国内最大の労働者団体「連合」は何をしている。

<新潟県村上市の米菓製造大手「三幸製菓」荒川工場で11日夜に発生した火災で、14日に焼け跡から身元不明の遺体が新たに見つかり、犠牲者は計6人となった。県警は14日、6人のうち清掃担当のアルバイト女性4人の死因は焼死だったことを明らかにした。同社関係者によると、アルバイトは工場の避難訓練に参加していなかったとみられ、県警は、避難口がわからず、逃げ遅れた可能性があるとみて調べている。

 発表によると、新たに見つかった遺体と12日に発見された遺体は焼損が激しかった。製造工程を担当する20歳代の男性従業員2人と連絡が取れなくなっており、県警は2遺体がこの2人とみて身元の確認を進めている。
 県警によると、亡くなった68~73歳のアルバイト女性4人は建物東側の防火シャッターの近くで倒れていた。同社によると、工場では避難訓練が年2回行われていた。だが、複数の従業員は取材に対し、「アルバイトは訓練に参加していなかった」などと話した。
 県警によると、工場内は当時、火災で停電が発生。清掃中だったアルバイトの一人は「煙が充満して真っ暗になったが、訓練をしていないので避難口がわからなかった。防火シャッター脇に避難用ドアがあるのに気づいた人がいて外に逃げることができた」と語った。
 県警幹部によると、建物中央の燃え方が特にひどく、そこから東西に燃え広がったとみられる。一部の従業員は「菓子のカスから火が出た」などと説明しているという。
 元従業員によると、建物中央部には油を多く使う味付けの工程などがある。県警は火元は捜査中としており、業務上過失致死傷の疑いも視野に出火原因の特定を進める>(以上「読売新聞」より引用)



 菓子メーカーの火災で高齢者アルバイトが焼死した。焼死した正社員は20台の若い人だ。何とも痛ましい限りだが、高齢者アルバイトは避難訓練に参加していなかったという。だから火災が発生した直後に「避難経路」に沿って避難することが出来なかった、と見られている、と引用記事は報じている。
 正規と非正規の問題は古くて新しい問題だ。現在は「構造改革」により派遣業法が大幅に規制緩和され、製造現場に多くのアルバイトや非正規派遣労働者が働いている。三幸製菓だけでなく、他の製造工場の多くで避難訓練に非正規社員が参加していないケースが殆どではないだろうか。

 「使い捨て」という言葉がある。経営者は非正規労働者を「使い捨て」だと考えているのだろうか。暇になればいつでも馘にできる便利な「調整弁」とでも思っているのだろうか。しかし非正規社員にも人生があり、それぞれの家族がいる。
 労働組合は非正規労働者に対してどうしているのだろうか。労働者の仲間として積極的に「問題意識」を持たないとすれば、明日は我が身だ。正規社員もやがて「早期退職制度」によって非正規労働者となり、雇用環境だけでなく命にかかわる避難訓練ですら差別を受けるようになる。

 連合は何度か非正規労働者を団体に組み込む、と運動方針に掲げたことがある。しかし今もって非正規労働者は個々人のまま組織化されていない。労働三権すら付与されていない労働者が全労働者の四割を超えている現実に連合は対応している、といえるのだろうか。
 大火災を起こした三幸製菓の惨事の犠牲となった高齢女性のケースに連合はどのような見解を表明するのか。あるいは連合組織とは無関係だとして、無視するのだろうか。正規社員ですら組織率17%前後という体たらくのまま、最大の労働者団体という地位に胡坐をかいている。派遣業法の異常な規制緩和が行われて「働き方改革」だなどという「言い換え」に迎合しているマスメディアを叱り飛ばすくらいの正常な見識すら持ち合わせてないのか。

 連合だけではない。無様な醜態をさらしているのは野党の面々も同じだ。労働者団体の支持を得ているのなら、なぜ強硬に「同一労働同一賃金」を希求しない。なぜ派遣の拡大に体を張ってでも反対しなかった。なぜアルバイトの待遇改善に全力を尽くさない。
 三幸製菓は氷山の一角に過ぎない。機敏な動きが出来ない高齢者アルバイトこそ、日頃からの避難訓練が必要だ。廉価にして安易な労働者だと考える経営者は人として失格だ。そして高齢者アルバイトの犠牲を生かさないとすれば連合をはじめとする労働組合専従者たちは腐り切った労働貴族でしかない。

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