「戦争」もまた人を殺傷する犯罪に他ならない。

<「プーチンの戦争」はガタガタだ。ロシア軍黒海艦隊の旗艦であるミサイル巡洋艦「モスクワ」が沈没。ウクライナ軍の国産地対艦ミサイル「ネプチューン」が着弾し、致命傷を負った公算大だという。軍事大国の誇りも戦術も一層ズタズタ。ウクライナ南部の港湾都市オデーサへの上陸作戦は遠のき、5.9対独戦勝記念日に向けた「戦果」の獲得は極めて危うくなってきた。
 ◇  ◇  ◇
 ウクライナ軍南部司令部は14日、「黒海で地対艦ミサイルのネプチューンがロシア海軍巡洋艦のモスクワに当たってダメージを与えた。嵐と砲弾の爆発で巡洋艦は転覆し、沈没し始めた」と発表。昨年導入されたネプチューンの射程は約300キロで、オデーサ沖約110キロでモスクワに命中したとみられている。
 ロシアによる侵攻以来、最大の戦果を上げたウクライナ側は大盛り上がり。ゼレンスキー大統領が「ロシア軍の船は海に沈むしかない。ウクライナは世界の英雄になった」と言えば、アレストビッチ大統領府長官顧問も「とてつもない軍事的事件。第2次世界大戦以降に沈没した軍艦としては最大規模だ」と絶賛した。
 一方、ロシア側は「撃沈」を頑として否定。弾薬の爆発による火災で船体が損傷し、悪天候の中で目的地までの曳航中に沈没したと言い張っている。というのも、全長186メートルを誇る巨大軍艦のモスクワは、ロシアの軍事力の象徴だからだ。旧ソ連時代のウクライナで建造され、1983年に就役。対艦、対空ミサイルによる強力な火力を備え、2014年のクリミア併合でも活躍。海軍の主要艦隊のひとつである黒海艦隊の司令塔としてウクライナ侵攻に参加し、南部に展開するロシア軍部隊を援護しつつ、ウクライナ軍による空挺部隊の送り込みを阻んでいた。

南部上陸作戦は1カ月後退
 ロシア軍が戦線を左右する「核心」を失ったことで、戦況は分からなくなってきた。「ロシア軍は今後2週間ほどで東部で具体的な目標を達成したいと考えている」(米国防総省高官)というが、どうなるか。
 軍事ジャーナリストの世良光弘氏はこう言う。
「モスクワ沈没は非常に衝撃的で、ウクライナ戦争の分岐点になるかもしれません。首都名を冠するモスクワはロシア軍最強の軍艦で、オデーサ上陸作戦に向けた指揮通信指令所の役割を担っていた。戦力喪失はもちろんのこと、全体の士気低下も避けられません。上陸作戦は1カ月ほどの遅れを余儀なくされるでしょう。戦勝記念日までに東部からクリミア半島につながる一帯を制圧し、『戦果』とするのはまず無理です。そうなると、ドネツクとルガンスクの東部2州の陥落に集中し、両軍の機甲師団によるガチンコの戦車対戦が繰り広げられるのではないか。報復として容赦のないキーウ再攻撃も想定され、ベラルーシから巡航ミサイルや弾道ミサイルを撃ち込んでくる懸念が高まっています」

 ロシア国防省報道官は、15日未明にキーウ近郊にある軍事施設を巡航ミサイル「カリブル」で攻撃し、対空ミサイルシステムと対艦ミサイルの製造・修理工場を破壊したと発表。キーウへの攻撃を再開する姿勢を鮮明にした。侵攻開始から50日が過ぎたが、出口は全く見えない>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)




 プーチン氏はウクライナでの「一応の戦果」を収めるタイムリミットを5月9日までとした。自ら決めたタイムリミットだからウクライナで「一応の戦果」が得られなかったとしても、誰彼のせいにはできない。
 しかも作戦は「順調に計画通り」に進んでいる、とプーチン氏は国内向けに経過報告までしている。さらにウクライナ全土の占領ではなく、ロシア軍の「特殊作戦」はウクライナ東部二州に住むロシア人がウクライナのネオナチたちによって迫害されているから、その助けにロシア軍が「特殊作戦」を展開している、というストーリーまで縮小させている。もはや、これ以上一歩たりとも退けない状態に自らが自らを追い込んでいる。

 それに対してウクライナ側は先進自由主義諸国から供与される先進兵器によって、東部戦線で旧態然とした作戦に拘泥するロシア軍を手玉に取っている。戦車隊を先頭に敵を蹴散らす、という作戦は敵が対抗武装していない場合には威力を発揮するが、対戦車ミサイルで武装した相手には通用しない。
 ロシア軍が撤退したウクライナ各地で、破壊された戦車の残骸が残されているのが何よりの証だ。2月24日に19万もの大軍で押し寄せたロシア軍は緒戦でウクライナ全土を制圧できなかった。それがすべてを物語っている。それから二月がやって来ようとしている。次第に戦力を整えているウクライナ軍に対して、ロシア軍はミサイルなどの兵器不足に陥り、北朝鮮にミサイルなどの援助を申し入れる始末だ。

 未だにマリウポリの完全制圧に到っていないロシア軍は17日の正午から夕刻7時までに降伏しなければ全員殺害する、と脅している。その宣言こそが戦時国際法違反だが、焦ったロシア軍は事の是非の判断すら出来なくなっているようだ。
 東部戦線でロシア軍が攻勢を強めているが、先進自由主義諸国の支援を受けたウクライナ軍が祖国防衛に勝利することを願う。プーチン氏の思惑通りに軍事力でどうにでもなる世界は悪夢そのものだ。それぞれ思いの異なる国々が平和に共存する世界でなければならない。

 一神教の国の人たちの思惟は他宗教者を許すことが出来ないのかも知れないが、どの宗教であれ人々の幸福を願わない宗教はない。異なる思想信条の人々の存在を認め合い尊重し合い、協力し合う世界にならなければならない。
 中世的な魔女狩りが許される世界に逆戻りしてはならない。人にとって最も重大な犯罪は「殺人」だ。そして国家による最も残酷な「犯罪」は戦争だ。国家とは国民が安全に暮らせる「家」でなければならない。他人の「家」に押し入るのは犯罪であり、「家」の住民を殺害するのは重大な犯罪だ。その殺傷犯罪を構成幹部国が犯しているにも拘らず、取り締まれない国連は存在意義を喪失している。国家の名による集団殺傷行為を「戦争」という名で語るのは、そろそろ止めようではないか。「戦争」もまた人を殺傷する犯罪に他ならないからだ。

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