「自粛」期間にこそ、国民は失われた30年間を勉強すべきだ。

 <全国各地で新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、政府は旅行需要喚起策「GoToトラベル」事業の運用見直しを打ち出した。だが、見直しの中身は専門家で作る政府分科会が提言した一部区域の除外などには踏み込まなかった。限定的な内容にとどめ、事業継続を図りたい思惑がにじんだ。

政府高官「感染拡大の原因とする根拠はない」

「国民の皆さんの命と暮らしを守るのが政府の最大の責務だ」。菅義偉首相は21日、GoToトラベルの運用見直し方針を決めた後、首相官邸で記者団にこう語り、感染対策に取り組む姿勢をアピールした。ただし、見直しの詳細の説明を求める記者団の質問には応じず、その場を後にした。

 政府内ではGoToトラベルの見直しに関しては、「感染拡大の原因とする根拠はない。やめたら何が起こるか、ということだ」(政府高官)と慎重論が根強くあった。西村康稔経済再生担当相はGoTo見直しを決めた後の記者会見でも「トラベル事業そのもので、感染が広がった事例の報告は受けていない」と指摘した。

 政府が見直しに慎重姿勢を取ってきたのは経済活動への悪影響を懸念するためだ。首相は20日の参院本会議で「これまで延べ4000万人以上が利用しているが、判明した感染者は176人だ」と強調し、「約900万人が観光関連に幅広く従事している。引き続き感染防止策を徹底した上で、適切に運用していく」と訴えていた。21日の対策本部会合でも「感染拡大が続く中、社会経済活動に対し、さらに一段強い対策を講じる事態を回避するためにも、国民の協力が不可欠だ」と強調した>(以上「毎日新聞」より引用)




 引用記事冒頭の「全国各地で新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、政府は旅行需要喚起策「GoToトラベル」事業の運用見直しを打ち出した。だが、見直しの中身は専門家で作る政府分科会が提言した一部区域の除外などには踏み込まなかった。限定的な内容にとどめ、事業継続を図りたい思惑がにじんだ」とは如何なることか。

 無能な者に政治権力を与えた最悪のケースとは、まさしく「GO TOキャンペーン」だ。戦前では真珠湾攻撃に突っ走った山本五十六たち「軍神」と呼ばれた連中だったが。

 

 それでも「感染拡大の原因とする根拠はない」と嘯く政府高官とは誰なのか。地方の感染拡大は大半はクラスター感染で、その核となったのは県外へ出掛けた者、あるいは都市からやって来た者だという実態をご存知ないのだろうか。

 地方で平安に暮らしている住民の多くは「GO TOキャンペーン」を呪っている。政府が「経済を回す」と称する「GO TOキャンペーン」は旅行へ出掛けたり、高級店で飲食を楽しむ一部の者に対する「優遇策」でしかない。ギリギリの日々を送っている多くの国民に「GO TOキャンペーン」を利用する余裕などない。むしろギリギリでも動いている地域経済の活動まだ止める「ロックダウン」が起きる深刻な事態が到来しないことを心から願っている。

 「西村康稔経済再生担当相はGoTo見直しを決めた後の記者会見でも「トラベル事業そのもので、感染が広がった事例の報告は受けていない」と指摘した」というのなら、西村氏は伴侶の実家のある山口県の知り合いに電話して訊いたらどうか。山口県の新規感染者は昨日23人と、日々新規感染患者の記録を更新している。その感染源は県外からやって来た、もしくは県外へ「GO TOトラベル」で出掛けた者だという実態をご存知ないとは何事だろうか。

 「「約900万人が観光関連に幅広く従事している。引き続き感染防止策を徹底した上で、適切に運用していく」と訴えていた」というが、労働者人口は約5,600万人だ。外国人観光客が皆無に近い状態で900万人が糧を得る相手は国民だ。900万人を除いた4,600万人が従事している一次、二次、三次産業が基本的な経済を回し、日本を支えている。その骨格ともいえる産業を無視して、表層的な飲食業と観光業だけを繁盛させることが「経済を回す」ことだと判断しているとしたら、経済再生担当大臣としては「木を見て森を見ない」と批判するしかない。

 もちろん飲食や観光業者に対しては持続化給付金を切れまなく支給すべきだ。武漢肺炎の感染拡大を抑えるために、それらの業者を廃業や倒産に追い込んでは何もならない。武漢肺炎のワクチンや特効薬が開発されるまでの我慢の日々を国民全体で耐えなければならない。
 そして政府は耐える体力のない者や「自粛」によって直撃される業界への配慮と財政出動を切れ目なく実施すべきだ。もちろん、こうした間にも世界の経済環境は変化している。

 対中デカップリングに日本政府は諸外国に先駆けて動くべきだ。東アジアで中共政府の中国をリーダーにさせてはならない。人権と民主を重んじる自由主義国の日本が東アジアのリーダーとなって、地域全体を牽引する経済力を回復させなければならない。
 そのための準備を決して政治家諸氏は怠ってはならない。失われた30年間も世界平均的な経済成長を続ていたなら、日本の経済規模は現在の2,5倍から3倍になっていたはずだ。国民の平均所得は1,000万円を優に超えていたはずだ。そうならなかった主因は「緊縮財政」にある。それを喧伝したのは財務省で、それを国民に洗脳したのは愚かな政治家でありマスメディアだ。

 現在の「自粛」期間こそ政治家は勉強すべきだ。失われた30年間は誰がもたらしたのか。そしてその間に日本の構造的な部分で何が起きていたのか。
 病理を解明しなければ的確な処方箋はたとえ名医でも書けない。現在日本のデフレ経済の構造と病理を突き止めるための勉強をすべきだ。それは国民にとっても必要だ。巷間宣伝されている「人口減社会は低成長社会だ」とか「財政赤字は国民の借金だ」といった大嘘に洗脳されないために、勉強すべきだ。

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