先進自由主義諸国が団結すれば、対ロ経済制裁は効く。

<元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏(52)が24日、フジテレビの情報番組「めざまし8(エイト)」(月~金曜前8・00)に出演。岸田文雄首相が23日に、ウクライナ東部の親ロシア派支配2地域を独立国家として承認し、派兵を決定したロシアの対応を受けて、3項目の制裁措置を発表したことに言及した。
 制裁措置は(1)2地域の関係者を対象とする査証(ビザ)発給停止と資産凍結(2)2地域との輸出入禁止(3)ロシア政府が発行する国債や政府機関債の日本での発行・流通禁止―で、事態が悪化した場合は先進7カ国(G7)と連携して追加対応を取る方針も示した。第1弾の経済制裁を発動した米国などと連携した措置で、ロシアの今後の行動を見極めた上で、G7各国とも意思疎通を図り段階的な制裁強化を想定。日本政府関係者は「日本として今できる精いっぱいの対応だ」と述べた。 
 MCの谷原章介から「日本が打ち出した岸田総理の経済制裁、いかがでしょうか。これ、効きますかね?」と聞かれた橋下氏は「いや、効かないでしょうね」とし、その理由を「かつての米ソ冷戦の時には、ソ連の経済が弱かったので、経済的に締め上げてソ連は崩壊していきましたけれども、今のロシアはヨーロッパと非常に貿易の結びつきが強いところもありますし、ロシアは非常に準備をしていましてね。ドルの取り引きからどんどん脱却していって、ドルから締め出されても大丈夫なような状況を今、つくり上げているんですよね。そして中国との経済圏も話をして、今、中国の経済圏はすごく大きいですから、西側諸国から追い出されても何とか経済は保てていける。逆にロシアのエネルギー資源をヨーロッパの方が頼っている状況なんですよ」と説明した。 
 その上で「だから僕は、経済制裁はあまり意味がなく、本当にロシアと対峙するんだったら軍事的に対抗するぞっていう意思をしっかり示しながら、それを回避するんだったら僕はある意味、優先順位で、これはウクライナの人からはものすごい批判を受けるかも分からないけれども、NATO(北大西洋条約機構)には加盟しないということを約束する。これは重要だと思います。領土は絶対に渡さない」と持論を述べ、「そして、いざロシアが侵攻してきた時には、NATOの集団体制ではなくて国連憲章の51条に基づいて、いわゆる集団的自衛権というもので対処するんだと。もうとにかく領土に入ってきた場合には武力でやるぞと。その代わり、ロシアが一番気にしているNATOの部分については、ウクライナは加盟させないということを言うしかないと僕は思います。これNATOの方のズルいのは、ウクライナの主権を認めると言いながら、ずっとウクライナがNATOに入りたいって言ってるのを、NATO側が拒否してるんですよ。実際、入れてないんです。であれば、表立ってロシアと約束する。僕はそういう選択も必要なのかなと思います」と自身の考えを話した>(以上「スポニチ」より引用)



 テレビ番組で元大阪府知事のテレビタレントがコメントしたことに一々反論するのは本旨ではないが、彼が無責任にも「経済制裁は効かないだろう」と断定したことに、一言申したい。
 先進自由主義諸国の経済制裁は必ずロシアに効く。おそらく半年と経たずしてロシア経済は崩壊するし、ロシアの精密兵器は稼働しなくなるだろう。なぜならロシアでは汎用的な90nmチップ製造が主流だからだ。それは中国の14nmチップ製造している技術よりも遥かに遅れている。

 橋下氏は欧州とロシアがドル基軸とは別の経済圏を形成していることに触れているが、昨日このブログで紹介したSPFU決済やINSTEX決済を指しているのだろう。しかしそれらの決済割合は高々数%でしかないし、ロシアが対中貿易で石油資源を爆売りしたとしてもCIPSコードで決済しても、ロシアの懐に入るのは紙屑同然の「元」でしかない。
 中国がドル通貨を基礎としたSWIFTコードに対抗して創設した元通貨決済によるCIPSコード決済ですら、全中国貿易決済額の2%ほどでしかない。所詮はローカルカレンシーに過ぎない「元」や「ルーブル」が基軸通貨になることはない。世界各国が安心して使える通貨でなければ、どの国であろうと紙屑通貨はいらないだろう。

 だから米国が先進自由主義諸国を説き伏せて、ロシアのSWIFTコードの停止を実行すべきだ。いや、むしろEUに対してINSTEXコードでEU諸国がユーロを基軸通貨とする意図は何か、と問うべきではないか。
 日本政府もSPFU決済に参加しているUFJみずほ銀行に対して事情を徴取すべきではないか。事と次第では銀行免許を取り上げるつもりでUFJみずほ銀行幹部と早急に話し合うべきだ。「敵国」に利する銀行を日本政府が法律で守る必要などないではないか。

 ウクライナがNATO参加を申請したのに対して、NATO側が受諾しなかった、というのはロシアに配慮してのことだ。NATOの中枢を占める欧州主要国はロシア原油や天然ガスにエネルギーを依存している。だからロシアと良好な関係を維持したい。それだけのことだ。
 しかしロシアが侵略国家であることが明確になった今こそ、欧州諸国は毅然として対露経済制裁を実行すべきだ。ロシアへの「配慮」など、何の役にも立たないことが明らかになったではないか。むしろ厄災をもたらしただけだ。クリミア半島併合時に、もっと厳しい経済制裁を科して、ロシアを崩壊させておくべきだった。何人かいた2014年当時のチェンバレンは真摯に反省すべきだ。

 旧ソ連を崩壊させた当時と比べればロシアの方が遥かに脆弱だ。しかもロシアの国力の原動力になっている原油生産量は徐々に落ちて、今後20年ほどで枯渇するといわれている。予算を爆食いする核兵器を大量に溜め込んでいるロシアに軍事大国としての未来などない。
 プーチンにせよ習近平にせよ、彼らは社会主義という意匠を纏った独裁者でしかない。意匠は登録さえすればどうにでもなる。しかも国際社会に対して勝手に意匠登録できる。たとえばイスラム原理主義だとか何だとか、意匠は思いつくまま独裁者が勝手に掲げているだけだ。その証拠に社会主義国でありながらロシアにも中国にも貧困層がいるし、ビリオネア( billionaire)だっている。政権首脳が20兆円や1兆円もの金融資産を溜め込んでいる社会主義国があって堪るか。

 橋下氏は「今、中国の経済圏はすごく大きいですから、西側諸国から追い出されても何とか経済は保てていける。逆にロシアのエネルギー資源をヨーロッパの方が頼っている状況なんですよ」と説明した」という。何度もこのブログに書いてきたが、中国は単なる「組み立て工場」でしかない。安価な労働力が大量にある、ということから先進諸国が企業進出して利用していたに過ぎない。その安価な労働力、という魅力がなくなれば先進諸国の企業が中国から潮が退くように撤退するのは自然の成り行きだ。橋下氏は西洋諸国が徹底しても中国は何とかやっていける、という認識は誤っている。
 そしてロシアの天然ガスにドイツなどが頼っているのは事実だが、買う方と売る方と、どちらの立場が強いか解ってないようだ。需給バランスで価格は決まるが、根本的に買う方が立場は強い。ドイツは天然ガスを止めて、元の火力発電に戻せば問題は何もない。石油火力は環境に悪いが、天然ガス発電は環境に良いとはご都合主義の最たるものではないか。

 そして更に一言。風力発電は地球温暖化にプラス、という発想もおかしい。CO2のコンマ以下の増減に目くじらを立てている議論の「スケール」に合わせて考えれば、吹く風をそのままにしていればエネルギーは取り出せないが、風車を回して発電すればエネルギーとして利用できる。つまりただの風を発熱させていることになりはしないか。微視的に考察すれば温暖化になっているというべきではないか。
 バカバカしいCO2温暖化など利権争いでしかない。物事を科学的に考察すべきではないだろうか。橋下氏のような直観力と口先三寸だけで生きてきた人物に、上記のような論考を求めるのは酷かもしれないが。

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