財務省御用達の国民洗脳番組

<岸田文雄首相は14日に衆院を解散する。19日公示、31日投開票の衆院選ではコロナ禍で落ち込んだ経済再生が争点となり、各党は公約で大規模な経済対策を打ち出している。こうした動きを真っ向から批判するのが財務省の矢野康治事務次官が月刊誌「文芸春秋」11月号に寄稿した「バラマキ批判」論文だ。高市早苗政調会長が不快感を示す一方、鈴木俊一財務相は容認するなど政府・与党内でも反応が分かれるが、矢野次官の「財政破綻論」は正しいのか。元財務官僚の高橋洋一氏が一刀両断した。

 矢野康治財務事務次官が、月刊誌「文芸春秋」11月号への寄稿で、「このままでは国家財政は破綻する」として、財政再建の重要性を訴えた。
 鈴木俊一財務相は8日の記者会見で「個人的な思いをつづったと書いてある。中身は問題だと思わない」と説明した。麻生太郎前財務相からは了解を得ているという。
 岸田文雄首相は10日のフジテレビ番組で、「いろんな議論はあっていいが、いったん方向が決まったら関係者はしっかりと協力してもらわなければならない」とクギを刺した。自民党の高市早苗政調会長は同日のNHK番組で「大変失礼な言い方だ」と不快感を示した。

 矢野氏は「単に事実関係を説明するだけでなく、知識と経験に基づき国家国民のため、社会正義のためにどうすべきか、政治家が最善の判断を下せるよう、自らの意見を述べてサポートしなければなりません」と書いている。意見を述べるのは自由だが、その前提が間違っていては話にならない。間違った前提から出てくる意見は、有害以外の何物でもない。

 まず会計学から問題を指摘する。矢野氏が財政危機の証拠としてデータで示すのは、「ワニの口」と称する一般会計収支の不均衡と債務残高の大きさだ。全ての政府関係予算が含まれている包括的な財務諸表は小泉純一郎政権以降、毎年公表されている。この財務諸表は、しっかりした会計基準でグループ決算が示されているが、矢野氏が寄稿で提示したデータは、会社の一部門の収支とバランスシート(貸借対照表)の右側の負債だけしかないようなものだ。

 ただし、財務省が公表している連結ベースの財務諸表については日銀が含まれていないという問題もある。日銀は金融政策では政府から独立しているが、会計的には連結対象なので、財務分析では連結すべきものだ。日銀を連結した場合、資産1500兆円、負債は国債1500兆円と銀行券500兆円となる。銀行券は無利子無償還なので、形式的には負債だが実質的な負債ではないので、日本の財政が危機ではないのは、会計の基本を知っていれば明らかだ。

 金融工学からも問題がある。直近の日本国債の5年CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は0・00188%なので、大学院レベルの金融工学知識を使えば、日本の5年以内の破綻確率は0%にも満たないことが分かる。これは、バランスシートからみた破綻の考察とも整合的だ。このような状況で日本財政が破綻する恐れがあるというのは、降水確率零%の予報のとき、今日は台風が来るので外出は控えろというのと同じくらい、筆者には滑稽に思える。以上は、本コラムの読者であればおなじみだが、会計学や金融工学に基づく事実で、ノーベル賞学者らとも同じ世界標準のものだ。
 世界の誰とも対等に議論できるように正しい学問の知識を持つことが重要だ。財政が破綻しているのではなく、無知から出てくる財政破綻論や緊縮論こそ、もう破綻している>(以上「ZAK ZAK」より引用) 




 昨日(10/13)昼の報道ショー番組で矢野氏の文芸春秋社への投稿論文に関して取り上げていた。例によってお笑い芸人のMCがシロー氏や元裁判官相手に「与野党かバラ撒き合戦を演じている時に、財政健全化を取り上げた財務省事務次官は勇気がある」と持ち上げていた。
 不快極まる情緒論を展開し、さらに借金を増やして大丈夫でしょうか、と国家財政のあり様すら理解していない無知をさらけ出していた。それに輪を掛けて元裁判官は「選挙前だからこそ、国民にバラ撒き合戦に熱中している実態を知らせる必要がある」などとシタリ顔で解説していた。まったく「お前たちが日本をゼロ成長のスパイラルに落し込んだ共犯者ではないか」とテレビ画面に毒づきたかった。

 夕刊フジにのネット版「ZAK ZAK」で高橋洋一氏(元内閣参事官・嘉悦大教授)が矢野氏の寄稿論文を批判していた。それを引用したのが上記記事だ。
 矢野氏の寄稿論文の重大な欠陥は高橋氏も指摘している通り「矢野氏が財政危機の証拠としてデータで示すのは、「ワニの口」と称する一般会計収支の不均衡と債務残高の大きさだ。全ての政府関係予算が含まれている包括的な財務諸表は小泉純一郎政権以降、毎年公表されている。この財務諸表は、しっかりした会計基準でグループ決算が示されているが、矢野氏が寄稿で提示したデータは、会社の一部門の収支とバランスシート(貸借対照表)の右側の負債だけしかないようなものだ。

 ただし、財務省が公表している連結ベースの財務諸表については日銀が含まれていないという問題もある。日銀は金融政策では政府から独立しているが、会計的には連結対象なので、財務分析では連結すべきものだ。日銀を連結した場合、資産1500兆円、負債は国債1500兆円と銀行券500兆円となる。銀行券は無利子無償還なので、形式的には負債だが実質的な負債ではないので、日本の財政が危機ではないのは、会計の基本を知っていれば明らかだ」という部分だ。
 政府負債を語る前に、まず日銀などの政府機関との連結決算後のバランスシートを見るべきだ。そして政府の負債は国民の資産だという国家会計原理を忘れてはならない。矢野氏は昨年の国民全員10万円支給の結果、約70%が貯蓄に回ったから消費効果はなかった、と批判している。しかし逆から見れば30%の国民は生きるために消費したことを忘れてはならない。

 また矢野氏は野党の消費税廃止や5%減税は法律制定から施行までの間に買い控えが起きるから効果的でない、などと寝言を云っているようだが、消費税が減税されるまで買い控えが起きる、とするのは消費税が消費のブレーキ役を果たしている証拠ではないか。
 ご存知の通り日本GDPの約半分が個人消費だ。つまり日本経済の主力エンジンが個人消費なら、経済成長を政策命題とするなら個人消費を喚起する政策こそが最重視されるべきではないか。
 矢野氏は「ワニの口」(税収と財政支出の乖離が広がっている状態)により、やがて日本は破綻すると「予測」しているが、それも引用記事で高橋氏が論破している。「日本国債の5年CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は0・00188%なので、大学院レベルの金融工学知識を使えば、日本の5年以内の破綻確率は0%にも満たないことが分かる。これは、バランスシートからみた破綻の考察とも整合的だ。このような状況で日本財政が破綻する恐れがあるというのは、降水確率零%の予報のとき、今日は台風が来るので外出は控えろというのと同じくらい」滑稽だと、高橋氏は矢野氏が経済学について無知だと指摘している。

 それにしてもテレビ番組は酷い。なぜ矢野氏の文芸春秋に寄稿した論文を取り上げるのなら、マトモな経済学者を解説陣の一員として呼ばないのだろうか。経済学に無知な連中が雁首を揃えて「(ばらまき政策で)国の借金が増えるのは困りますね」と異口同音に発言し合い頷き合う。なんと偏向した財務省御用達の国民洗脳番組か。
 これでは日本は決してデフレ経済から脱却して経済成長することはできない。このまま日本は衰退して、ついには中共政府に併呑され、中国の省の一つになる運命しかない。それで良いのか、日本国民よ。

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