PRESIDENTが小沢氏を妖怪と評すのも期待値だ。

 <正念場は「10月にもある」と噂される衆院解散総選挙

立憲民主党と国民民主党などによる合流新党が新たに誕生した。

910日、合流新党の代表選が東京都内のホテルで行われ、立憲民主党代表の枝野幸男氏(56)が国民民主党政調会長の泉健太氏(46)を破り、初代代表に選ばれた。合流新党の名前も枝野氏の推す「立憲民主党」で決まった。写真=時事通信フォト

新党「立憲民主党」の結党大会でポーズを取る枝野幸男代表(中央)ら=2020915日、東京都港区

衆院106人、参院43人の計149人による野党第1党勢力である。衆院の106人という数は民主党が政権交代を果たした20098月衆院選の公示前勢力115議席に迫る勢いだ。立憲民主党の菅直人氏や国民民主党の小沢一郎氏、それに無所属で元首相の野田佳彦氏、元副総理の岡田克也氏ら旧民主党の実力派議員も加わった。

正念場は「10月にもある」と噂される衆院解散総選挙である。新しい立憲民主党が自民・公明勢力を打ち破り、政権交代を実現することはできるのだろうか。

合流新党の立憲民主党の現状は心もとない

これまで何度か書いてきたが、沙鴎一歩は2大政党制を求めている。たとえばアメリカの民主党と共和党、イギリスの労働党と保守党である。国の政策は左右のどちらにも振れ過ぎてはならない。偏れば偏るほど一部の国民にしか利益が配分されなくなるからだ。

政治には何よりもバランスが重要である。力のある2つ政党が交互に政権を担当することでそのバランスが保てる。欧米の政党状況を見ればよく分かるだろう。

日本が2大政党制の国になれるかどうかは、合流新党の立憲民主党の実力にかかっている。しかし、その現状は心もとない。

東日本大震災の対応で失敗を重ねた旧民主党

自民党は914日、都内のホテルで党大会に代わる両院議員総会を開いて総裁選を行い、菅義偉氏(71)を新総裁に選出した。菅氏は16日召集の臨時国会で第99代首相に指名され、新内閣を発足させた。

ちなみに総裁選での獲得票数は菅氏が377票で、政調会長の岸田文雄氏(63)が89票、元幹事長の石破茂氏(63)が68票だった。今回の自民党の総裁選は全国の党員による投票が省かれ、国会議員中心で行われた。

その結果、菅氏が新総裁になることも、石破氏を最下位になることも、党内派閥の事情や安倍晋三首相の思惑で固まっていた。要は自民党内の硬直化した体質が作用した格好だった。

これに対し、合流新党の立憲民主党はまだ新鮮だ。その新鮮さをうまく生かせばいいのだが、代表の枝野氏が出てくると、どうしても2011311日の東日本大震災の対応で失敗を重ねた旧民主党を思い出してしまう。

鳩山氏の「韓国への謝罪」はまったく効果がなかった

当時、枝野氏は官房長官だった。毎日、真新しいグレーの作業着で現れては、官邸詰めの記者たちの前で会見を行った。その姿はテレビを通して国民の目に焼き付いた。

旧民主党のひどさの象徴といえば、福島第1原発事故直後に菅直人首相(当時)が混乱する現場の原発をヘリで視察してベント(排気)作業を妨げたことだろう。その後、第1原発では水素爆発が起きてしまった。

菅政権の前の鳩山由紀夫首相(当時)もひどかった。たとえば、20158月、韓国ソウル市内の西大門刑務所跡地を訪問し、日本の朝鮮半島統治に対する謝罪としてひざまずきながら頭を下げた行為は、一国の首相としてあるまじきものだった。「宇宙人」と呼ばれる意味がよく分かる。

こんなことで韓国が折れるわけはない。それが証拠に鳩山氏の「謝罪」はまったく効果がなく、韓国の日本に対する謝罪要求はエスカレートするばかりだ。

「合流新党に菅直人氏や小沢一郎氏ら旧民主党の実力派議員も加わった」と前述したが、小沢氏の存在も妖怪のように不気味だ。こうしたベテランを受け入れたことで、合流新党の立憲民主党の印象は決してよくない。

立憲民主党にとっての最重要課題は、旧民主党の悪いイメージを払拭することである。これを消し去ることができなければ、政権交代など夢のまた夢である。

「もう後がないという覚悟で臨まねばなるまい」と朝日社説

「『1強多弱』といわれた野党の分裂状態に終止符を打ち、政権選択の選挙に挑む足場を築いたことは間違いない。自公政権との対立軸を明確に示し、国民から選ばれる政党になれるか、もう後がないという覚悟で臨まねばなるまい」

こう合流新党にエールを送るのは、911日付の朝日新聞の社説だ。続けて朝日社説は書く。

「期せずして、78カ月に及んだ安倍政権の終わりと重なった。『弱い野党』の存在が、国会の行政監視機能の低下を招き、長期政権のおごりや緩みを許した側面は否定できない。次の首相が誰になるにせよ、政治に緊張感を取り戻すうえで、野党第1党の役割は大きい」

安倍政権をとことん批判してきた朝日社説だけに、「野党第1党の役割は大きい」と前向きに捉える気持ちは分かる。問題は合流新党の立憲民主党が朝日社説に応えるだけの能力があるかどうかである。

枝野氏は私たち国民の気持ちを理解できていない

朝日社説はさらに書く。

「新党といっても、党名も代表もかわらない。旧民進党勢力が近づく解散総選挙を意識して、『元のさや』に収まっただけとの冷めた見方もある」
「これに対し、枝野氏は選挙期間中、党の綱領を見比べて欲しいと反論した。合流新党の綱領には『過度な自己責任論に陥らず、公正な配分により格差を解消』するとある。民主・民進両党の時代にあった新自由主義的な傾向からは明確に決別したというわけだ」

新党の中身が「変わらない」という批判に応えるには、党綱領の刷新よりも衆院解散総選挙で勝利を収めることだ。「新自由主義からの決別」と言っても選挙民には理解し難い。枝野氏は私たち国民の気持ちを理解できていないようだ。

朝日社説は「国民の高い支持で政権交代を実現しながら、33カ月で幕を閉じた民主党政権の混迷は、まだ記憶に新しい。枝野氏は官房長官や経産相などとして、その政権の中枢にいた」と指摘し、「挫折の教訓を生かし、国民から政権を託すに足ると認めてもらえるか、その責任は極めて重い」と訴える。

一見、枝野氏を批判しているようで実は違う。彼の責任の重さを浮き彫りにして声援を送っているのである。朝日社説らしい書きぶりだが、社説はもう少しストレートに書いたほうがいい。

衆院選対策という「選挙互助会」のイメージが付きまとう

「新党代表選の告示 選挙互助会で終わるのか」との見出しを掲げ、野党を皮肉るのは、98日付の産経新聞の社説だ。

新党の立憲民主党が生まれる前から産経社説は「安倍晋三首相の後継首相に対峙する野党第一党の代表選びだが、自民党総裁選の陰に隠れがちで、注目を集めているとは言いがたい」と酷評している。

さらに「合流新党には衆院選対策という『選挙互助会』のイメージが付きまとう。与党に代わり政権を担う勢力に成長するという期待が、有権者の中で広がっていない」とも指摘する。

選挙互助会という要素は、党利党略で総裁を決めた自民党にも間違いなくある。しかし新党が同じ要素をもつようでは、自民党との違いが打ち出せない。「選挙互助会ではない」というイメージを、なぜ打ち出せないのか。それは政策的な理念が希薄で、非現実的だからだろう。

鳩山氏の「最低でも県外」を党内でどう議論しているのか

産経社説はこう書いている。

「たとえば両氏(編註:代表選に臨んだ枝野幸男氏と泉健太氏)は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事を止めるよう訴えている」。
「だが、移設は普天間飛行場周辺で暮らす市民を事故発生の危険から守り、中国や北朝鮮の脅威から沖縄を含む日本を守るための日米合意である」
「立民と国民は民主党をルーツに持つ。民主党の鳩山由紀夫首相(当時)は『最低でも県外』と唱え、普天間移設を混乱させて米国の信頼を失うなど同盟関係に大きなヒビを入れてしまった。合流新党はそれを反省せず、民主党政権の二の舞いを演じたいのか」
「枝野氏は民主党政権の失敗を念頭に『困難と挫折によって学んだ教訓を生かし、先頭に立つ決意だ』と述べたが、普天間問題の教訓をくまぬようでは安定した外交安全保障政策を展開できまい」

沙鴎一歩はこの部分の産経社説に賛成する。鳩山氏が普天間の移設問題を混乱させ、国益を損なったことは間違いない。沖縄県民だけの問題ではなく、日本全体の安全保障の問題として考える必要がある。新しい立憲民主党に所属する議員は、安全保障の在り方そのものを議論し、見識をあらためたことを示せなければ、国民の信頼を取り戻せない。果たしてそのことを、どれだけ理解しているのだろうか>(以上「PRESIDENT」より引用)




財界・グローバリストの代表誌であるPREWSIDENTが立民党を取り上げた。さぞかし扱き下ろしているのだろう、と期待して読んだが、果たしてその通りだった。

新・立民党の現状は心許ない、という章で出来上がったばかりの立民党は「心許ない」と根拠もなく蔑んでいる。心許ないのは「居抜き内閣」の菅内閣の方ではないか。彼は「徹底して改革」と称して、いよいよ国際金融家デービット・アトキンソン氏の御指南で地銀統廃合と中小企業基本法の改定による「中小企業潰し」を行なおうとしている。


「東日本大震災の対応で失敗を重ねた旧民主党」の章で、過去の民主党を繰り返し叩いているが、今回の武漢肺炎対策で初動から今日に到るまでの安倍自公政権の対応は「失敗の連続」ではなかったといえるのか。4-6月期の-28%台の大幅なGDPの落ち込みに直面して、PRESIGENT編集部は思考停止に陥っているのではないか。

少なくとも、リーマンショック後の民主党政権時のGDPの伸びは1%以上と、安倍自公政権の七年に亘る(武漢肺炎による落ち込み以前で)期間の平均値で0.9%とという酷い有様ではなかった。それは二度の消費増税という全く国民経済を無視した増税によるところが大きい。


そして次章の「鳩山氏の謝罪は全く効果がなかった」は安倍氏の「最終合意」は全く効果がなかった、という文言でお返ししよう。鳩山氏も「村山談話、河野会見」の過去に学ばなかったが、安倍氏は同様かそれ以下の「最終合意」と文言まで付けてしまった。

国家観の過去に対して「遺憾の意」の表明はあっても、謝罪など決してしてはならない、というのは国際的な常識だ。現に国際法で禁じられているジェノサイドを仕出かした東京大空襲や二度にわたる非人道的な原爆投下に対して、ノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領ですら、被爆地広島を訪れて「謝罪」の文言は一言一句たりともなかった。

鳩山氏の「謝罪」が世紀の茶番だったことは認めるが、その上で「最終合意」を交わした安倍氏は愚者そのものではないか。


枝野氏は国民の気持ちを理解しているのか、という章に対しても異論がある。「「新自由主義からの決別」と言っても選挙民には理解し難い。枝野氏は私たち国民の気持ちを理解できていないようだ」という文脈からは国民に分かり難い文言を用いているから国民の気持ちを理解できない、と見ている、というから驚く。

「新自由主義からの決別」とは財界に都合の良い「グローバル化からの決別」という意味だ。つまり自公政権が推進してきた「構造改革との決別」だ。派遣業法を破壊してタコ部屋を合法化し、労働者を「工数」化して労働者が背負っている家庭や子育てを企業が雇用者として受け止めるのを放棄しても良い、というお墨付きを渡したのが派遣業法の破壊だ。それにより少子化が加速され、国民は貧困化した。


新・立民党は選挙互助会だ、という批判は自民党にも丸々当て嵌まるのではないか。自民党こそ右から左まで幅広い議員の集まりだ。まだ菅内閣の新閣僚たちはバカの一つ覚えのように「改革を推進する」と異口同音に唱えている。規制改革の行き着く先は日本が丸ごとハゲ鷹たちの餌食になるだけだ、という認識すら持たないバカたちが日本を破壊し細分化し無力化していく。

鳩山氏が唱えた「最低でも県外」は今も正しい。沖縄に過度な負担を強いることは出来ないし、普天間基地の「移転先」が決まらないから町中に居座り続けても良い、ということにはならない。一刻も早く普天間基地を国有地・馬毛島へ移すべきだ。


民主党の面々が日本の安全保障に関してどれほど理解しているのか、とのご指摘は自公国会議員の面々にもお返ししよう。自民党の面々は総裁選出で多数派工作に勤しんでいたが、その間も中共政府の要人は世界中を駆け巡って対米対決の多数派工作を展開していた。

中共政府の近隣諸国との軋轢は抜き差しならないものになっているし、南シナ海や台湾近海で米中ともに実弾発射の軍事演習を繰り返している。まさに一触即発の状態にあることがお解りなのだろうか。


お遊びのような安倍居抜き内閣に明日の日本を託すことは出来ない。今こそ保守でもなく革新でもない、「国民の生活が第一」の政治で臨まなければならない。PRESIDENT誌は小沢氏を「妖怪のような」と評しているが、まさに妖怪でなければ勤まらない。

PRESIDENT誌にとっては、財界にとっては反・グローバル化の政策がてんこ盛りだった2009民主党マニフェストを作成した小沢・民主党政権が出現するのは何としてでも阻止したかっただろう。だから「政治とカネ」プロパガンダによる小沢叩きに日本の全マスメディアが参加し、執拗に小沢氏を叩いた。しかし、それでも小沢氏は政治家生命を保ち続けて野党の中核となって甦った。自公政権に替わり得る政権は小沢政権だ。まだまだ枝野氏のような小僧っ子の出番ではない。


小沢氏に最後の一働きをして頂いて、自公政権が破壊した日本の各種制度を復活させてもらわなければならない。そして力強い経済の復活を果たすべく、消費税廃止や財政出動を大胆に行い、生産性向上を希求する政策を展開して日本を国民の手に取り戻さなければならない。

小沢氏に提言する。「所得三倍増」を掲げることだ。経済成長を世界平均に引き上げれば、失われ三十年で日本の勤労者所得は三倍になっていたはずだ。だから普通に経済成長を目指す政策を展開すれば国民の平均所得は三倍になる。少子化や格差拡大や貧困化は経済成長によってすべて解決する。もちろん、財政再建も経済成長なくして決して解決できない。

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