太陽光線と海水で水素と酸素が作れる、とは。

<(国)産業技術総合研究所ゼロエミッション国際共同研究センターは10月8日、酸化物半導体にマンガンを修飾した光電極に太陽光を照射すると、食塩水の分解の際に有害な副産物を抑えて酸素だけを取り出せる新たな人工光合成技術を開発したと発表した。海水を利用した低コストの水素、酸素の製造の実用化につながる。植物などが天然光合成をする際に、進化の過程でなぜマンガンを選択したかの謎を解くカギとなる可能性があり、基礎的な解明にもなりうる。

 光触媒を使って水を分解し水素と酸素を作る技術は、低コストでクリーンな製造方法として将来の水素社会に向けて大きな期待されている。さらなる低コスト化には無尽蔵にある海水の利用が必要になる。
 そこで障害になるのが、反応の副産物として発生する有害な次亜塩素酸をいかに抑えるかだ。次亜塩素酸は生物にとって有害であるばかりか、製造システムを腐食劣化させてしまう厄介者でもある。

 産総研はこれまでに、人工光合成の実用化に向けて酸化物半導体(酸化タングステン、バナジン酸ビスマス)の光電極を独自に開発してきた。今回はこの光電極の表面を部分的にマンガン酸化物で加工し、触媒としての効率を上げ、水を分解する水素製造システムの高度化に取り組んだ。
 光電極の作成方法は、タングステンイオンまたはビスマスイオンとバナジウムイオンを含む溶液を、導電性ガラスに落とし高速回転させながら塗り、焼き固めて薄膜を作った。さらにその上にマンガンなどの金属イオンを含む溶液を塗布し、焼き固めて新たな光電極とした。

 この光電極と対極(白金電極)をイオン交換膜で分離した2室型の反応容器に配置し、塩水を含む反応溶液で還元・酸化による水素と酸素の生成能力などを調べた。
 その結果、マンガンで表面を覆った光電極を使うと次亜塩素酸の生成がほとんどなく酸素だけが発生し、白金電極では水素が発生した。水素イオン濃度や塩素濃度を変えたり、カルシウムを複合させた異種金属を使ったりしてもこの反応は変わらなかった。

 海水中には塩素の他にマグネシウムやカルシウム、カリウムなど多種多様な共存イオンが含まれているが、それでも同じような反応が再現できることを確認した。
 この成果は、太陽光を使った海水からの水素製造技術の実用化に大きく前進させるとともに、植物などの天然光合成の基礎的な理解を深めることにもつながるとみている。
 生物にも製造システムにも有害な次亜塩素酸の発生を抑えるマンガンの特異な性質が、複雑な天然光合成反応による酸素発生中心の進化に関与している、との新たな仮説も提唱している>(以上「つくばサイエンスニュース」より引用)




 太陽光線の約半分を占める可視光線を利用して、海水から酸素と水素を作る技術が産総研(産業技術総合研究所)で開発されたという。原理は植物の光合成反応を利用したものだが、ミソは真水ではなく膨大な量の海水を利用することだ。
 海水に可視光線を照射して水素と酸素を発生させる仕組みは引用記事に説明されている。私たちが知らなければならないのは、技術研究を行えば「死の灰」の発生を伴う原子力発電装置に頼らなくても化石燃料以外のエネルギー源を手に入れられる、ということだ。

 私は化石燃料の利用が決して悪いとはいわない。環境を汚染しているという批判も正鵠を得ていないと思う。地球資源の大循環という面からいえば、固定化された炭素化合物を燃焼させることは炭素を大循環に戻すことでもある。
 しかし地球資源には限りがある。石油は無尽蔵にある、と主張する科学者もいるが、それは掘削技術や原油単価の上昇により、利用可能な石油資源が次々と見つかっているから無尽蔵にあるように見えているに過ぎない。地球が有限であるなら、地球の地下資源が有限なのは論を俟たない。

 次世代エネルギー源を見つけるのが現代を生きる私たちの責任ではないか。先人たちの創意工夫で現代の便利な暮らしを私たちは享受している。この便利な暮らし以上の暮らしを未来の人類に実現してもらうために、私たちは技術・研究すべきだ。
 既に一世紀近く経たと他としている原子力を「クリーン・エネルギー」として使おう、としていることに壮大なマヤカシはないだろうか。スウェーデンの高校生は化石燃料の使用には反対の叫びを上げるが、原子力発電には賛意を表するとしたら、彼女の環境意識は間違っている。化石燃料の使用以上に原子力の方が環境に取り返しのつかない負荷をかける。放射性物質処理という大きな十字架を未来の人類に負わせることになる。

 安価な水素が安定して得られるなら、そうした水素発生プラントが海岸沿いに何処にでも作られるなら、水素配送システムの心配も少ない。大陸の内部には海水を運搬すれば水素が得られるから、可燃物の燃料を運搬するよりも遥かに安全だ。
 水素で稼働するのは燃料電池車の「トヨタのミライ」だけではない。マツダのロータリー・エンジンは水素で駆動することは実証済みで、広島県や広島氏は水素・ロータリー・エンジン車を公用車として使用している。人類が目指すべきは電気自動車ではなく、水素エンジンの自動車だ。なぜならバッテリーを必要とする電気自動車は決して環境に優しい乗り物ではないからだ。

 それは使い古したバッテリーが次世代人類の頭痛のタネになるのが避けられないからだ。再利用とは再生利用といった過程では、新製品製造よりも概ね3.5倍のエネルギーを必要とするといわれている。
 プラスティック・ゴミの再利用が「エコ」だというのは嘘だ。最も有効な利用は生ゴミと一緒に燃やすことだ。なぜなら生ゴミだけでは燃焼エネルギーが足りないため、重油を噴霧する必要がある。そのため全国の多くのゴミ焼却場では廃プラも一緒に燃やしているのが実態だ。だから生ゴミとプラスティックの分別はほとんど意味がないのだが、一度始めた制度はなかなか変更できないのが行政だ。そして分別するのに行政はコストがかからないから分別作業を放置しているのだろう。

 しかしバッテリーを大量に必要とする電気自動車は止めた方が良い。電気自動車をこのまま推奨すれば、必ず近未来の環境汚染は大量の自動車バッテリーの不法投棄になるだろう。しかも現行のリチウムイオン電池はショックなどにより発火する可能性があるだけ厄介だ。
 水素はガソリンよりも安全だ。水素は爆発する危険なもの、と思っているのは小学校での「爆鳴気」実験の印象が強く残っているからだろう。しかし水素単体は燃えない。タンクに穴が開いたとしても大気より軽いため、上空へ拡散するだけだ。未来のエネルギーとして最も有力な水素が太陽可視光線と海水で作れるというのはまさしく朗報ではないだろうか。

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