女川の安全基準とは再稼働の都合をつける方便に過ぎない。

 <東北電力女川原子力発電所(宮城県)2号機の再稼働を巡り、宮城県議会は22日、再稼働を求める地元商工会の請願を賛成多数で採択した。原発がある女川町、石巻市に続き県議会も賛成したことで、村井嘉浩知事は再稼働に同意する意向を固めた。今後、県内自治体首長の意見を踏まえて最終的な意思決定をする。

請願は13日の県議会環境福祉委員会で採択されていた。22日午後の本会議では、自民党県議らが採択に賛成した。

村井知事は本会議終了後、記者団に「津波で被災した立地県で初めて稼働に向けた意思表示がされた。大きな節目を迎えたと捉えている」と述べた。「まだ私として意思決定をしたわけではない」とも語った。

県議会の請願採択を受け、村井知事は11月中にも全市町村長を集めた会議を開き、再稼働の是非について意見を聞く。その後、女川町の須田善明町長と石巻市の亀山紘市長と協議する。再稼働には知事に加え、原発が立地する市町の首長の同意が必要だが、最終的には知事が是非を決める。

女川町と石巻市では原発再稼働による経済効果に期待する意見が多く、両市町の議会は再稼働を求める陳情を賛成多数で採択した。一方、地元住民の間では安全性への不安から再稼働に反対する声もあり、一部団体は県などが同意しないよう求めている。

女川原発2号機は2月に原子力規制委員会の安全審査に合格。6月には国の原子力防災会議が地元自治体による原発事故時の避難計画を了承した。8月には再稼働に向けた全7回の住民説明会を終えた。東北電は安全対策工事が終わる2022年度以降の再稼働を目指している。

再稼働が実現すると、11年の東日本大震災で運転停止が続いている被災地の原発で初の事例となる。また、東京電力福島第1原発と同型の「沸騰水型」で初の再稼働となる>(以上「日経新聞」より引用)




 日本には「喉元過ぎれば熱さ忘れる」という諺と「熱さに懲りて膾を吹く」という諺がある。相反する諺だが、原発の場合は前者を採りたい。

 原子力は人類が踏み込んではならない領域だったのではないか。科学の一環として研究するのは良いが、平和利用であれ何であれ、手を付けてはならない神の領域ではなかったか。


 福一原発以前にも、日本国民は米国による原爆投下で被爆の惨たらしさを経験している。東人保大震による異常事態下にあったとはいえ、福一原発の爆発事故によって、住民の「何人かは」被爆し、放射能汚染された土地は放棄されたままになっている。

 しかも福一原発の核燃料は依然として炉心地下にメルトダウンしたままだ。瞬間致死量以上の放射能を発しているスラッジ化した核燃料をいかにして取り出すかを検討している段階で、早くも福一原発からそれほど離れていない女川の原発再稼働を求める地元民がいるとは驚きだ。


 もっとも原発処理場を「誘致」したいと手を上げる北海道の町長まで出て来るのだから、福一原発の惨たらしさを熟知しているはずの女川町とその近郊の住民に女川原発再稼働を容認する人が出ても不思議ではないが、「経済」のために容認するのも必要悪ではないか、という論理は戴けない。

 それは恰も「社会が悪いのであって、(犯罪を犯した)人が悪いのではない」という論理と似ている。いかに社会が悪かろうと、犯罪を犯した本人が悪いに決まっている。そうでないと法治社会は成り立たない。


 引用記事によると「東北電は安全対策工事が終わる2022年度以降の再稼働を目指している」という。福一原発も当時の「安全基準」を満たしていたはずだ。地震による津波が襲って来たとしても、せいぜい10mだろうと想定していたが、安全会議で学者から15mに達する恐れがあるから防波堤を嵩上げすべきだ、との意見があったが、採用されなかったという。当時の安全対策会議で議長を勤めていたのは総理大臣だった安倍晋三氏だったという。

 どの安全基準をクリアしていようと、すべては「想定内」での安全を保障しているに過ぎない。想定を超える津波が押し寄せれば安全ではなくなる。想定以外の事態が起きても安全ではなくなる。それが安全基準だ。絶対的な安全など世の中に存在しない。


 しかし原発事故以外は復興可能だ。被害者が出たとしても、故郷の山河は復興できる。しかし原発事故はそうはいかない。その実証例が福一原発だ。

 女川の「再稼働要請の採択」に賛成した県議会自民党県議諸氏は福一原発を訪れるべきだ。10年も経たずして、喉元を過ぎてしまった惨たらしい経験をもう一度自分の目で見て見るべきだ。「経済」のためと称して原発を再稼働すること、「経済を回す」と称して「検査と隔離」の拡大より、武漢肺炎のウィルスを拡散する人の移動を奨励するバカな政策決定する国会と国民には呆れ返るが、それと同じ愚を宮城県でも犯そうとしている。日本国民とは性懲りもなく愚行を繰り返す国民性だったのか。


 トイレのないマンションといわれる原発と共存するよりも、私は電気を制限される生活を選ぶ。原発は即時廃止に向けて動き出しても、原発の痕跡のすべてを処理できるまで数十万年もかかる。それほどの「業火」に私たちは火を点けてしまった。反省すべきは私たちのはずではないか。

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