プーチン氏は超えてはならない一線を越えてしまった。

<■真実が知られないようメディア統制を強化
 ロシアのプーチン大統領が命じたウクライナ侵攻は、次第に無差別攻撃の様相を呈し、学校や病院、原発を攻撃するなど泥沼化してきた。
 残虐な戦争の実態はロシアでは報道されず、逆に愛国主義が高揚し、2月28日の世論調査では国民の68%が「特別軍事作戦」を支持。反対は22%だった。プーチン大統領の支持率も侵攻1週間で71%に上昇した。  政権側は反政府系メディアや外国報道機関の活動を統制するなど、戦争の真実が国民に知られないよう躍起になっている。
 プーチン大統領の暴走を阻止できるのは、政権内部のクーデターと国内の反戦運動だが、政権の亀裂は現実的でない。国内の反戦世論が今後どう広がるかを探った。

学校では「これは平和維持活動」と教育
 プーチン政権は前例のない報道管制に着手した。政権の支配下にある上下両院は3月4日、「ロシア軍に関する虚偽情報を広める行為」に最大15年の禁固刑を科す法案を可決。ロシアへの制裁を支持する行為にも最長3年の禁固刑を科すとしている。
 政権は反政府系ラジオ局「モスクワのこだま」やテレビ局「ドーシチ」を閉鎖に追い込み、メディア各社の検閲を強化した。シンクタンクのサイトも更新されておらず、学者らにも反戦論調の禁止を命じている。西側主要メディアもモスクワでの報道活動を自粛した。
 国営テレビはウクライナ政府の東部での「ジェノサイド」(大量殺戮)を非難するキャンペーンを延々と報道。最近では、ロシア側が市民退避ルートの「人道回廊」を提案しても、ウクライナ側が拒否したと一方的に非難している。
 ウクライナ侵攻を支持するシンボルとして、アルファベットの「Z」が社会に拡散している。
 独立系メディア「メドゥーサ」によれば、ロシアの学校に、ウクライナ戦争に関するガイダンスが配布された。それによると、生徒が「これはウクライナとの戦争なのか」と質問した場合、「戦争ではなく、ロシア語圏の人々を弾圧する民族主義者を封じ込める特別な平和維持活動」と答えるよう指示されている。

ロシア人セレブ、スポーツ選手らが停戦を呼びかけ
 国民を闇に包む「愚民政策」の一方で、SNSやツイッターでは反戦論も発信されている。  英国で活動するロシアのベストセラー作家、ボリス・アクーニン氏は「ロシア人が精神を病んだ独裁者の蛮行を止められなかったことは、ロシア人全員の責任だ」と強調した。
 1990年代に日露交渉に携わったゲオルギー・クナーゼ元外務次官も「精神異常者の愚行を止められなかったことをウクライナの人々に謝りたい」と書いた。
 経済学者のアンドレイ・チェレパノフ氏は「真実を伝えるメディアがあれば、戦争終結を求める反乱が起きたはずだ。クレムリンはそれを極度に恐れた」と指摘した。
 このほか、大統領選に出馬したタレントのクセニア・サプチャク氏、映画監督のロマン・ボロブエフ氏、テニスのダニール・メドベージェフ氏、ノーベル平和賞を受賞した「ノバヤ・ガゼータ」紙編集長のドミトリー・ムラトフ氏、「アルミ王」と呼ばれた新興財閥のオレグ・デリパスカ氏ら多くのセレブやスポーツ選手らが停戦を要求した。
 即時停戦を求めるオンライン署名は100万人を超え、医師や建築家ら各業界の抗議書簡も発表された。

50都市以上で反戦デモが行われているが…
 詐欺罪などで投獄されている反政府運動指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏は獄中から発信し、プーチン大統領を「狂気の皇帝」と非難。「ウクライナ侵略戦争に気づかないふりをする臆病者の国になってはならない」とし、不服従の抗議デモを毎日行うよう国民に呼びかけた。 
 ナワリヌイ氏は2020年夏、シベリアで化学兵器の一種であるノビチョクを何者かにもられて重体となり、ドイツの病院で療養。昨年1月に帰国した際、空港で逮捕され、有罪となった。
 ナワリヌイ氏らの呼びかけに応じ、2月24日の開戦以来、50都市以上で反戦デモが週末に行われ、数万人が参加。3月6日までに約7000人が拘束された。
 ロシアでは、選挙不正や年金改革に反発するデモは発生するが、反戦デモは異例だ。とはいえ、モスクワのデモは3000人規模にとどまっており、参加者の多くは警察に連行された。政権に打撃を与えるには10万人規模に広がる必要がある。2011年の下院選の不正に反発する反プーチン・デモは、若者や中産階層を中心に10万人以上に膨れ上がり、警察は座視するだけだった。

「プーチンはエリートの間で支持を失っている」
 2014年にロシアが無血でクリミアを併合した時、国民は陶酔状態となってプーチン支持に結集した。しかし、8年後のウクライナ戦争は凄惨な市街戦となり、エリートや知識層の間で動揺が広がっているようだ。
 著名な社会学者、オリガ・クリシュタノフスカヤ氏は、「プーチンはエリートの間で支持を失っている。政権幹部の忠誠心にも陰りが出始めた。情報源をテレビからネットに切り替える人が増えており、誰もが真実の情報を求めている」と分析した。
 ロシアは口コミ社会で、犬の散歩や台所の会話で、人々は情報交換し、激しい議論を展開しているという。  欧米が発動した過去最大の経済制裁も今後、庶民の生活を脅かし、生活水準低下を招くのは必至だ。生活苦も反戦機運を高める要素となる。
 社会学者のグリゴリー・ユーディン氏は「メドゥーサ」のインタビューで、「反戦デモに参加すれば、脳震盪(のうしんとう)を起こすほど殴られたり、刑務所で下着を脱ぐよう命じられたり、前科一般として就活が難しくなると警告される」としながら、「ウクライナへの電撃戦が失敗したのは明らかだ。ロシア側はすでに大量の死傷者を出し、焦ってクラスター爆弾を使用するなど非人道的攻撃をしている。ウクライナに親戚を持つロシア人も多く、無謀な戦争への反発が高まっている」と述べた。
 「ロシアの歴史上、最も無意味な戦争」(同氏)とされるウクライナ戦が長引くほど、ロシア社会の反戦機運も高まる可能性がある。

戒厳令を敷けば無期限の「戦時大統領」に? 
 ロシアの今後の方向としては、プーチン政権が反政府運動を鎮圧し、外国との交流を制限する「要塞」化のシナリオが有力だ。
 頑固なプーチン大統領は、ウクライナ軍の抵抗や欧米の制裁がいくら強くとも、ウクライナの分割・解体という最終目標に向けて突き進むだろう。停戦や撤退は敗北を意味し、政権基盤を揺るがすことになる。
 プーチン氏にとって、政権のサバイバルは至上命題であり、国内の反戦論や国際社会の制裁に対抗し、戒厳令を導入する可能性もある。インターネットやSNSを遮断し、国際関係を制限し、総動員令を敷いて危機突破を図るというシナリオだ。
 戒厳令を発動する場合、2024年3月に実施予定の大統領選も中止されよう。プーチン氏は「戦時大統領」として強権体制を維持、強化することになる>(以上「PRESIDENT」より引用)



 ロシアのウクライナ侵略戦争開始後にプーチン氏の支持率が71%に上がった、とテレビが報じている。バカバカしい限りだ。なぜなら独裁政権下の支持率などを取り上げて、民主的な政権と同様のバロメーターを適用する方がどうかしているからだ。
 民主主義が正常に機能するためには言論の自由や報道の自由が保障されてなければならない。言論の自由が侵害され、プロパガンダ国営放送のみが放送を許される社会での支持率にいかなる意味があるというのか。

 PRESIDENT誌の記事はその点を抉り出しているが、もう一つの肝心な点はスルーしている。それはウクライナに侵略戦争を仕掛けたことではなく、核兵器の使用をプーチン氏が仄めかしたことだ。それに倣って無能なロシア外務相もトルコでの停戦交渉の場で核兵器使用に言及した。
 彼らは「安保理常任理事国」の政府首脳として適格性を著しく欠いている。ウクライナでの侵略戦争で核兵器の使用に言及してNATOや米国の介入を防ぐ、というのは余りに核保有国としての自覚に欠ける発言だ。核使用を口にした段階でプーチン氏やプーチン氏にお追従するだけの外務相は政権から追放されなければならない。

 NATOや米国がプーチン氏の核兵器使用発言に怯んでウクライナ軍事介入することを躊躇したなら、プーチン氏はこれを「成功体験」として事々に核兵器使用をちらつかせて、欧州全域への支配拡大を目指すだろう。プーチン氏の領土拡大への野望はウクライナ侵攻で歯止めを失ってしまった。その証拠が核兵器使用を仄めかしたことだ。
 それによりプーチン氏は全人類の「敵」となった。彼をロシアの独裁者の地位に止めることは全人類が核戦争の危機と常に向き合わなければならないことを意味する。

 国連の安保理常任理事五ヶ国が国連の幹部であり続けるのなら、残り四ヶ国でロシアの始末を付けなければならない。それとも国連が核兵器使用に言及したプーチン氏の始末をつけられないのなら、国連は完全に存在意義を喪失したといわなければならないだろう。国連は世界平和どころか、戦勝国クラブの利害調整能力すら失ってしまった。そんなポンコツ国際機関に世界が加盟する意味があるのだろうか。
 誰がいかなる理屈をつけようと、ロシアによるウクライナ侵攻は「独立国」に対する侵略戦争だ。いかなる正義も大義名分もそこには存在しない。さらに核兵器使用に言及したプーチン氏に核保有国の大統領は不適格だ。直ちに排除されて然るべきだ。それが国連の定めではなかったか。

 プーチン氏は核保有国の政治家として、超えてはならない一線を越えてしまった。侵略戦争で核の使用を仄めかすどころか、核そのものに一言も触れてもならない。なぜならロシアは国連の常任理事国だからだ。
 しかしプーチン氏どころか停戦交渉に出て来たロシア外相までも口にした。もはや「意に反して出た言葉だ」という言い訳すら通用しない。全人類に対する「殲滅」宣言を、私たちは看過できない。国連が厳正な措置をロシアに対して講じられないなら、日本政府は先頭に立って国連から脱退して、非核国と非核地域による国際的な連合組織を創設すべきだ。

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