鮮、ベラルーシ、ベネズエラなどの同盟国とともに応戦。会合で移民に対する非人道的な対応と先住民の人権侵害を取り上げてカナダに反撃した」とあるように、中共政府の「人権侵害」に関しては実に激しい応酬がなされて来た経緯があることを念頭に置いておく必要がある。

 時恰も「JBpress」に「中国はこれでもフェイクと言い張るのか? 「新疆公安文書」流出の衝撃」と題する福島香織氏(中国評論家)の論評が掲載された。副題には「膨大な写真と資料でウイグル人「ジェノサイド」の実態が明るみに」とある。中共政府が何と言い張ろうとウィグル新疆地区で中共政府がやっていることはジェノサイド以外の何物でもない。その「JBpress」の論評も引用する。少し長いが、是非ともご一読して頂きたい。


<米NPO「共産主義犠牲者記念財団(Victims of Communism Memorial Foundation)」上級研究員のドイツ人ウイグル問題研究者、エイドリアン・ゼンツが5月24日、多くの国際メディアと協力して、中国共産党によるウイグル人迫害の新たな証拠となる公安内部の文書や写真を集めた「新疆公安文書」を公表した。
 新疆公安当局のシステムに対する第三者のハッキングによって流出した機密文書、政策文書、スピーチ原稿のほか、2800以上の収容者の写真、2万3000人以上の収容者データ、30万人以上の個人データ、収容施設における警察の活動や武器などの膨大な写真、情報がまとめられたファイルだ。
 この新たな資料から、新彊におけるウイグル人ジェノサイドが習近平総書記の肝いりの指示であることも判明した。強制収容施設から逃亡しようとするウイグル人に対する射殺命令、殺人許可なども含まれており、想像を超えるすさまじさに国際社会が震撼している。

ジェノサイドであることが一目瞭然
 手錠と足かせをつけられて頭に黒い袋をかぶせられた男がこん棒をもった警官に連行される写真、銃を構えた迷彩服の武装警官が物々しく警備する鉄檻の施設・・・。そして年端も行かぬウイグル人少年少女から老人までの強制収容者の顔写真・・・。新疆警察文書には、新彊で今世紀最大規模の民族ジェノサイドが侵攻中であることの膨大な証拠が集められていた。
 折しも国連人権高等弁務官のミシェル・バチェレの調査チームが訪中するタイミングだった。中国当局はバチェレの眼をごまかそうと周到な準備を整えていたようだが、それをさせまいと、誰が見ても隠しおおせないほどの証拠を白日の下にさらした格好だ。

 この新疆公安文書は、新疆ウイグル自治区カシュガル市コナシャハル県とイリ州トクス県の公安局のサーバーに第三者が進入して取得し、ゼンツに提供されたものだという。
 ざっと見ただけでも、看守や警官は、ウイグル人を従順にさせるために殺害することも許可されていることや、再教育施設の非人道的な状況などがわかる。施設内部や収容者の取り扱われ方を示す写真も多くあり、この地域で行われていることが、人権侵害といった生ぬるいものではなく、民族の殲滅を目的としたジェノサイドであることが一目でわかるだろう。
 これまで、ウイグル人弾圧に関する内部文書のリークは多々あった。多くは、ウイグル官僚が良心に基づいて人づてに海外に流出させたものだが、今回のものは地域の警察内部のネットワークに保存されている内部資料であり、量、質とも桁違いである。

「抵抗者」の殺害を容認
 リークされた文書には、2018年6月18日の前新疆ウイグル自治区書記の陳全国の内部講話原稿も含まれていた。ここで彼は、強制収容所において「五防(トラブル、逃亡、地震、火災、感染の予防)を、ひとつとして失敗してはならない。誰であっても、このコントロール監視を逃れようと思えないように、何重にも防衛線をしき、鉄壁で囲み、それでもアクションを起こすなら(コントロールから逃れようとするならば)発砲せよ」と語っている。
 そしてさらに「軍警兵民は気を緩めることなく、誰であれボトムラインに触れる者には攻撃を加え、7.5暴動(2009年7月5日のウルムチ騒乱)を二度と繰り返すな。誰であれ戦を挑む者は先に斃し(落命させ)、後で報告せよ」と、ウイグル人の「抵抗者」に対しては殺害しても事後報告でよい、としている。
 また、2017年5月28日の演説稿によれば、陳全国はいかにも正義に満ちたような語調で、あたかもウイグル人を、もとよりすべて極端な危険犯罪分子であると見なしているような表現だ。
「特に海外から帰ってきた奴は、見かけたら捕まえろ。重罪犯扱で処理せよ。まず手錠をかけて、袋を頭にかぶせよ。克州の公安局は深刻な過ちを犯している。キルギスタンから帰国した奴をウルムチで拘留して数日観察したところ安全だったのでカシュガルに連行したが、カシュガル空港でそいつの荷物からナイフが出てきた。なぜ荷物をしっかり検査しなかったのか。・・・彼は犯罪分子だぞ、犯罪分子に慈悲をかけるとは、人民に対する犯罪だ・・・」
 また、文書の中に、再教育施設における室外活動中の逃亡予防についての指示書があった。「7人で警備し、そのうち2人が銃を持つこと。逃げ出そうとしたらまず言葉で制止し、警告に従わねば威嚇発砲し、それでも言うことを聞かないようなら銃殺せよ」とある。威嚇射撃の後は、足を狙うとか、そういう中間の対応はなく即銃殺なのだ。

習近平の直接的な関与が明らかに
 陳全国が行った演説原稿(2018年6月18日)には、中央政府と習近平自身がこの大規模なウイグル人強制収容キャンペーンに直接的に関わっていることが触れられている。
 陳全国は趙克志の講話を総括する形で、「趙克志同志の重要講話は、習近平同志を核心とする党中央の党による新彊統治方略を体現し、総書記の指示と要求を体現している。我々は真面目に学習し貫徹し、思想と行動を総書記の新疆統治方略の上で統一させよう・・・」と語っている。趙克志の2018年6月15日付けのウルムチでの演説原稿もリーク文書に含まれているが、そこでも習近平の直接指示の発言が引用されている。
「習近平同志はこう言っている。新疆の任務は全国の大局に関わる問題である。新彊という1つの地域の事情ではない。全党・全国のことなのだ」
 また陳全国は内部講話で、「4つの打破」をパーフェクトに行えた、と祝意を評している。「4つの打破」とは、ウイグル人の根源を打破し、血統を打破し、関係を打破し、起源を打破する、という意味だという。これを民族の遺伝子を抹殺すること、すなわちジェノサイドといわずして何と言おう。
 ちなみに、習近平に忠実にウイグル・ジェノサイドの陣頭指揮を現場でとってきた陳全国は、2021年12月、突然書記を解任された。米国などからウイグル・ジェノサイド関与の官僚として制裁対象に指定されたことや、ウイグル人弾圧に関わる内部文書リークの責任問題が関係あるとみられている。趙克志も突然、2021年11月、公安部の書記を解任されている。こちらは孫力軍失脚との関係が取り沙汰されている。

とても「再教育施設」とは呼べない
 この「文書」の大きな意義は、大量の写真資料が明らかになったことだろう。
 強制収容された人たち2884人の顔写真資料は、最年少が15歳の少女、最年長は73歳の老人だ。収容者が手錠や足かせをつけられて迫害されている写真や、強制収容キャンプにおける警官の安全保障演習で、大型の武器などを見せつけるように使い、武力を誇示している様子の写真などもあった。その武器装備を見るだけでも、とても「再教育施設」と呼べるものではないことがわかる。
 これら写真の撮影場所は、内部講話資料などから、高度警戒収容地であるようだ。収容されている人たちが、中国当局が言うような「自ら希望して研修を受けに来た人たち」ではないことは、写真の怯えた表情からわかるだろう。
 共産主義犠牲者記念財団のアンドリュー・ブレムバーグ主席は「中国当局はずっとウイグル・ジェノサイドを西側のフェイクニュースであると言い続けてきたが、中国当局の方がウソをついていたことが、この『文書』で証明された」と言う。「国際社会はすぐに具体的対抗措置をとり、中国のこうした暴力の責任を追及しなければならない」と訴えている。

収容施設内部の状況が生々しく明らかに
 多くの国際メディアが、ゼンツと歩調を合わせて、同日にこの「文書」について報道した。BBCはサイト上に特別ページをつくり、収容者の顔写真2884人分すべてが閲覧できるようになっている。
 英国在住のウイグル人人権活動家で「ストップ・ウイグルジェノサイド」のCEOであるラヒマ・マハムトは、「これまでは、幸運にも収容施設から生還できた人たちの話を通してしか収容施設の内部状況を知ることができなかった。またこれまで表に出てきたのは施設の外観や上空からの衛星写真のみだった。だが今回の流出写真によって収容施設内部の状況が生々しく明らかになった」と指摘した。
 国連人権高等弁務官のバチェレは5月23日から広州経由で新疆ウイグル自治区を調査に訪れている。中国はすでに準備万端で、彼女が目にするのは共産党体制で平和に自由に暮らすウイグル人の暮らしぶりだろう。だが、それは中国共産党の演出による架空のウイグル人社会でしかない。ゼンツのこのリポート発表を受けて、国連の専門家たちが、どこまで中国共産党のこのごまかしを打ち破り、真相に迫ることができるかも注目されることになった。
 ウイグル・ジェノサイド問題をおそらく最も長期間取材しつづけてきた米メディア「ラジオ・フリー・アジア」は、世界ウイグル会議の報道官、ディリシャの次のようなコメントを引用している。
「中国政府は、ウイグル人というだけでテロリストとみなし、任意に逮捕し判決し、処刑し、ジェノサイドを遂行している(ことが新疆公安文書からわかる)。ウイグル人は日常の中で自由を失い、危険に直面している。国連に特別会議を開いてもらい、ウイグル危機について討論してほしい。もし国連人権理事会が何も対応できないなら、なんら存在意義はない」

動き始めた国際社会
 国際社会もすでに動き始め、英国外相、ドイツ外相らが相次いでこの新証拠をもとに中国を非難し、王毅外相に調査を行うよう要請した。
 英国のリズ・トラス外相は今回の「文書」発表を受けて、「新疆地域における中国の人権侵害のこうした詳細は衝撃的であり、ぞっとするような迫害である」と表現。改めてバチェレ国連人権高等弁務官の訪中への関心を示した。
 トラスは「中国には、国連人権高等弁務官にパーフェクトで制限のない新疆における実地調査を許可し、現地の実情を徹底的に評価できるようにしてほしい。今週の彼女の訪中に強い関心を寄せている。もし彼女が新疆地域を自由に動けないようであれば、これは中国が新疆で行ったことを隠蔽しようとしているということに他ならない」と語った。
 この日、英国下院では緊急弁論が開かれ、超党派で英国政府に、ウイグル問題について中国に対してさらに一歩進んだ対応をとるように求めている。
 またドイツのベアボック外相は5月24日、王毅外相とのオンライン会談で、「人権は国際秩序の基盤であり、ドイツは世界でこれが守られるよう関与する」と述べ、「人権侵害に関する衝撃的な報告と新たな証拠」(新疆公安文書)について「透明性のある調査」を要請した。
 さて日本政府は、いまだウイグル・ジェノサイドを認めていないし、対中制裁にも積極的でないが、果たしてこのままでよいのか。いまだ新疆コットンや新疆ウイグル自治区製の太陽光パネルなどに恋々としている企業も、改めてこの問題を考えてほしい>(以上「JBpress」より引用)



 
 引用した東京新聞の見出しで習近平氏は「教師面して偉そうに説教するな」と国連人権高等弁務官を脅したが、それが彼の本質だろう。中共政府は国際的な「内政不干渉」という国家間の常識を逆手に取って、ウィグル新疆地区は「中国の領土内」だと規定することにより「内政に干渉するな」と中共政府の少数民族に対する人権侵害を問題にする国際社会を蹴散らそうとしている。
 少数民族の地を軍事侵略して占領すれば、少数民族に対する政策が「内政」問題になるのなら、ロシアは何が何でもウクライナを侵略してロシア領土にしなければならない。中国は新疆地区やチベットや内モンゴルまで軍事侵攻して占領し、中国の版図に書き加えた。だからウィグル人に対するジェノサイドも中国の「内政問題」として不干渉を国連人権委員会に求めている。ロシアのお手本が中国ならば、ロシアはクリミア半島や東部だけでなくウクライナ全土を占領すれば良い。そうすればウクライナで起きるウクライナ人に対するすべての人権侵害を「内政不干渉」という免罪符で蹴散らすことが出来る。

 しかし果たしてそれで良いのだろうか。軍事力が全ての独裁的な圧政を正当化できる、というのでは帝国主義の悪夢が半世紀以上を経て現代に蘇ることになる。それは断じて許されない。
 国際機関が新疆地区を現地調査して、国連の名においてウィグル人に対するジェノサイドを止めなければならない。しかし残念なことに、国連機関の現地調査といえば2020年1月に中国を訪れた「武漢肺炎」WHO現地調査団を思い出す。ドテルテ事務局長以下WHO現地調査団は武漢肺炎発症の地の武漢を訪れることなく、北京で手厚い持て成しを数日間受けた後に、北京で記者会見して「武漢肺炎は「人-人」感染はしない」と飛んでもない発言をして、武漢肺炎を世界中に蔓延させた。

 今度こそ国際人権高等弁務官たちはしっかりと現地を訪れて調査すべきだが、厚顔無恥な中共政府の対応に屈することなく彼らが真実の実態を調査できるのか。ならず者を相手に、何処まで調査できるのか、期待するしかない。
 日本政府や日本企業は恥ずかしくないか。未だに日本政府は新疆地区で行われているウィグル人に対する中共政府の人権政策をジェノサイド認定していない。日本企業は新疆地区で行われているウィグル人に対する強制労働による成果としての安価な綿製品や太陽光パネルを輸入し続けているではないか。繊細な感性で知られる日本文化の担い手である日本人が、いつから人権に対して鈍感になったのだろうか。いや現在でも日本人の繊細な感性は失われていないが、金儲け至上主義の愚かな経営者や、経営者たちに毒された政治家たちが日本を鈍感な国にならしめているのだろうか。

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