北京五輪をボイコットせよ。

<2021年2月、カナダ、日本、米国、欧州連合(EU)加盟国など58カ国は「国家間の関係における恣意的な拘束に反対する宣言」に署名した。「人質外交」を展開する中国への警告と、国際社会に人権擁護を再確認させるためである。発端は18年12月、中国ファーウェイ社の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)が詐欺容疑で、カナダで拘束された後、カナダ人元外交官と起業家が中国で逮捕された事件だ。20年8月には、オーストラリア政府が中国に新型コロナウイルス感染症の初動調査を勧告すると、中国中央テレビで働く中国系オーストラリア人キャスターが拘束され、国家秘密漏洩罪で起訴された。(文 ノンフィクション作家・譚 ろみ)

判然としない逮捕理由
 日本人も例外ではない。暴行に及んだ中国漁船の船長が日本で拘束された直後、地質調査会社社員が中国で拘束された。さらに大学教授、商社員、語学学校経営者など15人が拘束され、7人が「スパイ罪」で服役中だ。

 北海道教育大学の元教授で中国籍の袁克勤氏が里帰り中に失踪した事件では、21年5月、2年ぶりに逮捕・起訴されていた事実が発覚した。
 中国人も次々に消えていく。大物政治家をはじめ、富豪、女優、弁護士、ジャーナリスト、国際刑事警察機構(ICPO、インターポール)総裁まで、理由が判然としないまま逮捕され、世間から消えた。
 だが、台湾人の失踪事件はさらに多く、根が深い。
 中国と台湾の雪解けは08年5月、台湾で国民党の馬英九政権が誕生し、親中外交を進めた時だ。
 中国は経済交流を推奨し、税制優遇や各種手続きの簡素化を約束したため、中国へ進出した台湾企業は10万社に上り、中国在住の台湾出身者は100万人に達し、観光目的の往来などは毎年約500万人に上った。

ある日突然に警察が
 だが数年後、状況は一変した。
 中国では、ある日突然、地元の警察がやって来て、脱税や各種違反を口実に合弁企業の台湾人オーナーを拘束し、合弁パートナーである中国企業に所有権を渡すよう強要した。
 もし拒否すれば何カ月でも勾留し、承諾すれば国外退去にするという。地方政府と公安警察、合弁パートナーの中国企業が結託した所業だった。
 16年5月に台湾に民進党の蔡英文政権が誕生して後、これら企業オーナーを含めて、中国で失踪した台湾人は149人に上り、101人が拘留中などで所在が確認されたが、48人はいまだ消息不明だ。非人道的な扱いを受けている可能性が高い。

台湾人を中国に引き渡し
 現在、世界中で台湾人が消えている。スペインの人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」は、16年から19年の間に、海外で逮捕された台湾人600人以上が中国に強制送還されたと報告した。
 台湾人を中国に引き渡した国は、最多のスペインが219人、カンボジア117人、フィリピン79人、アルメニア78人、マレーシア53人、ケニア45人と続く。
 その多くは、中国政府が「友好関係」を呼び掛けて引き取り、「国内問題」として中国本土へ送還した人々だ。
 中国は「一つの中国」政策の下、中国と外交関係を結びたい国には援助し、台湾との断交を迫って、台湾を国際社会から孤立させようとしている。
 中国政府によって次々に消えていく台湾の人々は、保護されるべき「国家」を失い、国際社会からも支援を受けられない。国際政治の「落とし穴」にスッポリはまり込んでしまったままのようだ>(以上「時事通信」より引用)



 引用した記事の見出しは「中国で人が消えていく、日本人も台湾の人たちも」だ。カナダではアイスホッケーのプロチーム選手が北京五輪をボイコットしようとしている。その理由は「人質として拘束されるから」だ。
 カナダ人にとって笑い話ではない。HAUWEIの孟晩舟氏が2018年12月1日、出張中のトランジットで降りたバンクーバーで、イラン制裁に違反した疑いなどでアメリカの要請を受けたカナダ当局に逮捕されたが、その直後に中国にいたカナダ人外交官とビジネスマンがスパイとして逮捕された。中共政府が孟晩舟氏逮捕の報復としてカナダ人を拘束して、孟晩舟氏釈放の取引材料としたものと思われる。そうした人道違反を平気で犯す中共政府のやり方に、カナダのアイスホッケー選手たちが不審を抱いたとしても不思議ではない。

 記事によると「台湾人を中国に引き渡した国は、最多のスペインが219人、カンボジア117人、フィリピン79人、アルメニア78人、マレーシア53人、ケニア45人と続く」ある。嘆かわしい限りだ。それらの国は中国からの援助に目が眩み「台湾人を「国内問題」として中国本土へ送還した」という。
 上記に掲げた国はカネさえ貰えば何だって平気で行う国だ。支援と引き換えに国家や国民のあり方などを無視する低能な国々だ。「一つの中国」など中共政府の妄言に過ぎない。中共政府の伝で行けば、スペインこそ世界に冠たる超大国になる。なぜなら15世紀以後、スペインが蛮行の限りを尽くして侵略された世界の各国では現地言語まで奪われ、彼らはスペイン語を使用しているからだ。彼らの多くはスペイン人と混血した末裔たちだ。台湾を本省人の国民党軍が占領し、平定したから中国のものだ、と中共政府が主張する愚かさと何処が異なるというのだろうか。「一つの中国」という中共政府の妄言こそを国際社会は批判すべきだ。

 「中国は「一つの中国」政策の下、中国と外交関係を結びたい国には援助し、台湾との断交を迫って、台湾を国際社会から孤立させようとしている」という。そうした策動に対して「カネ」の力で従う国々のモラルの低さを批判する。
 中共政府の資金援助は「投資の罠」だということを、国際社会はもっと大きな声で知らしめ、中共政府と自らの国を「投資の罠」に落す各国政府を批判すべきだ。他国民を抑圧して手に入れる援助や「投資」が、実は「投資の罠」で中共政府の策略に落ちることだと知るべきだ。

 デカップリングされるべきは台湾ではない、中共政府の中国だ。中共政府が犯している人権侵害や不法逮捕など、数え上げればキリがない。まさに傍若無人な所業に対して、国際社会は一致団結して「民主、自由、基本的人権」などを守れと中共政府に迫らなければならない。
 北京五輪にカナダのアイスホッケー選手から「ボイコット」の声が上がった。その責任は中共政府にある。北京五輪は習近平氏の権力強化に利用されている。世界中が「躍進する中国」とその輝かしい指導者(つまり習近平氏)を称えるために世界中から北京五輪に参集したと大宣伝するのは目に見えている。
 人権にまさる国際競技大会など、あって堪るか。スポーツのためなら何でも許されると考えるスポーツ・バカたちは頭を少し冷やしたらどうか。

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