不動産バブル崩壊を回避しようと悪足掻きする中国。

<不動産市場が急激に低迷している中国の各都市で、不動産物件が供給過剰となっている。大幅値下げをして販売する業者が増えているが、値引き前に購入した住民とのトラブルも起きている。 

 中国の不動産専門シンクタンク「易居房地産研究院」が12月10日に発表したリポートによると、国内主要100都市の新築住宅の在庫は11月末時点で5億2110万平方メートルに達し、2016年8月以来の最悪の水準となっている。在庫数は36か月連続で前年同月比を上回り、在庫の平均消化サイクルは12.5か月と長期化している。中国で3線都市、4線都市と呼ばれる地方の中小都市で在庫のだぶつきがとりわけ深刻で、在庫の消化サイクルは2~3年に及ぶ。  中国では2020年にコロナ禍が拡大し、製造業や観光業などが低迷すると、不動産へ投資が集中。不動産価格が高騰して市民から不満が高まり、政府が今年夏に不動産市場の過熱を抑える方針を表明した。その後、不動産大手の恒大集団(Evergrande Group)の債務危機が発生するなど、不動産市場が一気に冷え込んだ。不動産業者は当座の資金を得るためにやむなく在庫の安売りを開始。当初の販売価格からの25%値引きも珍しくなく、半値近くにする業者もいる。
 「不動産市場が寒くなるほど、マイホームを買いたい庶民の心は温かくなる」と歓迎する声もあるが、湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)では10月に「値下げ抗議デモ」が発生した。1平方メートル1万5000~1万6000元(約27万~29万円)でマンションを販売していた業者が1万2000~1万3000元(約22万~23万円)に値下げすると発表したことに対し、つい最近マンションを購入した住民らが「資産価値が一夜で30万~50万元(約539万~898万円)下がった」と反発。業者に値下げした差額の返金を求めて拒否されると、市政府庁舎前で自分たちの主張を訴える抗議デモを敢行した。警察は公共の秩序を乱したとしてリーダー格の男性を10日間、25~32歳の男女7人を5日間の行政拘留処分とした。武漢市は、騒動のきっかけをつくったとして業者にも罰則を科した。 
 こうした事態を受け、各地方都市では社会不安を招く事態を防ぐため、業者に「値下げ制限令」を打ち出し、同時にマンション購入者に補助金支給や免税措置をすることで部分的な実質値下げを図り、不動産の在庫解消に取り組んでいる。中国で不動産と言えば7月までは「価格高騰」ばかりがニュースだったが、半年足らずで値下げが深刻な問題となり、ジェットコースターのような激しい展開を迎えている>(以上「東方新報」より引用)



 習近平氏は不動産バブルが崩壊するのを必死で避けようとしているようだ。「国進民退」という言葉を編みだして、民間不動産企業が所有している不動産を国営企業が買い取るように「法律」を整備しているという。
 つまり民間不動産企業を助けるのではなく、不動産バブル崩壊を防ぐために国営企業に民間不動産企業が所有している物件を買い取るように勧めている、というのだ。そのための資金を銀行が「人民元」を増刷して貸せば良いし、国営企業は買い取った不動産を「債権化」して外国投資家に売り捌いて、借入金を返済すれば良い、という「捕らぬ狸の皮算用」をしているという。

 しかし、そんなに上手い話があるはずはない。民間不動産企業が自転車操業状態から相次いでデフォルトしている。民間不動産企業を助けるのではなく、その所有する不動産を国営企業が買収して不動産が「不良資産化」するのを防ぐ、という理屈は理解できる。
 しかし問題は資金調達だ。国営企業が業績好調で資金力がふんだんにある、というのなら問題はない。だが国営企業は軒並み赤字経営で国際競争力すらない企業が殆どだ。だから国営銀行が国営企業に不動産買収資金を貸し付けろ、と中共政府は命じている。そうすれば国営企業は「有利子負債」が膨らみ、金利支払いにすら耐えられなくなる。それを回避するために買収した不動産を「証券化」して、外国投資家に買ってもらう、という。

 そりやり口はかつて何処かで聞いた話と同じではないか。そうだ、リーマンショックを引き起こした「金融工学」と銘打った詐欺まがいの話と酷似しているではないか。つまりサム・プライムローンを「証券化」して、各種サム・プライムローンを寄せ集めた「金融バスケット」とという金融商品にして販売する、という手口とソックリだ。
 その結果はどうなったか、世界中が大迷惑したリーマンショックを起こしたではないか。いかに高金利を付けたところで、そのような「証券」を買う投機家がいるだろうか。習近平にそのような「解決策」を耳打ちした「御用学者」は「不動産の国有化と外貨獲得」という一石二鳥のバブル崩壊抑止策だと吹聴したのだろうか。

 中共政府は常軌を失っている。強権政治を維持している間に、バブル崩壊という民間不動産企業の「不良債権処理」を民間企業の責任として処理すべきではないか。確かに一旦は不動産価格が暴落して金融機関が大量の「不良債権」を抱え込むことになる。しかし、それは元建ての不良債権ではないか。国有銀行が処理するだけで済む話だ。
 しかし外国投機家たちを巻き込んだ場合は簡単な話では済まない。国際金融にリーマンショック級の影響を及ぼす。結果としてリーマンショックが一証券会社の崩壊で済んだが、国営企業が仕組んだ「金融工学」が破綻した場合は中共政府の責任が問われる。国営企業が崩壊し、中国共産党まで崩壊しかねない事態になる。それとも習近平氏の側近の「御用学者」たちは秘かにそれを狙っているのかも知れないが。

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