小沢氏よ「所得倍増計画」を掲げよ。

 街を車で走っていると、やたらとポスターが目にくつ。それも菅氏と山口氏のポスターた。恰も自公が総選挙へ向かってスタートダッシュをかけたかのようだ。
 菅氏と山口氏のポスターは図らずも似たようなキャッチコピーだ。菅氏のコピーは「国民のための政治」で、山口氏のコピーは「あなたのための政治」だ。ポスター制作者や政党関係者は「これで良」としたのだろうが、政治ポスターとしておかしくないだろうか。

 もとより政治は国家と国民のためにある。今更菅氏がポスターで「国民のための政治」と断るまでもないし、山口氏がポスターを見た人に「あなたのための政治」と呼び掛けるのも釈然としない。
 なぜ釈然としないかというと、中身が何もないからだ。「国民のための政治」とは何か。「あなたのための政治」とは何か、菅氏や山口氏に問わなければならない。政治の中身が一切表記されてないからだ。

 そういえば自民党のポスターはそんなのばかりだった。「日本を取り戻す」「政治は結果だ」等々、中身は一切表示されていない。そして実際の政治は日本を解体して外国のハゲ鷹たちにバラ売りしただけだ。それを「構造改革」と禍々しく大宣伝しただけだ。
 しかし、国民はそれを了として、この八年余りを自公政権に委ねて来た。その間も失われた20年は失われた30年となって、日本は下り坂をダラダラと下っている。社会に閉塞感が満ち満ちようと、自公政権の支持率は30%以上を常にキープしたままだ。

 しかも不思議なことに自公政権支持率は60歳以上よりも20-30代の若者の方が高いという。彼らは失われた20年間の最中に生まれ、そしてバブルの記憶もないままに閉塞した社会の中を生きてきた。それでも何とか暮らしが立つ現在を「満足」しているとしたら情けないではないか。
 私たち団塊の世代は労働者の一員として高度経済成長を牽引してきた、という実感がある。もちろんバブル期も経験した。そして現在の閉塞感にはウンザリしている。なぜなら現在の閉塞感は「作られた閉塞感」だからだ。

 バブルをハードランディングさせたのは財務相とマスメディアだ。その背後には米国のDSがいる。日本が世界のGDPの16%以上を占めて、米国のNO.1の地位を脅かそうとしているのに驚愕して、日本を叩き潰そうと画策した。それが金融バブル崩壊劇を演出させて、金融利権屋たちを政府内で暗躍させた。もちろん、財務省も「緊縮財政」を唱えて日本経済を失墜させた。
 それから30年間、金融不況は依然として続いている。間違った税制と財政政策により、デフレギャップを抱えたまま、日本は閉塞感の中で衰亡への道を転がり落ちていいる。

 その閉塞感に対して、自公政権は明確な処方箋を示せない。なぜなら的確な処方箋を書いたとしたら、それは財務省主導の財政政策を全否定するからだ。だから中身のない「国民のための政治」といった国民を愚弄したコピーしか書けない。
 それに対して野党はどうすべきか。答えは余りに簡単・明白だ。財務省の財政政策の反対を行えばよいだけだから。つまり第一にデフレ・ギャップを埋めるための財政拡大で、それはかつて経産省が主導した国土開発五年計画と同様の「国土強靭化、高効率化五か年計画」を立てて、計画的に財政出動することだ。

 そして製造業の再生と再建を目指すべく、生産性向上のための投資減税と中国などへ海外移転した工場などを国内へ回帰させるためのUターン投資減税を大胆果敢に行うべきだ。そして労働賃金引き下げと生産性向上を阻害する外国人労働移民策を廃止することだ。高度経済成長期の日本は常に人手不足だったことを想起して頂きたい。人手不足こそが生産性向上の原動力になる事を忘れてはならない。
 そして国民に対しては「所得倍増計画」を提示することだ。日本が失われた30年でなく、世界の平均的な成長率と同様の成長を続ていたなら、既に労働者賃金は二倍ないし三倍になっていたはずだ。つまり平均年収が800万円から1200万円程度になっているはずだった。遅まきながら日本が経済成長路線に復帰すれば、10年程度で名目所得は倍増するだろう。実質所得はインフレーター分だけ下がるが、経済成長は必ずインフレ・ギャップを伴い、物価上昇をもたらす。だからそのインフレ分だけ、国債は償還されたのと同様に働く。

 もちろん消費税は廃止すべきだ。なぜならインフレ率が2%なら、実質的に24兆円も国債が償還されたのと同じ理屈になるから、国債償還のための消費税は不要だからだ。もちろんGDPが大きくなれば、税収も当然ながら増大する。
 ウィグル人を奴隷として使役した綿製品の輸入を日本政府は全面禁止にしても、なんら困ることはない。日本の貿易依存度は14%程度でしかない。中国はGDPの半分近くを貿易に依存している「外需依存国」だ。日本が対中貿易を断絶すれば日本経済が逼塞する、と書いている評論家がいるが、実際は真逆だ。困るのは中国だ。

 日本は中国へ輸出していた分を、他の「世界の工場」へ輸出すれば良いだけだ。日本は中国の下請けになった、などと書いている評論家は日本企業の技術力を全く知らないか、親中派として嘘を書いているだけだ。核心的な技術まで中国へ移転させるほど、日本人もお人好しではない。日本が技術力で世界のモノづくりの死命を制している分野は沢山ある。だからこそ、日本のルネッサンスを実行すべきなのだ。それは自公政権ではできない。
 自公政権の逼塞した政治の本質を見抜き、政治を大胆に転換させるだけの気宇壮大な政治家が野党にいるかどうか。いるとすれば、私が知る限りでは2009民主党マニフェストをまとめ上げた小沢一郎氏だけだ。彼に「所得倍増計画」の旗印を掲げて、野党連合の中核に立っていただきたいが、果たして野党政治家のチマチマとした揚げ足取り根性が矯正できるのかどうか。日本の明日がかかっている「非常時の政局」が彼らに理解できているのか、どうか疑わしい。日本が経済大国への道を再び歩み始めない限り、国家の独立や存続すら危ういという現実を野党政治家諸氏が理解できるかどうか。

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