アフガニスタンの混乱は今後とも続く。

<ドナルド・トランプ(Donald Trump)前米大統領は15日、米軍が20年近く駐留してきたアフガニスタンから撤退を進める中で、旧支配勢力タリバン(Taliban)が勢力を急拡大していることの責任を取るべきだと主張し、ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領に辞任を求めた。

 トランプ氏は、「ジョー・バイデンが、アフガンで今の事態が起きるのを許した責任を取り、不名誉な形で辞任する時が来た」と述べた。「ジョー・バイデンがアフガンに対して行ったことは語り草となる。米史上最大の敗北の一つとして語り継がれるだろう!」 
 さらに、米国内での新型コロナウイルスの感染急拡大や移民・経済・エネルギー政策についてもバイデン氏を非難した。 
 2001年に米主導の連合軍の攻撃で政権を追われたタリバンは、破竹の勢いで全土を制圧しつつあり、15日には首都カブールも掌握した。 
 トランプ前政権は2020年、カタールの首都ドーハでタリバンと和平合意を結び、タリバンが国内でテロ活動を許さないことなどを条件に、2021年5月までに米軍を完全撤退すると確約した。 
 しかし、今年1月に大統領に就任したバイデン氏は、撤退期限を延期する一方、無条件とした。 トランプ氏は、この措置についてバイデン氏をたびたび非難しており、自身が今も大統領であるならば、「撤退は今とは全く異なる、はるかに成功したもの」になっていたはずだと主張している>(以上「AFP」より引用)



 2001年9月11日の米国で起きた同時多発テロで、米国大統領ジョージ・ブッシュはアルカイーダのウサマ・ビンラディン氏を首謀者として「アルカイダ掃討作戦」をアフガニスタンで始めた。それが20年に亘る米軍のアフガニスタン侵攻の切っ掛けだった。
 アフガニスタンの歴史は世界の覇権争いの余波を強く受けた歴史でもある。19世紀はロシアと英国がアフガニスタンを支配しようと争い、戦後はソ連と米国がアフガニスタン支配の主導権を握ろうとして異なる部族へ「支援」ゴッコを続けました。

 タリバンの関係者の一部は、アフガニスタン=パキスタン国境の部族地域においてマドラサと呼ばれるイスラーム神学校で過激な思想の教えを受けた人々という歴史もあって、当初からパキスタンISIの影響下にあった。1994年頃から急激に勢力を伸ばし次々に主要都市を攻略し、1996年にはカブールを制圧し国土の9割を支配するに到った。
 しかしタリバンに統治能力はなく、アフガニスタンの治安は乱れ米国介入の糸口を与えてしまった。だがアフガニスタン北部の山岳地帯の複雑な地形とパキスタンに国境を接していることから、米軍によるタリバン掃討作戦は最終的な勝利を得ることなく20年という歳月が流れた。

 トランプ氏がバイデン氏に「俺がやっていたら、もっと上手くやったさ」と批判しているようだが、おそらく誰がやっても同じだろう。なぜなら国民はタリバンを歓迎していないが、現政権の腐敗しきった役人たちよりはマシだろう、と思っているからだ。
 ロシア-旧・ソ連と英国-米国の「支援ゴッコ」はアフガニスタンの役人たちを徹底的に腐敗させてしまった。警察が強盗と変わらない国家など想像できないだろうが、アフガニスタンの役人たちは上から下まで腐敗し切っている。それは「国軍」も同様で、30万人もの軍人がいながら、7万弱のタリバン軍に勝てない。だから首都も呆気なく陥落した。米軍なしの国軍など「お飾り」よりも、腐敗しているだけにもっと始末の悪い代物だった。

 タリバン政権を逸早く中国は「承認」したようだが、日本は早まらない方が良い。知識人層を徹底して虐殺したアフガニスタンは今後どうなるか判らない。国家を統治しようにも人材が払底している。質の良い官僚たちも殆どいない。
 タリバン達は銃をブッ放し、国民から略奪し、子女を乱暴する以外に能力のない連中だ。それならゴロツキと一切変わらないが、彼らは免罪符として「イスラム原理主義」を掲げている。強盗も殺人も「アッラーのため」といえばすべて許されるのだから便利なものだ。さぞかし泉下のマホメッド教祖は怒り心頭ではないだろうか。

 首都を制圧したタリバンが一枚岩でないことは周知の事実だ。今後はタリバン内部で熾烈な主導権争いが起きるだろう。現在の最高指導者はハイバトゥラー・アクンザダであり、副指導者としてシラジュディン・ハッカニやムハンマド・ヤクーブなどの名が上げられているが、血で血を洗う闘争が終息したと思わない方が良い。
 アフガニスタンの国民こそが迷惑だが、タリバン政権がどのようなかたちで治まるか、しばらく様子を見守るしかない。中共政府が誼を通じた現タリバン首脳陣がいつまでも指揮権を維持するかすら判らない。そうすると、中国の支援を受ける代わりに「ウィグルに介入しない」と約束したこと自体が「イスラム原理主義」に反する、という事実がタリバンに広まり首脳陣に対する反発を招くだろう。それに拍車をかけるのが「支援」物資を首脳陣の私物化ではないだろうか。泥棒体質が政権獲得と同時に解消して常識的な紳士になるとは到底思えない。アフガニスタンの混乱は今後とも続くだろう。

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