東大医学部を「ゲーム」感覚で受験してはならない。

<1月15日午前8時半ごろ、東京都文京区の東京大学には、大学入学共通テストを受けるために受験生が集まり始めていた。毎年恒例の緊張感があたりを覆うなか、悲劇は突然起こった。「受験生が切りつけられた」などと通報が相次いだのだ。場所は農学部などがある弥生キャンパスの正門前だった。

切り付けられた女子生徒はその場で倒れこみ…
「男がいきなり次々に周囲の人を包丁で切りつけました。受験生の男女2人と、72歳の男性が背中などを切られました。女子受験生はその場で倒れ込んでしまい、72歳の男性の傷は深く重傷です。殺意がこもっていたとみられています。現場には凶器とみられる刃渡り15㎝程度の包丁のほか、瓶に何かつめたような不審なものが落ちていました。男は名古屋市に住む17歳の男子生徒。被害者の間に面識などはありませんでした」(社会部記者) 
 駆けつけた警察官が、男子生徒を殺人未遂の現行犯で逮捕した。近隣の酒屋の主人である高齢男性が明かす。 「8時半ごろ、外にでると、門から少し離れたところで、足を投げ出して倒れている女性の姿が見えました。血は見えませんでした。女性は担架に乗せられて、救急車で搬送されていきました。 
 犯人は門の近くの壁に背をつけて、無気力に座り込んでいました。警察官5人くらいに『どこからきたんだ!』と怒鳴られていましたが、無表情で一度も返答していなかった。いくら怒鳴られても答えず、自分でも立ち上がれない様子で、警察官に両脇を抱えられ、交番につれていかれていました。その間も無表情。最初は交通事故でもあったのかと思ったのですが、まさかこんな事件が起こっていたなんて……」
 別の目撃者は「犯人の男は黒っぽい服を着ていて、髪の毛が1cmぐらいの坊主に近い短髪でした」と証言する。 
 さらに東大農学部正門前で凶行に及ぶ直前にも、男子生徒は奇妙な行動をしていた。

「俺は東大を受験するんだ!」犯行前に叫んだ男子生徒
「門から約100メートル離れた南北線東大前駅の複数箇所で、爆竹のようなものが燃やされていました。駅の防犯カメラにも短髪の男が何かを撒いている様子が映っている。逮捕された男子生徒が『火をつけた』と供述していることからも、男子生徒の犯行とみられています。  門の前での切りつけの直前には、若い男が『俺は東大を受験するんだ!』などと叫んでいたという目撃情報もあり、これも男子生徒によるものの可能性が高いです」(別の事件担当記者) 
 駅で爆竹に火をつけ、その後に向かった農学部正門前で暴れ、複数人を刺したということになる。逮捕時には、無気力な状態だったと言うが、本富士警察署での取り調べには素直に応じているという。 
 そこで男子生徒はこう話したという。 「勉強がうまく行かず死のうと思った。去年から事件を起こそうと思っていた」 
 実は、この男子生徒は愛知県下の名門エリート男子校の生徒だった。捜査関係者が語る。
「男子生徒の所持品に、東海高等学校の生徒手帳があったことから、同校の生徒だとして捜査しています。昨日自宅を出て、家族からは失踪届が出されていました。東京へは名古屋からバスで来たと供述している」

男子生徒が通う偏差値75の超名門校とは
 東海高等学校の入試偏差値は75。1月9日に逝去した海部俊樹元内閣総理大臣も卒業生の一人だ。2021年の進学実績によると、卒業生428名中30名が東大に進学。京都大学へも31名が進学している。そのほかも、多くの生徒が難関大学の合格を手にしている。
 「特に医学部への進学実績が群を抜いていて、14年連続全国トップです。ただお勉強ばかり、というよりも自主性や個性を重んじる校風でもあります。私が通っていた頃は教室の後ろで焼肉をする生徒がいたり、教室にピザを大量にデリバリーしていた奴もいました。卒業式に馬に乗ってきた先輩もいましたよ。そしてそういう大それた行動が面白がられる雰囲気はあると思います。 
 ただ、教員による指導は厳しい。2018年12月には男性教諭がしゃがんでいた男子生徒の顔を腹を蹴り、怪我を負わせています。私も在学時には髪の毛をつかまれたり平手で殴られたりといった体罰を受けたこともありました。 
 いまも同じかはわかりませんが、私が在学していた頃は高校2年生時点の成績で高3のクラスが決まるんです。クラス分けが発表されるのは4月。だからちょうどいまくらいの時期に成績について思い悩む生徒もいたと思います」(同校卒業生) 
 受験自体は、予定通り行われたが事件を知った受験生らからは一様に不安の声が聞かれた。受験を終えたある女子生徒は取材に「親も心配していると思う。明日もここで試験があるので落ち着かず不安です。試験中は特に事件についてのアナウンスもなく、会場でもざわつく様子はありませんでした」と話した。 
 名古屋市に住む高校2年生がなぜ、大学入試共通テストの日に東京大学で受験生を刺すという凶行に走ったのか。警視庁が詳しい動機などについても捜査を進めている>(以上「文春オンライン」より引用)



 またしても刃物を振り回して、無関係な人たちに危害を加える「通り魔事件」が起きた。今度のケースは高校2年生が犯人で、場所が大学入学共通テストの試験会場となっている「東大前」だ。
 事件を起こした高校生は東大進学率で全国トップの名門私立高校の生徒だという。彼は東大医学部を目指していたそうだ。しかし二年になってから成績が思うように伸びず、高校三年の進学別のクラス替えで東大医学部コースから外れるのを苦にしていたようだ。

 なぜ、こんな微視的でジコチューの生徒が名門校から出てしまったのか。彼が東大医学部を目指した動機は何だったのだろうか。そこが単に日本一難関だからなのだろうか。
 名門私立高校はいかなる「学校教育」をしていたのだろうか。難関大学や医学部に何人の生徒を合格させたか、を競うだけの名門高校なのだろうか。それなら進学塾と何処が異なるのか。

 医師は人命にかかわる職業だけに、最高の道徳と知識が求められる。そして現実の医師の仕事は知的業務というよりも肉体労働者のそれに近い。私事ながら長男は勤務医として働いているが、昨今のコロナ禍で隔離病棟も受け持ち、疲弊困憊しつつ日々の医療に従事している。
 明確な目的を持って医師になりたいのなら、なにも東大医学部だけが医師への道ではない。しかしゲーム感覚で最難関の東大医学部を「クリア」したいという動機で受験するのなら、迷惑だ。優秀な人類に貢献できる「医師」への一人の道を閉ざすことになりかねないからだ。

 名門進学校の関係者は今度の事件を他山の石として、教育とは何かをもう一度原点に返って問い直して頂きたい。事件を起こした生徒も、普通に公立高校へ行っていたなら、それほど競争心を煽られることなく、普通の生徒の一人として平凡ながら満ち足りた人生を送っていたかも知れない。
 そして被害に遭われた老人や男女受験生も刺傷することもなかった。もちろん事件を起こした生徒本人が責められるべきだが、彼の保護者や学校関係者も自らを省みる必要がありはしないだろうか。

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