幾つ「山」を越えれば終息するのだろうか。

＜菅義偉（よしひで）首相は28日、記者会見し、新型コロナ対策として19都道府県に出している「緊急事態宣言」、8県が対象の「まん延防止等重点措置」について30日の期限で解除すると発表した。

　会見冒頭、菅首相は「総理に就任してから1年余り。新型コロナとの闘いに明け暮れた日々だった」と切り出すと、「私自身、政治家を志して以来、いつも幅広い方々の話を徹底して聞き、現場で物事が動き、人々が生き生きとやっていけるよう努めてきた。自宅で療養される方々への医療、飲食など事業者の生活、子どもたちの教育、生活困窮者の暮らし、そして孤独な状況に置かれた人々、そうした人々に思いをはせ、悩み抜いた日々もあった」などと語った。

「ワクチン」「治療薬」実績強調
「そうした中でたどり着いたのがワクチンと治療薬だった」 　菅首相はこう続け、「無理だろうと言われながらもこれまでの発想にとらわれず、打ち手が足りなければ歯科医師や救命救急士や臨床検査技師に打ち手をお願いし、打ち手を確保し、職域での接種を導入し、厚生労働省の中だけでなく、オール日本の政府で全力で取り組んできた」と実績を強調。 

　ワクチンが希望する多くの国民に行き渡りつつあるとし、「ワクチンと治療薬に目処が付きつつある中で、長い戦いにもはっきりとした明かりが見えてきていると言った。その言葉には数々の批判もあったが、いまや効果は明らかであり、明かりは日々輝きを増していると実感している」と述べた＞(以上「yahooニュース」より引用)

　無能・無策の菅自公政権がやっと終わる。菅氏は一年の治世を振り返って感慨一入のようだが、彼が官房長官を務めていた安倍第二次政権の七年有余と併せて九年近い政権要人として政権に直接関与して来た権力者として、対武漢肺炎に関してマトモな実績として何があっただろうか。

　菅氏はワクチンを「手当」出来たとして誇っているようだが、先進国で最も遅く、しかも後進諸国と争奪戦を勝ち抜いて手に入れたワクチンを誇るとはいかなる感性の持ち主だろうか。日本の製薬企業か研究機関が政府の巨額支援を得て世界に先駆けてワクチンを開発して国民はもとより、後進諸国へ無償援助するなどした、というのなら日本の首相として誇って良いだろう。そうでないではないか。

　治療薬に関しても数々の効果があるといわれる国内薬品に関して、厚労省が未だに治療薬として承認していないものがあるではないか。迅速を旨とすべき緊急事態であるにも拘らず、厚労省は何をしているのだろうか。それは監督・督励できない菅政権が「治療薬」で誇れる成果を上げた、とはいかなる根拠に基づいているのだろうか。

　第五波の新規感染患者の山を越えて収まった、と菅氏は安堵の胸を撫で下ろしているのだろうが、コロナ禍が終息したわけではない。ただ感染スピードが治まった、というだけだ。これから冬を迎えれば感染拡大するのは目に見えている。コロナウィルスの活性が増す環境こそ「冬」ではないか。その「冬」を前にして、感染拡大スピードが減速した今こそ、PCR検査を一日百万人規模で実施する絶好機だが、自公政権内にも厚労省医系技官からもそうした声が上がっていない。彼らは武漢肺炎を徹底終息させず、感染拡大と減速とを楽しんでいるかのようだ。

　ワクチンの感染抑止効果がない変異株が発見されている現在、菅氏の自画自賛コメントは能天気に過ぎる。「ワクチン集団免疫作戦」で本気で行くつもりだったなら、変異株の国内感染を徹底して防疫すべきだった。いや変異株の発見された地域との空路を閉鎖すべきだった。

　そうした対策が迅速に立てられたのか。残念ながら、そうでないから国内で世界中の変異株の感染患者が見つかっているのだ。なぜ「細菌戦争」さながらの防疫体制を取らないのだろうか。島国日本の防疫上の優位性を発揮しない政府は無能の誹りを免れない。「検査と隔離」を一向に拡大しようとしなかった安倍-菅自公政権は「感染拡大と感染収束」を楽しんでいるかのようだ。