アクセルに1兆6794億円でブレーキに500億円とは、コンビニに突っ込む高齢者の暴走車とどこが違うのか。
<菅義偉首相は16日午後、官邸で開催された政府の新型コロナウイルス感染症対策本部で、感染防止のため自治体が飲食店などに営業時間の短縮を要請する場合、国が財政支援する方針を表明した。1カ月当たり20万~30万円の給付を想定し、地方創生臨時交付金から500億円の枠を活用する。飲食業界の支援策「Go To イート」に関し、一定人数以上での飲食を対象外とするよう各都道府県知事に検討を要請する考えも示した。
イート事業に関し、農林水産省は子どもを除く4人以下の単位で飲食するなどの対策を取るよう、全都道府県に要請すると明らかにした>(以上「共同通信」より引用)
今年六月から実施した武漢肺炎の感染拡大の恐れの高い「GO TO キャンペーン」には総額1兆6794億円を投じ、その実施事務費として3095億円も「事務局」に委託費を支払った。それに対して第三次感染爆発を防止するために、菅氏は自治体が飲食店などに営業時間の短縮を要請する場合、国が財政支援する方針を表明したが、1カ月当たり20万~30万円の給付を想定し、地方創生臨時交付金から500億円の枠を活用する、という。
なんという少なさだろうか。「私は感染防止策を実施しましたヨ」というアリバイ作りとしか思えない。感染拡大策には1兆6794億円を濫費し、防止策には地方創生臨時交付金から500億円の枠を活用する、というミミッチさだ。本気で感染防止に政府・与党が動いているとはいえない。
それと同時にIOCバッハ会長には来年開催予定の東京オリンピックは「必ず実施する」と約束する軽薄さだ。来年に世界の武漢肺炎感染状態がどうなっているか、菅氏には今から予測できるのだろうか。欧米は感染大爆発を起こして、都市のロックダウンを実施している国まであるというにも拘わらず、祭典の開催強行を今から決めるとはおどろく。来年のことを言うと鬼が笑う、というが、来年の武漢肺炎の感染状況が菅氏には千里眼のように見えるのだろうか。
常識的にいえば、東京五輪は中止すべきではないか。再び東京五輪を契機に感染大爆発を起こさないとも限らない。そしてワクチンが世界に普及したとしても、それは最短で来春のことで、臨床で90%とされたワクチンの効果が実際にどうなのかは現在のところ未知数だ。
効けば良いし、効かなければファイザー社以外のワクチンの完成を待つしかない。まだ一般接種が始まっていないワクチンを当てにして「来年、東京五輪は開催します!!」と力むのは如何なものだろうか。
「too late,too little」とは菅自公政権の感染対策だろう。自治体が飲食店などに営業時間の短縮を要請する場合、国が財政支援する方針を表明したが、1カ月当たり20万~30万円の給付を想定し、地方創生臨時交付金から500億円の枠を活用する、とは飲食業者を余りバカにしてはいないか。
そして営業時短だけで第三次感染爆発を回避できるとでも考えているのだろうか。感染拡大「促進費」に1兆6794億円もばら撒いた後始末に総額500億円とは、それも地方創生臨時交付金で充当せよ、とはいかなる考えなのか。
高齢者の暴走車がコンビニに突っ込む事故映像を何度か見たことがあるが、まさしく感染拡大のアクセルを吹かして国民生活破壊に突進した「GO TOキャンペーン」事業に対するブレーキの「営業時短支援金」というブレーキは全く効いてないというべきではないか。これでは菅自公政権という「高齢者」の運転する「政府」という暴走車が「国民生活」というコンビニに突進して破壊しているのと何ら変わらない。
大勢の会食は駄目だが、四人程度なら良いだろう、とはいかなる根拠に基づいているのだろうか。そして四人の飲食客が飲食店に何組までなら許されるというのか。四人の飲食客が五組いれば20人の大会食と何処が異なるというのか。バカバカしい議論を大真面目に府知事と担当大臣が話している図には寒すぎて鳥肌が立つ。
好い加減、感染症の専門医の指図に全面的に従ってはどうだろうか。知見も学識も持ち合わせない素人が新型の感染力の強いコロナウィルスの蔓延を前にしてアクセルを吹かす愚策を議論している場合ではない。「経済を回す」と素人判断している間にも、感染大爆発を招来して本当に実体経済を殺しかねない。
何度も云うが、経済は「飲食業界」と「観光業界」だけで成り立っているのではない。むしろ彼らはバイプレーヤーでしかない。経済の中心は製造業だということを忘れてはならない。その製造業が止まれば、本当に経済は回復不可能なほどの大打撃を受けかねない。分科会に入っている経済学者はそうした発言をしているのか、それとも政府が諮った意見通りにコクリと頷いているのか。政府から出て来る武漢肺炎対策はとても「専門家」が集まった分科会を経たものとは思えない。