ゼレンスキー氏だけに国会でリモート演説させるのは不公平なのか。それならプーチン氏もリモート演説するように呼び掛けたら良いではないか。

<ウクライナのゼレンスキー大統領が23日、日本の国会でオンライン演説を行った。
 ゼレンスキー大統領はNATO参加国の米国、英国、ドイツ、カナダでも演説した一方、ロシアのプーチン大統領とゼレンスキー大統領が直接会談するための仲介役として奔走しているイスラエルのベネット首相は、こうした演説の要請を断っていた。

 ザ・タイムズ・オブ・イスラエルは「ゼレンスキーはウクライナの戦争努力への支援を鼓舞するため、イスラエル議会で演説を求めたが、代わりに少人数の議員との対話を提案され、ウクライナ側は落胆し対案を拒否した」と報道。結局、議会演説は行われたものの、首相はゼレンスキー大統領に演説の機会を与えることを「戦争努力への支援を鼓舞する」ことと位置付けていた。
 民主主義の基本は、異なる立場の人々が討論を重ね、適切な妥協を図ることにある。
 正しいとみられる一つの方針を一方的に流し、国民を誘導していく機関ではない。もし、国会が紛争の両当事者の見解を聞く機会を持つなら、私はもろ手を挙げて支持する。しかし、一方の見解だけ聞き、それを国会決議などにつなげていくなら、この動きには疑問がある。

 私はツイートで、<恐ろしい空気だ。紛争当事者の一方だけの見解を聞き、当然他方の見解を聞く機会を持たない。そして一方の意見を参考に国会決議などしていく。これはウクライナ問題を超えて、日本がもはや、民主主義国家でなくなっていることを示す。あまりにも危険な国になっている。そしてそれを当然としているのが怖い>と発信した。
 だが今の日本は一億総ロシア糾弾、一億総対ロ制裁であり、疑問の声を出す人は少ない。
 ジャーナリストの鳥越俊太郎氏は<私はゼレンスキーに国会演説のチャンスを与えるのには反対する!どんなに美しい言葉を使っても所詮紛争の一方の当事者だ>とツイートし、一水会(思想団体)も<公平、公正の立場から、紛争当事国の片方だけから聞く事は相手のプロパガンダにのるだけで賢明ではない。やるなら両方だ>とツイートした。
 考えておくべきは、ゼレンスキー大統領が国内のウクライナ系とロシア系の融和に努め、ロシアを刺激するNATOのウクライナ進出を推進しなければ、今日のロシア軍のウクライナ侵攻はなかったということだ。
 彼は100%政治的に無罪な人物ではないのである>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)



 引用記事の中で「私」とは孫崎享氏(66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長を歴任し、現在は外交評論家)のことだ。彼は「民主主義の基本は、異なる立場の人々が討論を重ね、適切な妥協を図ること」だと書いている。もちろん孫崎氏のいう通りだ。
 それならプーチン氏も日本の国会へリモート演説を申し出れば良い。そうすれば両者の主張が聞けるだろう。しかしプーチン氏は「これから侵略戦争を始めるゾ」というのではなく、既にウクライナ領内へ進軍して非戦闘員まで殺害している。この期に及んで、プーチン氏の釈明を聞く必要があるのだろうか。

 孫崎氏はゼレンスキー氏に対して「考えておくべきは、ゼレンスキー大統領が国内のウクライナ系とロシア系の融和に努め、ロシアを刺激するNATOのウクライナ進出を推進しなければ、今日のロシア軍のウクライナ侵攻はなかったということだ」と結論付けている。それこそ孫崎氏の激しい思い込みではないのか。
 少なくともゼレンスキー氏はウクライナの大統領選で選ばれたウクライナの大統領だ。彼がウクライナのNATO加盟を目論もうと、EU参加を希望しようと、それはウクライナという主権国家の選択だ。ロシアがとやかく嘴を挟むことではない。

 百歩譲って孫崎氏のいう通り「彼(ゼレンスキー氏)は100%政治的に無罪な人物ではないのである」として、それがどうしたというのだろうか。ゼレンスキー氏が何に対していかなる犯罪行為を働いたというのか、孫崎氏はゼレンスキー氏の行為と、その行為が形成する犯罪を明確に指摘すべきだ。
 ゼレンスキー氏のウクライナ大統領としての権限行使の範疇でしかない「犯罪」に引き替え、プーチン氏の犯罪行為は誰の目にも明々白々だ。19万余の大軍を指揮して、ウクライナ領内へ侵攻したのみならず、非戦闘員を大量に殺害しているプーチン氏はジュネーブ条約に違反し、それを東京裁判の日本の国家首脳に対する判例に照らせば絞首刑に処すべき重大な犯罪ではないのか。その是非ですら、孫崎氏は民主主義国家なら「両者の意見を聞くべ」だというのか。女性宅のドアをけ破って侵入し、マッチョな男性が凌辱している女性に対して「あなたにも非がある」と孫崎氏は言っているに等しい。この能天気さは一体何だろうか。

 ゼレンスキー氏は「ネオナチ」だからウクライナにロシアが軍事侵攻しても仕方ない、という阿保な論者もいるようだが、「ネオナチ」がウクライナ領内に暮らすロシア人を虐殺しているのなら、その事実を公開して国際司法裁判所に提訴して争うべきではないか。
 「ネオナチ」というレッテルさえ貼ってしまえば、いかなる罵詈雑言も許される、という単細胞には驚く。すべての物事には手続きと順序がある。少なくともゼレンスキー氏はウクライナ国民から選ばれた大統領で、侵略されているのはゼレンスキー氏の側だという「事実」を忘れてはならない。

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